名品発掘



海を舞台に「メッセージ・イン・ア・ボトル」


悲恋物語、でもぐっとくる米映画_e0171960_3425991.jpg  海が好きで、時間があればあちこちの海岸を歩く。最近は加太の海をこよなく愛する一人だ。 
 
   加太は和歌山市の西端にあり、万葉の時代から、潟見の浦と詠まれていた景勝地で、紀淡海峡に面して美しい海岸線が続いている。

   そんな加太の海を連想させる、ノースカロライナの辺鄙な海でのロマンを紡ぐのがアメリカ映画の「メッセージ・イン・ア・ボトル(1999)」


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シカゴの新聞社で調査員として働くテリーサ(ロビン・ライト・ペン=写真上)は、休暇中の海岸でビン入りの手紙を拾う。そこに書かれていたのは、いまは亡き妻に贈られた愛のメッセージ。



さまざまな手がかりからビンを流したと思われる男性を



 つきとめたテリーサは、彼ギャレット(ケビン・コスナー=写真下)を訪ねてノースカロライナの家へ。

   手紙を見て来たことを切り出せないまま、ギャレットと愛を深めていく。しかし、ついにギャレットが手紙の件を知ってしまう日が来た……。 

 テリーサか?亡くなった妻か?ギャレットの心は揺れ動く。

 慌しいシカゴの都会とノースカロライナの静かで美しい田舎の海との対比。



 最終的には「悲恋」に終わるところもハリウッド的でない良さ。

 ハッピーエンドを期待した観客を裏切るような、一種のどんでん返し。ネタばれになるのでストーリーはここまで。
 
  息子想いのやさしい父親に名優ポール・ニューマンが好演。

 人もほとんど見かけない田舎の海を舞台にした親子の交流がしみじみとした味を醸し出している。

(岩田 誠)