名品発掘

仏映画「舞踏会の手帖」


 仏の巨匠ジュリアン・デュビビエ監督の1937年の作品。主人公の未亡人にマリー・ベル。昔のダンスパートナーに名優が勢ぞろいしている。



 オムニバス形式の一話一話に男たちのほとんどの末路が哀れで、せつないが、胸を打ってくるのはリアルな細かい描写だ。


この時期、家での鑑賞お勧め一番の作品と思う。簡単な筋書きをーー。


  未亡人になった36歳のクリスティーヌが、16歳の時の初めての舞踏会の手帖を見つけて、昔の踊り相手を訪ねて回る。

ジョルジュの家では、母親が迎えた。クリスティーヌに恋していた彼は、彼女の結婚を知って自殺し、母親は狂っていた。



  名優ルイ・ジューベが演じるピエールはキャバレーの経営者で暗黒街に生きていた。クリスティーヌがむかし通りに唱える詩に付き合ううち、警察の手が回ってくる。


作曲家志望だったアランは神父になっていた。


  エリックはアルプスのガイドである。クリスティーヌと、無人の山小屋に同宿しようと決めた時、遭難事件発生をふれる鐘が響き、山男は雪の斜面を滑りくだる。


政治家を目指したフランソワは、田舎町の町長で、その再婚の挙式。自作自演のワンマン挙式を陽気に進めるが、その裏で彼はならず者の養子に手を焼いていた。




    ティエリーは医者にはなっていた。しかし、堕胎で稼ぐ陰の医者。精神を病んでいる。



   生まれ故郷の町では、ファビヤンが美容師を愛想よくやっている。仏が生んだ最大のコメディアンのフェルナンドルが演じる、手品好きな男が少し気分を和らげる。


       複雑な思いを抱えて旅から帰ると、手帖の最後にある、むかし恋したジェラールの現在の住所がわかった、すぐ近くだという。息子がいたー下の写真中央。



     行ってみるとーーさてその結末は? 生きることの難しさ、挫折、そして希望の曙光・・・

      

      岩田 誠