童話パロ・手袋を買いに・中 | TVXQは近くにありて想ふもの

TVXQは近くにありて想ふもの

完全なるフィクションの妄想小説です

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「大丈夫かしら・・・耳やしっぽは絶対に出してはダメなのよ?」

「だいじょーぶ!おんまはここで待ってて、ね?」

「でも・・・」

「だぁいじょーぶだよぉ!」

「じゃあ・・・なるべく人間に会わないようにしてお行きね」

「うんっ」

「街へ行ったらね、たくさん人間の家があるから、表に丸いシャッポの看板がかかってる家を探すの
そうしたら、ドアをコンコンとノックして、このおててだけを中に入れなさい

「おててだけ?」

「そう、このおててにちょうどいい手袋くださいって言うの、出来る?」

「できるっ!でも・・・おかお見せたらダメなの?」

「もしもキツネだって解ってしまったら、手袋を売ってくれないのよ
それどころか檻の中へ入れられてしまうの、人間は本当に怖いものなのよ」

「ふうん・・・」




母ぎつねは、持ってきた白銅貨二枚を人間になったユノの手に握らせてやりました

ユノは嬉しそうに白銅貨をポッケに仕舞い

何度も振り返りながら母ぎつねに手をふって

意気揚々と街へ向かっていったのでした

森から原っぱを通り抜け、次第に増えてゆく街明かり

橙色の明かりだけではなく、薄桃色や、若い梨の実みたいな色

たくさんの明かりが灯った人間の家々が珍しく

星の色と同じだなあとユノは思いました

たくさんたくさんの家

だけれどどの家も、もう戸を閉めてしまって

高い窓から落とされる明かりは見えても雪の道は薄暗く

ユノは看板らしきものを見つけると

じいっと見つめて丸いシャッポの看板を探しておりました

自転車の絵が書かれた看板や、眼鏡の看板、それらを興味深く眺めて歩き

ついに丸いシャッポの看板を見つけたのでした




コンコン




ユノは母ぎつねに言われた通り、ドアをノックして

「こんばんは」と言いました

しばらく待って、ドアの内側へそっと手を差し出そうとした瞬間

ガチャリとドアが大きく開き

そこには背の高い人間が立っておりました

ユノは人間を見るのは初めてでしたが

店の中の明かりを背にした人間の顔はよく見えず

ユノは、大きな人間の影を、目を皿のようにして眺めておりました




「何かご用ですか?」

「あ、あの、あの・・・このおててにちょうどいい、てぶくろをください」

「手袋・・・?店はもう閉めてるんだけど・・・ていうか、保護者はいないの?」

「ほごしゃ・・・?」

「お母さんとかお父さんとかおばあちゃんとか」

「あっちでまってる」

「一人で来たの?」

「うんっ」




一人で来たということが嬉しくて誇らしくて

ユノは思わず変身がゆるみ、キツネの耳としっぽがぽろんと出てしまったことに

全く気付いておりませんでした

背の高い人間は、そんなユノを

黙ってじいっと見つめていたのでした













え・・・・・・キツネ・・・・・・?