シムと野獣・2 | TVXQは近くにありて想ふもの

TVXQは近くにありて想ふもの

完全なるフィクションの妄想小説です

無断転載は一切おやめ下さい





「・・・あのー・・・ごめんください・・・」




チャンミンはおずおずと声をかけましたが、返事はなく

しかし、広いホールには明かりが灯っており

誰かがいるには違いありません




「誰かいませんかぁー・・・」




その声に応えたのは




「わんっ!」

「うぉっ!びっくりした!」




美しい毛並みのゴールデンレトリバーでした

レトリバーは人懐こく、尻尾をパタパタと振りながらチャンミンの服を引っ張りました




「お?案内してくれんのか?」

「くぅーん」

「はは・・・ありがとな」




疲れきったチャンミンが連れて行かれた場所は

これまた大きな食堂でした

二十人は座れるであろう長い食卓には、まるでチャンミンを待ち構えたかのようなご馳走が並び

良い匂いと共にほかほかと温かそうな湯気を立ち上らせています

食料が尽きてからまる二日間、湧き水やほんの少しの木の実で飢えをしのいでいたチャンミンは限界でした




「これ、食べてもいいのか?」

「わん!」

「本当に?」

「わん!」

「絶対だぞ?怒られたらお前の責任だからな?」

「くぅん」

「よし!じゃあいただきますっ!」




犬に了解を求め、挙句責任を押し付けるなど

いつものチャンミンなら絶対にやらないことでしたが

目の前のご馳走に我を失っておりました

熱々のパイ包みスープ、サラダタルティーヌ、スペアリブの煮込み、ミートパイにグラタンにスコッチエッグ

どれもほっぺたが落ちそうなほどに美味しく

チャンミンは夢中になって食べました

満腹になると、いつの間にか目の前にはコーヒーが置かれています




「なんと不思議な・・・」




コーヒーを飲み干し、一息つくと

チャンミンは急激な眠気に襲われました

無理もありません、この三日間まともに眠ってはいませんでしたから

うとうととしていると、またも犬に服を引っ張られました




「・・・なんだよ・・・もう動きたくないんだよ・・・」

「くぅん、くぅん!わん!わん!」

「わかった、わかった・・・行くから・・・」




犬に促されるまま歩いて行きますと、ある部屋の扉がひとりでに開き

そこはゲストルームのようでした

アンティーク調のインテリアで統一された部屋の中

大きなベッドを見つけ、チャンミンはもう引き寄せられるようにベッドに飛び込み

数分もしないうちに深い眠りについてしまったのでした







チャンミンをじっと見ているふたつの目には




気付きもせずに────