映画『フェラーリ』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『フェラーリ』

『フェラーリ』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、イオンシネマとなみ)

公式サイト:https://www.ferrari-movie.jp/

 

イタリアの自動車メーカー・フェラーリ社の創業者、

エンツォ・フェラーリを主人公に描いた作品です。

ブロック・イェーツの「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」を原作に、

私生活と会社経営で窮地に陥った59歳のエンツォが、

起死回生をかけて挑んだレースの真相などが描かれています。

 

監督はマイケル・マン、主演はアダム・ドライバーです。

え?この人アダム・ドライバーだったの?

予告編を何度も観ていましたが、パッと見た感じでは分かりませんでした。

メイクだけではない、演技力のなせる業だと感じました。

アダム・ドライバーはハウス・オブ・グッチでマウリツィオ・グッチ役。

次に演じる自在したイタリア人は誰でしょうか?

ちなみに、映画では当然のように、みんな基本的に英語で話してます。

 

(以下、“適度”にネタバレしています。ご了承ください)

 

エンツォ・フェラーリの妻ラウラはペネロペ・クルス。

短い時間とはいえ、すごく若い時期のシーンがあるのですが、

若作りメイクしても無理がなくて、やっぱりこの人は奇麗ですな。

ですが、ラウラはものすごく気性の激しい女性でして、

でも、敢えて書きますが「女」でしてね、

とうとう本当に会社がヤバくなりましたというときの彼女の決断と、

その時に夫に突き付けた条件は、「女」としてだったと受け止めました。

 

海外の大企業の創業者の顛末が描かれるとき、

必ずと言っていい(例外あり)ほど愛人が登場しますけど、

エンツォと愛人リナとの関係は時代背景を考えると少し複雑です。

また、ラウラとの間にもうけた息子は幼くして病死しているのに、

リナとの間の息子ピエロは元気に育っている。

その事実を知ってしまった時のラウラの胸中は…と考えると、

やはり、この妻の強さとそうでない部分が見え隠れするのです。

 

とにかく会社は経営不振で、再起のためには、

過酷なロードレース「ミッレミリア」での優勝が必要になりました。

私、本作の鑑賞前は、

「帰り道の運転はアクセルの踏みすぎに気をつけよう」と思ってましたが、

いや、逆に本作を観たら、アクセル踏む足の力が弱まりますよ。

ひとつはレースシーンにも少なからず興奮はしましたが、

それよりも裏側の経営や私生活の顛末の方が強烈に描かれていたから。

もう一つは事故のシーンが凄惨だったから。

 

『フェラーリ』というタイトルをつけている以上、

もっと創業からの栄枯盛衰が描かれても良いような気がしましたが、

本作は「枯」「衰」と「闇」がメインになっていた印象です。

もともとそんなに詳しかったわけではないので、

そういった意味では新鮮でしたが、逆にもっと詳しければ、

裏側の深いところまで理解できたのかもしれません。