映画『オッペンハイマー』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『オッペンハイマー』

『オッペンハイマー』

(上映中~:J-MAXシアターとやま、TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡)

公式サイト:https://www.oppenheimermovie.jp/

 

最近映画館に行けてないどころか、また感想文のUPが滞っておりまして、

書いたら書いたで、本文と関係ないコメント書き込む人もいて・・・。

この映画は4月10日に鑑賞してました。まだ映画館で上映してます。

クリストファー・ノーラン監督が、

原子爆弾の開発に成功したアメリカの物理学者、

ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画です。

 

科学面のやりとりの理解は私には難しかったです。

登場人物も多いので覚えきず、名前で語られても分からなかったりして。

でも、180分の上映時間はあっという間でした。

被爆国の人間としての抵抗感みたいなものもなく鑑賞できました。

実際、本質的な部分はそこではないので。

でも、トルーマン大統領がオッペンハイマーに浴びせた言葉には、

オッペンハイマーへの感情移入ではなく、私個人として腹が立ちました。

 

(以下、“適度”にネタバレしています。ご了承ください)

 

オッペンハイマーは実験よりも理論で研究する科学者でした。

なので、あの実験シーンがより活きていたように思います。

大統領曰く「作った奴より落とした奴を恨む」は理屈ではあるけれど、

それでもオッペンハイマーは殉教者の気持ちになってしまいました。

しかも、英雄だったはずなのに、「赤狩り」の標的にされてしまいます。

 

アメリカが戦争に勝つことは、共産主義の駆逐でもあるので、

冷戦に入ればより一層、「赤狩り」はエスカレートしていくことになります。

ビッグコミックオリジナルで連載されていた赤狩りを読んでいたので、

この辺のアメリカ合衆国の徹底ぶりは理解できました。

にしても、戦争についても、「赤狩り」についても、

当時のアメリカを「鬼畜」と呼んでいたのは、

あながち間違いではなかったのかも・・・と思えてきます。

こんな国がよくもまぁ、立派な日本国憲法を作れたなと感心しちゃいます。

いや、戦争中はアメリカでも日本でも鬼畜だらけだったのです。

 

その他、日本人として興味深かったのは、当時のマンハッタン計画は、

ナチスや共産主義国よりもよりも早く原爆を完成させようというもので、

しつこいだけで死に体の日本はもう目じゃない感じだったことです。

ドイツが先に降伏しちゃったし、ぼちぼち戦争も終わらせたいし、

それなら日本に落としたらいいだろう的な印象を受けました。

 

さて、2024年現在、原爆は戦争をなくす道具にはなりませんでした。

今や複数の国が核兵器を保有し、さすがにどこにも落としてはいないけれど、

戦争は常に世界のどこかで起きています。世界大戦ではないだけです。

英知はあれど、人間が地球上で一番最悪な生き物だといえます。

戦争中であってもなくても、そもそも人間は「鬼畜」なのかもしれません。

 

ウルトラセブン第26話超兵器R1号を思い出しました。

今の日本の総理は「戦争ができる正常な国」を目指すそうですが、

外交の解決策として戦争を選択する人たちが多数派になったとしても、

その状況は異常なのだと私は考えています。