映画『ゴールデンカムイ』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『ゴールデンカムイ』

『ゴールデンカムイ』

(上映中~:J-MAXシアターとやま、TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、イオンシネマとなみ)

公式サイト:https://kamuy-movie.com/

 

明治末期の北海道を舞台に、

アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルさんの大ヒット漫画を、

山崎賢人さん主演、久保茂昭監督で実写映画化したものです。

山崎さん、良い悪いではなく、またしても漫画原作映画の主演ですね。

例によって原作未読ですが、これも良い悪いではなく漫画的面白さでした。

山崎さん主演作では、キングダムは第1作で脱落しましたが、

これは続編出来たら観に行きます。あと7~8作必要な感じもしますが・・・。

 

(以下、“適度”にネタバレしています。ご了承ください)

 

主人公の杉元佐一は陸軍第1師団の兵として二百三高地で戦いました。

どんなに深い傷を負っても生き延びたことから「不死身の杉元」と呼ばれ、

自らもその言葉を発することでパワーを出してきました。

気に入らない上官を半殺しにするなど訳あって今は退役しましたが、

とある理由でまとまった金の必要に迫られ北海道で砂金採りの日々。

そんな中、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知りました。

 

金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、

野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシㇼパに救われます。

彼女は金塊を奪った男に父親を殺されていて、

「自分たちが金塊を手に入れれば、君にとっても仇討ちになる」

という杉元の言葉に納得し、二人は行動をともにすることになりました。

アシㇼパ役は山田杏奈さん。以前にも書きましたが、好きです!

 

アシㇼパは“和人”の言葉を使えますが、話し方はぞんざいです。

一方、杉元は「アシㇼパさん」と呼び、敬意をもって接しています。

そして、アシㇼパから「人を殺したら協力をやめる」と言われ、

どんなに危険な目にあっても、その約束を守ろうとします。

この設定は本作で私が一番好きなところです。

 

オープニングで二百三高地の戦闘シーンが描かれています。

ヨーロッパ映画などで第一次世界大戦の戦場のシーンなどは特に、

いや、いつの時代の戦場・戦闘シーンも好きではないですが、

(※時代劇の合戦シーンは意外と平気なのは何故なんでしょう?)

本作のそれも惨劇として描かれていて、嫌悪感が沸き上がりました。

誉め言葉です。このシーンはそう感じさせることが大事なのです。

 

杉元は若くして歴戦の雄ですが、自分が英雄でないことを知っている、

敵兵とはいえ、大勢の人を殺してしまったことがトラウマになっています。

その過去がある中で、アシㇼパと例の約束を交わしたわけです。

不死身なだけでなく戦闘能力がある。しかし、今は相手を殺せない。

こういう“足かせ”が主人公にあった方が物語としては面白いです。

いや、あの人とかあの人とか死んでるのでは?とは思いましたが、

さすがにそこはしゃーないですよ。というような場面ではあったし、

実際にどうなったかは不明です。続編にも登場すれば解決ですね。

 

それと、アイヌ文化を丁寧に紹介しています。

原作もこれについてのアイヌ民族の人たちからの評価が高いようです。

本作のエンドロールでも数人の監修者がクレジットされていたので、

映画ですから全てが正しいかどうかは不明ですが、

アイヌの文化や考え方など、かなり参考にして良いものだと思います。

 

さて、杉元以外にも金塊を狙う者たちが当然のようにいます。

陸軍第7師団の鶴見中尉には野望があり、その為に大金が要る。

玉木宏さん、どんな役をしても惹かれるキャラの立ち方ですね。

そして、まさかの土方歳三。彼が生きてるところが漫画なんですよ。

土方しか知らない事実があり、物語のスケールが大きくなりました。

さぁ、金塊争奪戦は果たしてどうなっていくのでしょうか。

 

そのカギを握る“体に入れ墨”の脱獄囚たちが全く出揃ってません。

次回予告っぽい映像で新しいキャラクターも登場してました。

そうなんですよ、あと2~3回では終わりそうにないんですよコレ。

なので、撮るなら早く撮ってもらいたいのですよ。