映画『生きる LIVING』/『ザ・ホエール』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『生きる LIVING』/『ザ・ホエール』

『生きる LIVING』

公式サイト:https://ikiru-living-movie.jp/

 

黒澤明監督の名作映画「生きる」を、

ノーベル賞作家カズオ・イシグロ氏の脚本でリメイクしたイギリス映画です。

なんで今これなの?と思いながらも、気にはなったので鑑賞。

といっても、え~と、もう1カ月前に観たので記憶が・・・(^_^;)

 

黒澤監督の生きるは2016年に午前十時の映画祭で観ました。

リメイクの本作は割とオリジナルに忠実に描かれていました。

といっても、細かい違いはありますよ。舞台もロンドンだし。

時代設定は1953年です。オリジナルの制作は1952年でした。

いや~、当時のロンドンの街の風情の映像が素晴らしかったです。

この時代であることの意味としては、癌は今でも大病ですが、

今はもうあの頃ほど不治の病ではないということがあります。

 

ロンドン市役所に勤める主人公、ウィリアムズ課長は余命を知り、

最初は「充実した人生とは?」を模索して回りますが、

最後に公園という自分がここまで生きた証を残しました。

が、本当は余命は関係なくこう生きられたら良いのに・・・と思います。

部下たちも課長が亡くなってすぐは一念発起したのですが、

結局は元の市役所に戻ってしまいました。

にしても、ロンドンでも役場のたらい回しは日本と同じなんですかね。

 

 

『ザ・ホエール』

公式サイト:https://whale-movie.jp/

 

死期の迫った肥満症の男が娘との絆を取り戻そうとする物語です。

『生きる LIVING』と同じ日に鑑賞しました。

こちらも主人公に死期が・・・。こういうことってよくあります。

主演のブレンダン・フレイザー、特殊メイクが凄いです。

彼が演じる主人公チャーリーの肥満度がハンパないです。

自分で気持ち良くなろうと思っても、手が届かないじゃないか!

私、あそこまで肥満じゃないですけど、

痩せよう、とにかく今より痩せよう・・・。そう思いました。

 

チャーリーの部屋の中で物語が成立しています。

普段から映画は予告編以外に予備知識を入れずに鑑賞することが多く、

本作は鑑賞中に「これは演劇がもとになってる?」と思って、

あとで確認したら、サム・D・ハンターによる舞台劇が原作でした。

舞台が転換しない話、実は意外と好きだったりします。

 

チャーリーはもともとそうなのか、そうなってしまったのか、

なかなかにありがちな自分勝手さで生きながらえております。

友だちで主治医でもあるリズ、元妻、娘、その他、家にやってきます。

娘は学校や家庭などに問題を抱え、家庭を捨てた父に悪態はつきますが、

そんな彼女も含め、皆それぞれの形でチャーリーのことが好きでして、

そこはちょっと羨ましい・・・は、さすがに隣の芝生は青く見えすぎでしょうか。

 

チャーリーは娘の『白鯨』の感想エッセイを多分に評価していました。

文章にかぎらず、表現の世界において、

学習段階における客観的な答は自己における正解とは限らない。

人生の答は形式的なものではなく、自分自身の正直な想いの中にあるのです。

最後は娘がそのエッセイを読み聞かせてくれて、

チャーリーの心は救われて天国に旅立った。と解釈しております。

 

人が人を救うなんてことは、実際にはおいそれとできることではありません。

でも、「救いたい」という想いは「愛」として行動にすることはできるんですね。

宗教で救われる人もいます。が、それは能動的な信仰によるものでして、

宗教側が「救われます」と人を勧誘するのは、これはビジネスだと思います。

そんなことを考えながら観ていた・・・はずです。※記憶が・・・、すみません(^_^;)