映画『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』

『NOBODY KNOWS

 チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』

(上映中~1/13:ほとり座)

公式サイト:

https://kobe-eiga.net/nonobowers/

 

今から100年近く前のサイレント時代末期に生み落とされた、

モダンでパンク、シュルレアリスティックでクレイジーな
チャーリー・バワーズの作品集です。
チャーリー・バワーズ、私は初めて知った名前ですが、
上映されていた各作品は分かりやすく楽しめました。
 
20数分の実写作品4本と6分の短編アニメ2本の構成。
1920年代はチャップリンが長編映画を撮っていた時代なので、
20数分は当時としても短編映画ということになるのでしょう。
ただ、実写だけでなく、モーションピクチャーも組み合わさっていて、
CGのない時代ですから、これは相当時間のかかる制作だったのでは。
 
各作品、奇抜な発想の物語といえばそうかもしれませんが、
今となっては基本的なコメディのスタイルともいえますし、
設定に落語っぽさも感じました。ていうか、落語の設定や展開って、
日本では喜劇映画やコント、漫画などに使われてることも多いですよね。
もちろん、チャーリー・バワーズは落語は知らなかったと思いますが、
お笑いの構成って、基本は同じなんじゃないかなという気がします。
 
『たまご割れすぎ問題』
ある日「玉子の殻が割れやすいのはおかしい!」と気づいた、
しがない発明家バワーズが「割れないたまご製造機」を発明して、
これでひと山当てようと考えたのですが、
クライアントに機械を見せようと思ったら、肝心の玉子がなくて、
あの手この手で手に入れようとしたら、そこで玉子が割れまくる。
 
『全自動レストラン』
プロポーズしたい女性の父親がレストランの経営者で、
結婚の承諾をもらおうと店に出向いたけどモゴモゴしていたら、
求人の応募と勘違いされて働かされることに・・・。
 
『ほらふき倶楽部』
人生に絶望して自殺を考えていた青年が、
「ほらふきチャンピオン大会」に参加していた紳士と出会って、
大会に招かれて“真実”の荒唐無稽な身の上話をしたんだけれど、
周りからは「凄い嘘だ」と評価されてしまって・・・。
 
どれも落語っぽい感じがしませんか。
どの話も、それぞれオチが付いたような終わり方にもなってました。
 
それと、自殺を図る青年は、大砲に頭を突っ込んでいるのだけど、
火縄に手が届かないのであがいているというバワーズの動きは、
チャップリンもこんな感じで動いていたと思いますが、
我々世代だと、志村けんさんもこんな動きしてたよなぁ・・・なんて。
 
最後の1本『怪人現る』は、あるアメリカの屋敷に謎の怪人が現れて、
それをスコットランドヤードの探偵が調査にやってくる話なのですが、
バワーズ演じる探偵のコミカルな動きも、やっぱりどこか志村さんみたい。
いや、チャーリー・バワーズの方が先なんですけどね。
 
これサイレント映画でして、
当時の上映では小屋で楽団が生演奏してたんじゃないかと思われます。
で、本作は日本上映用に新たに録音した伴奏音楽が付いてるんですけど、
正直、これがちょっと私にはうるさく感じられて、
音楽は必要なんですが、バランスが合ってないように感じました。
作品は概ね楽しく鑑賞できたのですが、そこが少し残念でした。