映画『マイ・ブロークン・マリコ』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『マイ・ブロークン・マリコ』

『マイ・ブロークン・マリコ』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山)

公式サイト:https://happinet-phantom.com/mariko/

 

鬱屈した日々を送っていた会社員のシイノトモヨは、

親友のイカガワマリコが亡くなったことをテレビのニュースで知りました。

マリコは幼い頃から、実の父親にひどい虐待を受けていました。

シイノはマリコの父親のもとから遺骨を奪うことを決意し、

マリコの父親と再婚相手が暮らす家を訪れ、遺骨を強奪し逃亡します。

マリコの遺骨を抱き、マリコとの思い出を胸に旅に出るシイノは・・・。

 

2週間前に鑑賞していたのですが、なかなかブログに書けずにいました。

原作は平庫ワカさんの同名コミックで、例によって私は未読です。

ちょっと記憶が薄れてはいますが、一言で言えば面白かったです。

上映時間85分。いろいろ描きすぎてない良さがあります。

でも、描いてないけど、こっちがいろいろ考えることはできたという。

 

主人公のシイノを永野芽郁さんが演じていまして、

彼女の出演作を全て観てきたわけではありませんが、

今までの彼女にはなかった、なかなかにやさぐれた感じの役です。

ブラック企業に勤めていますが、上司の圧も受け流し、

割と自由で、中学時代から吸ってる煙草は今もヘビーにやってます。

 

一方のマリコ役は奈緒さん。

この秋のドラマファーストペンギン!の主人公もインパクトありますが、

本作のマリコも強く印象に残りました。

彼女は既に死んでいるので、シイノの記憶の中にだけ登場します。

これが私の記憶にもちゃんと残るインパクトのある演技。

 

マリコはいつも顔のどこかに傷があります。父親の虐待を受けているので。

学校の先生とか何もしてくれないんですかね。それが現実なのかな。

そんなマリコとシイノは幼い時から二人きりでいました。

高校生の時、「シィちゃんに彼氏ができたら私は死ぬ」とか言って、

まんざら嘘でもなさそうな気配を漂わせているマリコ。

シイノはそんなマリコがちょっと面倒くさくなっていたのですが・・・。

 

自殺されると残された人は思うんです。

もっとちゃんとしてあげられることがあったのでは?と。

自殺じゃなくても、私も先に逝かれた友人に対して思ったことあります。

で、シイナはマリコの魂だけは救いたいと、

彼女の家に行って、父親から遺骨を奪って逃走した・・・。

実際に行動したところが凄いですね。

 

(以下、“適度”にネタバレしています。ご了承ください)

シイナの家庭環境は不明です。家族がいるのかいないのかも不明。

マリコのことを面倒だと思うときもあったけど、

実はシイナ自身にとっても、マリコしかいない人生だったんですね。

シイナは遺骨をもって八戸のまりがおか岬に向かいます。

そこでやろうとしていたことがあったのですが、

そこでの出来事や出会いが彼女を少し変えていくことになります。

 

一番大きな影響を与えたのが、まりがおか岬で出会う謎の釣り人。

窪田正孝さん、若いのに、こういう飄々とした感じがハマるんですよね。

最初の登場はともかくとして、なんでそこにいてるの?って感じで出てきます。

釣り人は言いました。「亡くなった人に会うには生きていくしかない」

で、「風呂入って寝てちゃんと飯食って」さえしてれば良いって言うんです。

でも、考えてみれば、マリコはそれも満足にできていたのかどうか・・・。

 

いろいろあった帰りの電車内、

シイナは釣り人からもらった弁当をいきなり食べ始めていました。

そういう物語でした。現在、富山では1館のみで一日1回上映です。

先日まではやたらと映画でゲロを観ていましたが、

その後は川っぺりムコリッタアイ・アムまきもととか、

今度は遺骨ばかり観ています。そういうことってあります。