映画『ナワリヌイ』
『ナワリヌイ』
(上映中~8/18:J-MAXシアターとやま)
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/Navalny/
ロシア反体制派のカリスマ政治活動家、
アレクセイ・ナワリヌイを追ったドキュメンタリー映画です。
2020年8月、ナワリヌイは移動中の飛行機内で何者かに毒物を盛られ、
昏睡状態となってロシアの病院に入れられるも意識不明が続きました。
その後、ベルリンの病院に避難し奇跡的に一命を取り留めた彼は、
自ら調査チームを結成して真相究明に乗り出します。
映画の本筋は概ねその暗殺未遂事件の真相究明です。
ナワリヌイは反体制・反プーチンの旗手で、この映画はアメリカ映画で、
そこを考えすぎて、この真相ホンマなん?演出の可能性ない?
と斜に構えた見方もできますが、いや、これが真実なのでしょう。
はい、想像どおり、ロシア政府の組織が実行したものでした。
真相が分かるシーンは、突然訪れたスリルを味わえました。
いや~、西側メディアなどの協力はあるにせよ、
仲間も数人しかいない個人の力でここまでできるとは!
ナワリヌイの活動の向こう側にプーチン政権の怖さが見えてきます。
この映画を観るだけだと、プーチン支持の市民っているのかな・・・と。
テレビのコメンテーターはプーチン支持の体制派ばかりで、
ナワリヌイを批判しているけど、それは本心かどうか分からないし・・・。
なんて思ってしまうのは、私も西側の感覚でいるからでしょうか。
しかし、ドイツからモスクワに帰国するという情報を得た市民が
空港に大挙して待ち構えている様子も、それはそれで怖さがあります。
盲目的にナワリヌイを支持してる人もいるんじゃないかな・・・と。
彼の活動にはプーチン打倒のためなら手段を選ばない、
“ただの”反体制派なだけなのかと感じさせる面もあったので。
そんな中、終盤に少しだけでしたが、
ナワリヌイが「自分が大統領になったら・・・」を語っていました。
私はそれを早く聞きたかった。先に聞きたかった。
あ~、これならプーチンより彼を支持する市民がいそうだと思いました。
ただ、ナワリヌイの支持者が空港などで大勢検挙されていましたが、
かなり大規模な反政府集会を開いたり、デモ行進は出来るのですね。
この市民たちは今のウクライナ侵攻をどう見ているのでしょう。
そして、やはりそうなるかという流れで、
帰国後すぐに拘束され、長期の禁固刑が言い渡されたナワリヌイ。
彼が組織したグループにも国家権力の手が入りました。
カリスマ性があるとはいえ。ここまで一人の男を恐れるロシア政府。
そこに国家としての脆弱さを垣間見ることもできるわけで、
ナワリヌイの支持者に向けての「諦めるな」にも可能性を感じるわけです。
さて、本作ではロシア政府の怖さを感じることができます。
が、日本だって今の権力者たちは自分たちに都合のいい政治を行い、
憲法も自分たちに都合よく変えてしまおうとしているわけで、
私も危機感を持って日々を過ごしたいと改めて感じた次第であります。
まぁ、程度の差こそあれ、国家権力はどこの国でも怖いものです。