映画『あそびのレンズ』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『あそびのレンズ』

『あそびのレンズ』

(上映中~5/20:ほとり座)

公式サイト:https://asobinolens.com/

 

今日(5/18)の上映に行ってきました。

本作があの(!)がんこもん以来の長編となる佐伯龍蔵監督(中)、

主演で佐伯監督のパートナーでもある緑茶麻悠さん(右)、

ゲストの市井昌秀監督(左)の舞台挨拶もありました。

 

夫と4歳になる娘ふうこの3人で暮らす吉田みずきは、

夫の転勤で昔住んでいた東京に引っ越してきたばかりです。

夫はどうしても仕事中心になってしまい、

必然的に日中の家事や育児はみずきが担っていました。

そんなある日、昔の同僚から新刊雑誌のデザインの仕事を頼まれ、

みずきは久々に仕事に復帰することになりますが、

育児との両立は簡単ではなく・・・という展開です。

 

吉田夫婦やその他、大人はプロの俳優が演じていますが、

ふうこだけでなく、たくさん出てくる子供たちは全く演技経験がありません。

また、みずきらが出会うプレーパークや自由保育の関係者は、

ご本人がそのまま演じておられるのではないかと思います。

ドキュメンタリーとフィクションの融合が上手く演出されています。

また、ゆったりしたシーンが多いのに作品全体のテンポが良かったです。

でんでんむしとおたまじゃくしでも感じたことを

上から目線で書きますが、佐伯監督は才能にあふれてるなと思います。

 

幼い子供のいる夫婦が共働きをする中での現実。

この物語の舞台は世田谷ですが、その他の地域でも同じでしょう。

みずきは昔の同僚から「明日、打ち合わせに来て」と言われます。

そんなもん、子供をどこにも預けられませんがな。

東京に移り住んで間もない、いや、間もなくじゃなくても、

頼れる友人・知人・親戚もいなけりゃ、施設も簡単には見つからない。

それでも、みずきは仕事への復帰を決意し、頑張ろうと思いますが、

夫は分かってくれてるようで、実際に協力してくれるでもなく・・・。

 

そんな中で、みずきはプレーパークや自由保育を知ることになります。

ただ、映画はその存在を教えてはくれますし、

これからの子育て世代に向けての可能性も感じさせてくれますが、

これが絶対に正しいと訴えているのではないし、

実際、みずきは精神面では助けられる部分がありましたが、

仕事をする上での直接的な解決にはつながりませんでした。

この辺のテーマ性を押し付けていないところも好印象です。

 

主演の緑茶さんは、劇中のアニメーション制作も担当されてます。

ふうこちゃんの創造たくましい落書きや、

プレーパークでの遊びの視点などが描かれています。

いかに子供の発想が自由でのびのびしているかが伝わります。

そこにロバの音楽座の曲がとてもマッチしていて、

この映像、Eテレの子供番組でそのまま使えるやん!

ずっとこの映像が60分続いても飽きないだろうと思いました。

 

ほとり座での上映は5月20日(金)までです。

私はもともと今日しか観に行くチャンスがなかったのですが、

舞台挨拶のゲストが市井監督で、さすがの視点を感じたり、

佐伯監督の「市井監督ならどう撮りますか?」の答えも興味深かったです。

新作犬も食わねどチャーリーは笑うも楽しみです。