映画『鳩の撃退法』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『鳩の撃退法』

『鳩の撃退法』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山、J-MAXシアターとやま、TOHOシネマズ高岡)

公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/hatogeki-eiga/

 

直木賞作家だが、今は富山市でデリヘル嬢の送迎のバイトをしていて、

古本屋の老人に借りた3万円の返却にも窮している津田伸一は、

ひょんなことから3千3万円の大金を手に入れたが、使ってみたらこれが偽札。

その前にも、コーヒーショップで出会った本好きの男が失踪したり、

デリヘル嬢が入れあげた男の隠し事を知ってしまったり、

それらをきっかけに、富山の裏社会のドン倉田健次郎の組織に狙われ・・・。

という「新作小説」を津田伸一が女性編集者の鳥飼に読ませています。

書いている作家も津田伸一、小説内の主人公も津田伸一という作家。

 

鳥飼は「これはフィクションなのか現実なのか」何度も確認します。

というのも、現実の津田は過去にも実話を小説にして、

モデルになった人物から訴えられた過去があったんです。

さぁ果たして、今度の新作はフィクションか現実か・・・。

ここが本作のポイントです。

 

鳥飼は編集者として困惑してますけど、

実際には実話をもとにした小説なんていくらでもあるわけで、

訴えられちゃった過去はあるにせよ、

「本作は実話をもとにしたフィクションです」で逃げられるんじゃないですかね。

ただ、この新作が実話だった場合、津田伸一の命が危ないわけで・・・。

そういう意味でのフィクションか現実かのスリルはあります。

ですが、私はそれとは別のある事実に衝撃を受けました。書きませんよ。

 

さて、この新作小説が原作かフィクションか、

映画としては、最終的にどっちだったか示唆はしてます。

が、その上で、観た人がいろいろ解釈できるようにもなっている面白さ。

ある意味、一番のカギを握っていたのは倉田健次郎でした。

演じているのは豊川悦司さん。なんと、またしてもトヨエツ!

私、最近、豊川さんばっかり観てます。しかも、全て雰囲気の違う役。

なんだけど、格好イイですね。肌とか結構アレなんですけどね。

 

私、例によって原作未読なので、最近まで知らなかったのですが、

これ、佐藤正午さんの原作からして富山が舞台だったんですね。

当然のように富山ロケ、しかも、タカハタ秀太監督は富山県出身。

街なかでのロケが多いので、各シーン、どこで撮ったかすぐ分かります。

まさかの東京のシーンまで富山ロケで撮ってました。

まぁそこは、富山に土地勘のない方は気にせずご覧ください。

 

富山県外の方にはピンと来ないかもしれない地名を書きますが、

主人公が運転する軽自動車が新庄と呉羽を行ったり来たりしてる。

あの店はランキングギャグライブ劇団ばらの会議でよく使ったなぁ。

どうでもいいことですが、車内のラジオは82.7MHzでした。

といっても、音声が流れるシーンはありませんでしたけどね。

あと、「この町は必ず誰かが見ている」という台詞は妙にリアルだなぁ。

と、私も地元民なので、そんな感覚で鑑賞しておりました。

 

これは原作からしてそうなのか、映画の演出なのか存じませんが、

私が良いなぁと思ったのは、キャラクターによって富山弁度が違ったこと。

生まれも育ちも富山県でも、そんなに富山弁じゃない人もいます。

ゼロか100かじゃない、20%の人も80%の人もいます。

年齢は関係ありません。若くても、ほぼ富山弁の人もいます。

本作でいうと、コーヒーショップの定員、沼本もその一人。

大阪出身の西野七瀬さん、アクセントの正誤は別にして頑張ってました。

沼本はキャラクター的にも魅力的で、なぁちゃん好きになりそうでした。