映画『劇場版 おいしい給食 Final Battle』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『劇場版 おいしい給食 Final Battle』

『劇場版 おいしい給食 Final Battle』

(現時点で富山県内劇場での上映はありません)

公式サイト/https://oishi-kyushoku.com/

 

去年放送されたテレビドラマの中ではトクサツガガガと並び、

僕の中では東西の横綱に位置したおいしい給食の劇場版です。

こんなにスケールの大きくない(「小さい」とは言いません)ドラマを映画化!

しかし、鑑賞するのが楽しみで楽しみで仕方がなかったです。

甘利田先生が給食を楽しみにしているのと同じぐらい楽しみでした。

なのに、富山県での劇場公開は無し・・・。石川県では5館でやってるのに!

てなことで、今日(3/11)は金沢でお仕事があったので、その帰りに鑑賞。

 

はっきり言って、鑑賞前から★5つ。鑑賞後には★10個でした(^^♪

もう私にはドラマ未鑑賞の方の気持ちは分かりませんが、

多分、未鑑賞でも話は分かると思うし、それなりに楽しめると思います。

でも、前半はドラマテイストがてんこ盛りになっていて、

甘利田先生の「私は給食が好きだ・・・」のお決まりの台詞を聞いた時点で、

「お~!これこれこれこれ♪」と、もう喜びの笑いが止まりません。

ある事件が起きるまで、8割ぐらいクスクス笑ってました。

 

1984年、食育をモットーに掲げる常節中学校を舞台に、

教師、甘利田幸男の給食にかける情熱をコミカルに描いた物語です。

市原隼人さんはもともと熱さを感じる俳優さんですが、

彼が演じる甘利田先生の「給食愛」は半端じゃないんです。

「ブドウ豆があるのにレーズンパンという・・・」などと、

軽くツッコミを入れながらも、しかし、給食そのものをリスペクト。

そんなに給食って美味しいですか?などという発想はナンセンスです。

一口一口の表情、そこに合わせたナレーション、もう面白過ぎ!(^^)!

 

そして、先生は先生で王道の食べ方をして、それで満足すれば良いのに、

生徒の神野ゴウ君のアイデア多才な食べ方に敗北感を味わうんです。

ここでの甘利田先生のリアクションもめちゃめちゃ面白いし、

神野役の佐藤大志くんの笑顔も、憎めないギリギリ、むしろ可愛い!

神野君の食べ方は、たまに「それは反則では?」と思うこともありますが、

自由な発想に溢れていて、「◎◎はこうあるべき」というか、

「正解は一つ」的な教育のあり方に一石を投じているかのようです。

ただ、甘利田先生はかたくなな人だし、決して「いい先生」でもないですが、

彼なりに生徒や学校のことは考えているんです。

とにかく、この給食のやり取りが、この物語の根幹です。

 

そこに、同じクラスの副担任教師、御園先生とのお約束的やり取り。

武田玲奈さん、素朴に可愛く、新人教師らしい爽やかさもあります。

彼女は国語教師で、三島由紀夫『潮騒』からちょっと変わったテスト問題を。

採点中に甘利田先生に相談したら、彼は「私は文学に興味ない」って。

でも、給食中の解説は力強いポエムで文学的なんですけどね。

 

そんな二人の間に入ってくるのが、

劇場版から登場のキャラクター、教育実習生の佐野先生でした。

ただ、目立っていたのは最初だけ、中盤からは存在感が薄くなります。

そう、教育実習生の歓迎会の翌日ぐらいから徐々に。

飲めないお酒を飲んだ甘利田先生、いったい、あの夜に何があったのか。

文学の件も、歓迎会の件も、終盤にナイスな回収がなされています。

 

で、このまま進めば、ドラマっぽい熱くも緩い感じで終わるところでしたが、

ここで大事件が勃発します。なんと、常節市の全ての中学校で給食廃止!

これを学校に伝えに来た教育委員会の担当者を見てビックリ(@_@)

なんと!あの加藤優(説明割愛)こと、直江喜一さんじゃないですか~!

「これは決まったことです」と甘利田先生の話しに聞く耳を持ちません。

もう完全に組織側、権力側の人間を演じておられました。

あの加藤優(説明割愛)はどこに行ってしまったんだ。

いや、本作では加藤優(説明割愛)ではなく、鏑木という男の役ですが・・・。

 

そして、この流れだけでキャスティングに喜んでいた僕は、

終盤のクライマックスで度肝を抜かれてしまいました。

ごめんなさい、ネタバレだけど書いちゃいますね。

神野君が自分の給食愛を全教職員、全校生徒に訴えた方法は、

放送室に鍵をかけての全校放送だったのでした(@ ̄□ ̄@;)!!

これは凄い!最高の回収!さすがのオリジナル脚本!

前半は笑いっぱなし、後半からはウルウルさせて・・・、はい、★10個です。

 

自分の好きなものがあるというのは素晴らしいことです。

その愛を他人は笑っても良いけど、馬鹿にしちゃダメだと思うんですよ。

「笑う」と「馬鹿にする」の違い、分かっていただけますでしょうか。

そこにリスペクト、敬意があるかないか。ということです。

常節中学校では、校長先生もクラスメートたちも、

甘利田先生や神野君の給食愛をちゃんと理解していました。

ラストの「お弁当」のシーンも、「ああ、ここは良い学校だな」と感じました。

 

そういえば、『トクサツガガガ』は特撮、『おいしい給食』は給食。

題材は違えど、あれですね、僕はこういうタイプの話が好きなんですね(^_-)-☆