映画『ジョジョ・ラビット』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『ジョジョ・ラビット』

『ジョジョ・ラビット』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山)

公式サイト/http://www.foxmovies-jp.com/jojorabbit/

 

第2次世界大戦下のドイツに母親と二人で暮らす10歳のジョジョは、

空想上の「友だち」であるアドルフ・ヒトラーの助けを借りながら、

青少年集団「ヒトラーユーゲント」で兵士になるための訓練を受ける日々。

しかし、優しすぎるのか、訓練でウサギを殺すこともできないジョジョは、

教官から「ジョジョ・ラビット」と呼ばれ、仲間たちからもからかわれます。

そんなある日、家の片隅の壁の奥の部屋に誰かがいることに気づきます。

それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女でした。

 

公開初日(1/17)に観てました。

実は映画感想文、6本分ぐらい滞ってます(^_^;)

推敲不足な感じは否めませんが、UPしちゃえ~!

自分のための備忘録になれば良いや・・・。

 

これ、ニュージーランド出身のタイカ・ワイティティ監督作品で、

描き方とか好きで面白かったんですけど、アメリカ映画なんですよ。

アメリカが当時のドイツを風刺とはいえ、こんな形で笑うというのは、

戦勝国の驕りを感じて、観ていて気持ちのいいもではなかったです。

実際に今も戦争しまくってるのは君たちアメリカだからな!と言ってやりたい。

まぁ、日本がずっと戦争しないで済んでるのは・・・という話になると、

頭ごなしにアメリカ批判もできませんが、でも、モヤモヤする・・・。

ドイツ人役でも全員が英語で話しています。まぁ、これはもう仕方ないです。

 

オープニング、ヒトラーがいかにドイツで支持されたかを映像で見せながら、

ビートルズの曲が流れます。そのぐらい支持されていたということですね。

ジョジョ少年も盲目的にヒトラーを崇拝して、妄想の中に登場させています。

この妄想ヒットラーが全く魅力のない、アホみたいな男なのですが、

それは我々が歴史を知っているからかもしれません。

例えば、なぜか支持率は高いままでも現実的には評価できない為政者は、

今の時代にも存在するわけで、本作は当時も今も描いているようです。

 

ドイツ人の中にも反ナチでユダヤ人をかくまっている人がいました。

それがジョジョの母親。

ウサギも殺せない、自分で靴紐も結べない10歳のジョジョが

ヒトラーユーゲントに行くことは止めず、彼の現状の思想も尊重しながら、

しかし、本当に強いのは銃ではなく愛だと教えてくれる母。

スカーレット・ヨハンソン、こういう役もやるようになったのですね。

結局は処刑され、吊るされた彼女の靴だけが映し出される演出の上手さ!

 

ナチス側に身を置きながらも彼女の行いを見逃している人もいました。

キャプテンKはいろんなことが分かっていました。

ヒトラーユーゲントの子供らの前で「ドイツは敗色濃厚」と挨拶するのは、

アメリカ目線のギャグだけではない、深い意味があったのかもしれません。

彼は最後、ジョジョを米兵から守るために処刑される道を選びます。

ここも銃声だけで伝えるという、画で描かない上手さを感じます。

サム・ロックウェル、本作鑑賞の数日後に別の映画でも観ることに!

 

もう一人、重要な登場人物が、ジョジョの親友ともいうべき少年ヨーキー。

彼は何もかも分かっているというより、いわゆるクールなリベラルです。

あの時代だったからドイツ兵になって、戦争に身を近づけていますが、

なんだかんだで生き残り、ジョジョとユダヤ人少女の無事を、

特にイデオロギーもなく素直な感情で「良かった」と言える子です。

ある意味、こういう生き方が一番上手い(?)のかな・・・とも思います。

 

人は思い込んでる価値観に縛られがちです。

ジョジョは「ユダヤ人は人ではない」という認識でいたけれど、

日本人も戦時中は「鬼畜米英」と教わっていたのですよね。

終盤、ヨーキーは「ユダヤ人よりロシア人の方が酷い」とか言い出して・・・。

つまりはそういう話だったのかな。という印象です。

ジョジョはさまざまな体験を通して、自分自身の「正しい愛」を見出しました。

 

戦争が終わったドイツの町は、負けたけど「良かったね」感が出ていました。

「ドイツが勝った」と嘘をつかれたユダヤ人少女はジョジョをぶち、

しかし、彼女を失いたくなかったジョジョは納得し、

そして、もう彼らを守ってくれた大人たちはいなくなってしまったけれど、

これからたいへんだけど、二人で生きていけるという希望のある終了感。

正直、パラサイト 半地下の家族より希望はあると感じました。