映画『孤狼の血』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『孤狼の血』

孤狼の血

(5/12~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡)

 

昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島・呉原(架空の都市)で、地場の暴力団・尾谷組と新たに進出してきた巨大組織・五十子会系の加古村組のにらみ合いが続く中、加古村組関連の金融会社社員の失踪事件が起きた。所轄署に配属された新人刑事・日岡秀一は、暴力団との癒着を噂されるベテラン刑事・大上章吾とともに事件の捜査にあたるが、この失踪事件を契機に尾谷組と加古村組の抗争が激化していく。

 

「ザ・東映」って感じで、社運をかけている気持ちが伝わってきました。良いじゃん良いじゃん!“昭和のヤクザ”の雰囲気が分かりやすく匂ってます。昭和63年の広島が舞台なのは、暴対法のこともあるのでしょうが、昔気質のヤクザがギリギリいた時代だからかな・・・と、その世界をよく知りもしないで感じております。

 

ただ、主人公はヤクザではなく刑事2人です。「ヤクザはコマ」という大上の台詞があるのですが、終わってみれば、その台詞が活きていたな・・・という印象です。物語の途中からは、ヤクザの描写よりもミステリーの部分が興味深くなっていました。なので、あんまり感想も書けません。

 

若い日岡刑事の最初の目的などは伏せておきますが、大上に対する想いや、自分の中の「正義」というより「使命感」といった方が良いでしょうか、そういったものの変化も見どころです。「正義」は本当に難しい。ヤクザだけでなく、組織の中には「悪」がつきものなのかもしれません。またしても松坂桃李さん!ここでも!

 

大上の「警察は何をやってもエエんじゃ」という台詞は、単純に聞けば嫌悪感が湧いてきます。実際、過去に嫌な思いをさせられたこともありますので・・・。いや、助けられたこともありますよ(念のため・・・)。ですが、大上にはちゃんと目的があったんです。彼は「漢(おとこ)」でした。役所広司さん、やっぱ上手いですね!

 

作品で描かれている世界にどこまでリアリティがあるのかは分かりませんが、もともとプロレタリアとしての自覚が強めの僕は、あ~俺は堅気としてコツコツ生きていこう、ささやかな幸せに大きな喜びを感じて日々を生きていこうと、改めて感じました。そんな話でもないですが、現実に暴力団は今も存在しているので・・・。