映画『オリエント急行殺人事件』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『オリエント急行殺人事件』

オリエント急行殺人事件
(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、J-MAXシアターとやま)

1974年の作品は子供の頃に淀川長治先生の「日曜洋画劇場」で2回観た記憶があります。
ミステリーの往年の名作。オチが分かっている物語を楽しむ。古典落語みたいなもんです。
初めて観た時は子供ですから「オールスターキャスト」と言われても実感はなく、
ただただ、その衝撃的な事件の真相に口あんぐりでした。

本作も事件と真相は同じです。豪華キャストなのも同じ。
『オリエント急行殺人事件』はスター俳優をそろえなければならない約束なのかな。
いや、真相を考えると、そうぜざるを得ないところもあるのかもしれません。
そして、50歳の今、あの結末に少し違和感を覚えました。大団円ではないですよね。

エルキュール・ポワロは「世の中には善人と悪人しかいない」と言い切りました。
でも、その信念が真実を突き止めた彼に判断のためらいを生じさせることになります。
このブログでも何度も書いてきましたが、普遍的な正義はこの世に存在しないのです。
果たして、どんなに悪い奴でも、殺人によって葬ることは許されるのでしょうか。

それを言ってしまうと、『必殺仕事人』や『ゴルゴ13』は・・・となりますが、
あれは暗殺を生業にしている者の話で、自分たちは“裏稼業”であるとの自覚があるでしょ。
つまり、相手を殺すことに「正義」の概念はないところが物語としての魅力なのです。
あそこまで言ってしまったポワロは、あれでちゃんと気持ちの整理はできたのかなぁ。

さて、ケネス・ブラナーのエルキュール・ポワロは見慣れるまでに時間がかかりました。
これはこれで、特に髭などは多分に原作を意識して役作りがなされているようですが、
なんせ、あのテレビドラマ『名探偵ポワロ』のデビッド・スーシェの印象が強くて・・・。
CSのAXNミステリーで頻繁に再放送していて、たまに観ますが面白いです!

いや、本作も面白くなかったわけじゃないですよ。次作(ありそうです)も観ます!
ジョニー・デップが当時の装いとはいえ、特殊メイクなしで出演していました。
また、スター・ウォーズ/最後のジェダイで観たばかりのデイジー・リドリーは、
レイとは全く違う家庭教師の役で、若くてもプロの俳優さんは凄いですね。