映画『ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版』

『ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版』

(上映中~7/4:TOHOシネマズファボーレ富山)

公式サイト:http://godzilla1954.jp/


『ゴジラ』シリーズはDVDボックスを持っています。大好きなんです。

だから、観ようと思えばいつでも観られるのですが、やはり劇場で観ると感動が違います。

以前、TOHOシネマズファボーレ富山の5周年か7周年かの上映企画で劇場鑑賞したこともあるのですが、

あの時のものよりも、映像も音声も綺麗になってました。さすがのデジタルリマスターです!


あまりに映像が綺麗なので、ゴジラの尻尾のピアノ線まで分かりますが、

そんなことはどうでも良いです。日本の特撮技術は素晴らしいです。誇りです!

ほとんどのシーンが「一発勝負」で撮影されている緊張感みたいなものがあります。


今回、ハリウッド版GODZILLA の原点作品の上映といった意味合いもあるのでしょう。

でも、前にも書きましたが、ハリウッド版の予告編には、僕の中では受け入れがたい台詞があります。

本編ではどのように描かれているか分かりませんが、ゴジラが太古からの棲家を奪われた要因、

あの水爆実験が、そもそもゴジラを倒すために行われていたかのような言い方をされているのです。


この件に関しては「ふざけるなよ!アメリカ人!」と、現時点では思っています。

『ゴジラ』は戦後10年にもならない、昭和29年に公開されました。まだ、どっぷり戦後です。

とはいうものの、空襲で焼け野原となった東京は、復興してまばゆいばかりのネオン街に。

そこにゴジラがやってきて、またしても、東京を火の海にしてしまいます。


「せっかく長崎の原爆から生き延びたのに・・・」「また疎開先を探そうか・・・」

「もうすぐお父さんのところに行きますよ」など、時代を感じさせる台詞が各所に出てきます。

大戸島の住民は、みんな「わらじ」を履いていました。まだまだ日本は貧しいのです。


ところで、「もうすぐお父さんの・・・」というのは、ビルの陰で母親が3人の子供に言う台詞で、

つまり、父親は戦死していて、その後、母子で苦労してきた・・・と、単純に理解していたのですが、

物語の舞台が昭和29年だとすると、子供たちの年齢が幼すぎるような気がします。

復員はしてきたけど先立った・・・という解釈もなりたつのか?と、今日初めて思いました。


いずれにしても、反戦・反核というテーマはあります。

ただ、それだけではなく、日本の復興、完全なる独立という思いも込められているようです。

水爆実験はアメリカなど諸外国が行ったことなのに、ゴジラは日本にやってきて暴れます。

しかし、日本人はゴジラの駆逐を外国に頼らず、自分たちの手で成し遂げようとするのです。


といっても、自衛隊の装備ではなすすべもなく、最終兵器として使用されるのは、

民間人である芹沢博士が開発したオキシジェンデストロイヤーなんですけどね。

また、国会で政治家がアメリカに気を遣い情報隠ぺいを促す発言をしたシーンなど、

日本って実は何も変わっていない国なのかも・・・なんて感じたりもしました。


にしても、芹沢博士・・・。悲しいですね。

芹沢博士も戦争で大怪我をして復員し、許嫁同然だった山根博士の娘・恵美子と距離が出来ます。

でも、まだ好きなんです。だから、彼女にだけ自分の実験を「秘密だよ」と念押しして教えてしまいます。

だというのに、よりにもよって、恵美子は現在の恋人・尾形に秘密を話してしまうという・・・。


芹沢博士の最後の決断は、科学者としての想いと、男としての想いと、

その両方があった解釈するのは、ちょっと考えすぎでしょうか?

また、最終的に芹沢博士は特攻したのだと考えると、それもまた悲しい結末です。

でも、そもそもオキシジェンデストロイヤーに、平和利用の可能性はありますかね?


山根博士役の志村喬さん。ゴジラの説明が凄く分かりやすいです。

他の作品でもそうですが、志村さんの台詞は劣化したフィルムでも聞き取りやすいです。

今回はデジタルリマスター版なので、誰の台詞でもちゃんと聞き取れますけどね。


恵美子を演じる河内桃子さん。当時の育ちの良いお嬢様の雰囲気です。

河内さん自身、名家のご出身で、この役柄以上に、本当にお嬢様だったのですね。

そして、ゴジラ俳優、東宝特撮俳優としての活躍を続けた宝田明さんと平田明彦さん。

宝田さんはハリウッド版『GODZILLA』にもゲスト出演されているそうです。


子供の頃にテレビで初めて観た『ゴジラ』と、

今こうやって改めて観る『ゴジラ』では、当然のことですが、受け止め方が違ってきます。

でも、伊福部昭さんの音楽に興奮する気持ちは、昔も今も変わらないなぁ。


今日は普段よりネタバレを気にせず書きました。どうもすいませんでした。

ていうか、長すぎますよね。すいません、ちょっと興奮したんですよ。