自民党中小企業・小規模事業者政策調査会・中小企業DXPTの視察を行いました。

まずは、オンラインでもヒアリングをさせて頂いた小柳建設株式会社さんから。IT企業のようなミーティングルームなどを配したオフィスで建設業界DX革命を通じて新3K(給料、休日、希望)を進めています。MR(複合現実)技術を活用したホロストラクションも体験しました。


会議室に現場を持ってくるイメージです。実物大の建物を再現でき、ホロレンズを使って建物の中に入る、図面ではなく3D化された中を歩き回って計画を立てる、手戻りがでない状態を関わる人みんなで共有することができる、この感覚を実感しました。

「前のめりになっている所とは一緒に頑張れる、地域には背中を見せて行くだけ。」



続いて、新越ワークスへ。

2016年から大学生のインターンシップを受け入れてきたところ、カンボジアの留学生から言われたのが「FAXってなんですか」だった、とのこと。インターネットで繋がっているパソコンがあるのになぜ使っていないのか、というシンプルな質問から、DXが進んだ、といいます。

燕の強みは、連携にあり、分業により素早く量産体制に入れることにあるのに、ざる一つに、18枚の伝票が行ったりきたりしていたり、部品が品番ではなく名称で管理され「ハンドル」や「とって」と統一化されていなかったりしたそうです。一つ一つの企業がそれぞれ単体でDX化するのではなく、地域全体が一つのクラウド上でつながる必要がある、という結論にいたり、システム(SFTC:Smart Factory Tsubame Cloud)を作ることになったそうです。もの作りに集中できることで付加価値創造に繋げる、対面での営業に時間を使う、DXの一つの形を見ることができたと思います。

「地場産業の成長にはトップランナーの育成しかない。DXは企業存続に必須。」



鈴木力市長からは燕市の魅力をお伝えいただきました。東京オリパラ大会の選手村やノーベル賞の晩餐会にも使われているカトラリーを生産しています。使い捨ての多いオリパラ大会でのカトラリーの使用には、当初困難が予想されそれを覆すべく市をあげた運動が展開されていたので、当時のことを私も良く覚えています。選手村で使われたフォークやナイフは今は道の駅のレストランなどで再利用されています。



1200社の製造業の従業員は20人未満の規模が約90%で「通い箱」と呼ばれる分業体制によりサプライチェーンを形成しています。まち全体を一つのクラウドにしなければ、人口減少社会で生産性を上げることはできない、という危機感が共有されていたことでクラウドの開発に至り、進捗管理(何%まで完成しているのか)や納期管理が可能になったのだと感じました。

そして、今や規格外野菜の情報を共有することで、製造業の方が農家さんに買取に行く、という業務以外の使われ方も始まっているとのこと、興味深く聞かせて頂きました。

「一社が海外の展示会で受注した話を地域に持って帰って、地域で専門分野を分担して担うことができるのが特徴。」


最後の視察先は阿部工業。

セルフレジ釣銭機やATMなど通貨関連機器、医療や半導体関連機器など精密金属加工の企業です。パートの方も含めて全ての社員さんがタブレットで加工履歴と時間を報告、全体納期の情報共有を進めています。社内の情報をしっかりスタッフが把握することが大事だと気付かされます。

カメラでバーコードを読み込むと指示書が示される仕組みで、着手、完了の管理も可能で、図面も手元で確認することができます。また各工程でチェックされたものも保存されていき、不具合が出やすいところの写真やベテランの映像もすぐに見ることができます。平均加工時間が見えるので、段取りや受注見通しに活用でき、週休2日を可能にする労働時間管理にも繋がっているそうです。

「『そうだ、写真を撮ろう』気づいたことを写真、動画で撮って技術を残そう。ベトナムやフィリピンの方々にも継承しよう。若いスタッフの意見を聞いて取り入れよう。」


「人間が行うべきことに特化する為にプロセスのDXを進める。」工場見学も含め、現場の視察の意義を実感した1日となりました。