中小企業・小規模事業者政策調査会、中小企業DXPTではサービス業界とGXを踏まえたDXについてヒアリングを行いました。

印刷産業のMIC株式会社は、30年間で50%の市場を失ったと言われている印刷業ですが、平均給与が上がり、残業時間が減り、女性社員比率50%を実現しました。DXを顧客価値(CX)+収益構造(BX)+組織改革(AX)と位置付けています。

印刷物をきらびやかにして値段を上げるのではなく「お客さまの面倒くさい(非効率)を全て引き受けてコンサルティングも行うことにした」というコンセプトで、ハブとしての役割を担っています。AIで一番最適な梱包を導き出し、例えばドラッグストアに送られるあらゆるメーカーの商品を共同配送することで、配送コストを下げ、廃棄物も減らしたといった事例も紹介いただきました。

https://www.mic-p.com/


株式会社陣屋からは女将の宮﨑知子さんに来て頂きました。「陣屋コネクト」は予約管理から顧客管理、社内SNS、設備、勤怠、会計、売上管理までデータを揃えることで自動的に経営分析ができる、エクセルを使わないシステムです。十年以上経った今でも開発は随時行われているそうです。大浴場では使い終わったタオルの量で清掃のタイミングを知らせるなどの工夫も行われています。

以前は、情報の上位者である予約係がフロントへ、そこから接客係へ、そして清掃係へと情報が一方通行であったので優越が生まれていたそうですが、情報を共有するシステムにしたことで、それぞれの部門で主体性が生まれたというご紹介もありました。

観光地域エリア全体での取り組みとして、休館日を調整しずらして営業することで価値の担保と値崩れを防止する、副業をマネジメントする、お客様のマーケティングを行い地域のお祭りやイベントの案内をする、海外も含めてパイを広げ共存共栄を目指す、といった事例も始まっています。

電話の対応をAIに置き換えるニーズもあるようです。また椅子やベッドなど家具も作家さんの展示物販売とする取り組みも興味深く聞かせて頂きました。

https://www.jinya-inn.com/index.php/topic/home_ja


3社目のSotas株式会社は脱炭素の鍵を握る素材産業、なかでも化学産業のサプライチェーンの変革を目指す企業です。

化学産業は、各種法規制、サイレントチェンジ(原材料の変更)、多重構造という難しさがある産業と言われています。リサイクラー含む化学産業の中小企業に工程管理・リサイクルやデータベースを提供することで、プラスチック・ゴムの成形会社(全国に2万社以上)のマッチングや化学調査(社長クラスが全体の20%の工数を費やしている)や在庫管理、実績入力(3分の1や4分の1のリソースがかけられてきた)のシステム化が実現しています。

また、法規制の変更をAPIで連携することで中小企業が対応できるような仕組みについても将来像をお示し頂きました。

DXの上にGXはある、まずはDXを実現して行くこと、というお話も説得力がありました。

https://sotas.co.jp/about/


DXPTではDXに取り組む企業、またシステム面からサポートするスタートアップ企業のヒアリングをしてきていますが、毎回前向きなプレゼンテーションにパワーと政策アイデアをいただいています。