AIスーツケースによって、視覚に障害のある方でも、思うままに自由な旅や、お出かけができるようになる」

 

そんな世界への実現に向けて、今日、日本の空港で初の実証実験が行われ、私も立ち会わせて頂きました。

日本科学未来館の浅川智恵子館長が推進してきたAIスーツケースには、ナビゲーションシステムやセンサー、モーターなど内蔵されています。

北海道エアポートの蒲生社長はじめ皆様にご協力を頂き、夏休みの観光客で賑わう空港の搭乗ゲート付近で、実際にAIスーツケースを使って、目的地(チョコレートのお店)まで、辿り着くことができるのか、実験を行いました(今後のAI学習のためにデータも取っています)。

一般的なスーツケースと同じように、AIスーツケースも手で押しながら進みますが、安全に目的地に行けるよう、AIが常に判断をしており、むしろ、スーツケースが人間より先を進んで、行くべき方向へ誘導してくれます。もちろん危険な場合にはスーツケースが止まって知らせてくれます。また近くのお店などの情報も音声にて教えてくれます。

私も実際に体験させて頂きましたが、短い距離ではありながらも、「空港」という普段から歩き慣れていない場所であることもあり、改めて日常生活において視覚から多くの情報を得ていることを感じました。今自分がどこにいるのか、ナビゲーションの音声によって搭乗口が近いことや、お手洗いの場所を知らせてくれなければ、全体的な方向感覚もつかめず、とても不安だったと思います。 目的地のお店に到着したら、くるっと90度回転して、お店と向き合うようにしてくれました。

好奇心から、スーツケース前まで、ひょっこりと様子を見に来られたお子さんもいましたが、お子さんの飛び出しにも、スーツケースの方がちゃんと止まって、ぶつかるのを避けてくれました。一方で、お手洗いの出入り口など人がひっきりなしに移動するような場所では、なかなかAIスーツケースが間合を取って進むことができず、しばらく立ち止まってしまう時間もありました。それこそ目配せをしながら、ここだ、というタイミングで進んでしまったほうが、逆に相手が止まるなどして、スムーズに交差できるような場面もあるのでしょうが、AIはあくまでも安全性が最優先です。そこは今後飛躍的な学習を遂げる技術と、技術と共に暮らす人間の課題かもしれないと感じました。

屋「外」の地図と違って、「建物内」の地図や情報を最新のものにアップデートし続けるのは簡単ではありません。今回の実証を通じて得られたデータから、実用化に向けた次のステップに進んでいくことと思います。これからも進化を続けるAIスーツケースに注目していきましょう