規制改革について、これまでも医療・介護・感染症対策WGや人への投資WGでの議論は記してきましたが、地域活性化WG、スタートアップ・イノベーションWGも活発な議論が行われているのでその一部を紹介しておきたいと思います。

まず、地域活性化WGでは「牛乳・乳製品の生産・流通に関する規制改革」を議題としました。平成28年、29年の規制改革実施計画での議論を通じて、平成30年から酪農家が出荷先を自由に選べる新たな制度に移行され、酪農家自らがチーズなどの製造・販売する6次産業化の取り組みが増加し、生乳流通事業者の新規参入も見られるようになりました。しかし独占禁止法上問題となるおそれのある行為を受けたという回答もあったことから、農林水産省が公正取引委員会と連携し、酪農家や乳業メーカーが自由な取引を実現できるように有識者の皆様にご議論頂きました。

スタートアップ・イノベーションWGでは「老朽化マンションの再生」を議題としました。日本では国民の1割以上の1500万人超がマンションに居住し、全国のマンションストックは675万戸、そのうち約103万戸、15%は築40年超と言われています。10年経てば232万戸、20年経てば405万戸と高経年マンションが急増することが見込まれています。マンションが老朽化したら、大規模修繕や改修を行うか、建て替えることになりますが、建て替えの場合は区分所有法により所有者の賛成が必要です。現行賛成に必要な人数は5分の4以上ですが、権利者の探索が困難な場合などもあり合意形成の難しさが指摘されています。令和2年7月の規制改革実施計画で、決議の在り方について緩和を含めて検討することとされ、法務省でも専門的な研究会を開催して頂いています。高経年マンションの急増を控えて法改正を早期に実現できるようにと規制改革の観点から議論も進めています。