本日は、日本科学未来館を訪問し、浅川智恵子館長との懇談、展示視察をさせて頂きました。浅川館長はIBM特別功労教授としても活躍されていますが、小学校時代にプールでの怪我がもとで徐々に視力が衰え始め中学2年生の時に失明、プログラミングを学び2020年には視覚障害者のためのナビゲーションロボットAIスーツケースを発表しています。日本科学未来館は「誰一人取り残さない、ダイバーシティーを大切にするインクルーシブな社会の実現に向けてアクセシビリティ技術の社会実装に寄与する」取り組みも行っているので、まさにデジタル庁のミッションとの重なりを感じ、浅川館長とお会いできるのを楽しみにしていました。


懇談の時間では、スクリーンリーダーを活用してスマホでアプリを使うシーンを意識したアクセシビリティについても、貴重なご示唆をいただきました。日本科学未来館は遠足や修学旅行で学生さんが訪れる場所として人気ではありますが、浅川館長は今後人生100年時代をどうテクノロジーで有意義なものにしていくかを示していきたい、とおっしゃっていました。高齢者も含めて幅広い世代の方が日本の技術力に触れ、長寿社会への希望を感じる展示がますます増えていくと思います。ぜひ一度訪れてみてください。宇宙の魅力にも出逢えます。

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そして、AIスーツケースを私も触らせて頂きました。目的地をスマホに登録すると半歩先をスーツケースが進んでナビゲーションしてくれます。右に曲がる時には持ち手が右にブルブルと震えるなど、わかりやすく、目的地に着くとピタっと止まって知らせてくれます。人などぶつかりそうな障害物は避けてくれます。浅川館長と話しながらAIスーツケースと共にお散歩したのですが、「白杖をついて歩いていると、杖に神経を集中させているので、一緒に歩いている人とおしゃべりがなかなかできない。AIスーツケースであれば、行きたい場所に案内してくれるので街歩きも楽しめる」とおっしゃっていました。SF映画の未来が今にやってきた、という感覚になりました。

こうしたデジタル時代のテクノロジーの実装は、技術中立、ゴールベースで考える必要があると思っています。事前に画一的な規制を入れてしまったらそれが参入障壁となってイノベーションやチャレンジが生まれにくい環境になってしまう可能性があります。今日も第12回規制改革推進会議を開催し、中間取りまとめも行いましたが、その肝は「事後型の規制制度への見直し」だと考えています。予想が困難で劇的かつ急激な変化が起きうる時代だからこそのルール作りを私達は進めています。

ポイントは「デジタル原則」であることを第2回デジタル臨時行政調査会でお示ししました。書面、目視、常駐、実地参加等を義務付ける手続・業務について、デジタル処理での完結、機械での自動化を基本とする「デジタル完結・自動化原則」などを整理しました。規制、規律がデジタル原則へ適合しているかどうかを点検する際の対象として、国が定める規制として、法律、政令、省令に加えて、告示、通知、通達など全体で約4万以上が該当することになります。条項では約5000が該当します。行政手続きは2万以上です。各府省庁と連携して、点検と必要な見直しを進め、来年春には一括的な規制見直しプランを取りまとめる予定です。ここから総点検が本格化していきます。