去年の六月くらいのことだったと思います。
自分の人生の舵を取り戻したんだ!という気がしました。
人生の新しい流れに乗ったんだという、強い感覚。
何があったわけでもなく、ただ単に、そんな気がしたのです。
メディアワークス文庫賞を受賞する前のことで、
そんな未来を知りもしなかったのですが……。
ただ、作家デビューは流れの中の一つの出来事で
決して全体ではなかった気がします。
「新しい流れに乗って見える景色や、出会う人々のことが
楽しみでしかたがありません」
そんな希望に満ちたことが、当時の日記には書いてありました。
結論から言うと、流れには激流箇所もあったわけで、
なりこ筏なんて木っ端微塵になっちゃうんじゃないかと思ったこともありましたが、
そんな出来事さえも含めて、
生きてるってそれだけで輝いてることなんだなって
素直に思っている今日この頃です。
新しい出会いたちや、輪郭のぼやけたままゆらゆら揺れている新しいプロットのこと、
夏の暑さや、スイカ、天ぷら、メール、おしゃべり、風鈴、おそば。
毎日まいにち、そこにしかない景色があって、今が大切で、
どんな一瞬も見逃したくないと思ってしまいます。
相変わらずこれからのことにわくわくできているなんて、
我ながら幸せものだなあ。
来年の夏も再来年の夏も、同じように、自分にわくわくしていたいです。
しばしのお休みは終わり、明日の午後からまた、
コピーと小説、ことばの世界へと帰ります。