年内最後の業務です。
そして、この事務所でお仕事をする最後の日でもあります。
年内をもって、今の事務所を移転することになりました。
それはわたしにとっても、本当に突然のことでした。
現在事務所が入っているビルが、取り壊しになると聞いたのが夏の初め。
父の代から40年、自分の代から16年。
まさかこの場所を離れる時がくるなど、それは晴天の霹靂でした。
正直、
その話を聞いたとき、もう事務所をたたもうかと、うっすら思っていたわたし。
父が築き上げてきたこの事務所があったから、わたしは書士をやってきて、
母がその数十年間父とともに作り上げてきた、この場所をただ守りたくて、
それなくして、わたしの書士人生、続ける意味なんてあるのかな、と。
◆◆
たくさんの想いが詰まったこの場所。
幼いころは、父の職場として、学校帰り遊びに来たり
学生時代は夏休みだけ、簡単なアルバイトをさせてもらったり
父が亡くなったときは、まだわたしは受験生で、一時別の先生に来てもらい、
それでもわたしの合格を信じ、母はその先生のもとで働き続けることで、この場所を守ってくれ、
二年後ようやく、この場所で母と二人でマキオ事務所を再建。
それまで何度も困らせて
たくさん心配をかけさせて
何ひとつしてあげられなかったわたしだけど
この場所を取り戻し、そして守り続けることが、唯一の親孝行でした。
そんな父と母の思い出がたくさん詰まったこの事務所。
家族の大事な場所でした。
父の面影と、母の思い出と、自分で紡いできたたくさんの時間。
本当にずっとここにいられると、
当たり前のように信じていたんだよ。
◆◆
もちろん、
そういいつつも、そうあっさりと、事務所をたたむわけにはいかないので(メシ食えないし走ってらんないし)
たくさんの覚悟と腹をくくって、新しいところで再出発と、この年末に移転を決意。
本当はあと一年はいられる契約だったけど、「いつか」その日がくるのであれば、その日に怯える日々のほうが辛い。
どちみち迎えるサヨナラであれば、先延ばししても仕方ない。
もう、ここを卒業しよう。
そしてたった一ヶ月で、物件を決め、契約を済ませ、引っ越し作業もバタバタと完了。
感傷に浸ってるヒマもなく、過ぎていく慌ただしい日々。
これでいいんだ
これしかないんだ
すべての荷物を運び出すのは年明けの7日。
がらんとしたその部屋を見て、わたしはようやく泣けるのかな。
◆◆
そんな令和2年の年末。
今年は、
大好きだった祖母を亡くし
生まれ育った実家を失い
身内の一人ともお別れし
そして事務所ともさよなら。
失うことが多い年だったな、と、なんとなく胸がカラカラと鳴ります。
そんなときに、わたしを救ってくれたこの記事
本当に泣けた。
ありがとう。
この言葉をもらえてよかった。
「サヨナラを積み重ねないと先へ進めないのだ」
もしかして抱えすぎていたかもしれない荷物を全部手放して、両手が空いている今。
これからなんでもつかめるかな。
この先にも未来はあるかな。
さよなら、事務所
そしてこれまでの日々。
それでも進んでいく。
「喪失の、その先へ。」