最善の仕事 | みやみの『住めばmiyako』

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久しぶりの休日出勤。


スカッシュの試合を棄権してまで終わらせたい仕事がありました。


今年の三月から係属している相続案件。その最後の面談交渉。


個人情報の兼ね合いもあるので詳細は記載できないけれど、おおまかに概要を書くと、


まず、被相続人は未婚、子供および配偶者がいないので、相続人は兄弟姉妹となり、


その兄弟姉妹の中には、両親をともにする全血兄弟、父親だけが一緒の半血兄弟、そして、養子のため、全く血の血の繋がっていない法律上の兄弟がおり、


その兄弟の中に、既に亡くなっている人もいるため、代襲相続が起こっており、


しかも、その相続人の中には、戸籍をたどって初めてその存在が明らかになったという方もおり、その所在はもとより、生死の確認からしなければならないという、


初めて依頼いただいたときは、全く着地点が見えないという、司法書士の試験なみに複雑な親族関係。


加えて、


相続人の一人が認知症になっており、遺産分割協議のため、後見人の選任申し立ても必要で、


おまけに、一部の兄弟間が、何の因果か、お互い「一生会いたくない」と言い切るほど絶縁状態にあり、


いやいや、本当に、正直しんどい案件でありました。


それが、


ようやく、


終結。


立場上、一応、全員の相続人さんとお会いし、お話したんですが、ホントに皆さん様々な意見をお持ちです。


どなたも多分、ウソはついてない。起こった事実も多分一つ。


それでも、各々、違う立場から見ると、わたしに伝える事実が異なってくる。


自分のしていることは見えても、その他の人が何をしているのか見えないのは当たり前。だから仕方ないんですけどね。 みんな小さな自分の「常識」を持っているわけで。


人間関係って、難しい。ましてや、生じっか血の繋がっている兄弟だとなおのこと。


現実に起こっている紛争は、法律なんかじゃ割り切れない、「感情」ってもんがあるんだなあ、と実感。


まあ、取り合えず、五ヶ月掛けて、ようやく依頼人の希望していた着地点に降りることができました。


最後の面談。


相続人の一人から、「先生は、この判断が正しかったと思いますか」と聞かれました。


最終的には、わたしが提示した案に、判子をついてもらうことになったので、その「提案」を指し、それが「正しかったと思うか」という意味なんですが、わたしは答えました。


「正しいかどうかはわかりません。それでも、これが最善策だと考えています」と。


誰にとっての正なのか、誤なのか。そんなことを考えていたら、わたしはきっと思考が停止する。


わたしは、わたしの立場でしか、物事を判断できない、それがわたしの仕事。


少なくとも、わたしだけでも、自分の判断を「最善だ」と信じていたい。


「もう、先生に会うこともないでしょうね」と、その相続人は別れ際に言いました。


もちろん、それでいい。わたしに会うときは、また何か揉め事がおきたときだろうから。


受任したのはまだ肌寒い3月末。桜が散り、梅雨が明け、猛暑も落ち着き、もうじき秋がやってくる。


本当に世の中、いろんなことがあるね。


長かった月日を、しみじみと振り返る。