命のライブ | みやみの『住めばmiyako』

みやみの『住めばmiyako』

いつか沖縄で開業する日を夢見て、仕事に遊びに全力疾走中♪

昨夜ライブに行ってきた。


ジャズやボサノヴァ、そんなお洒落なものではない。

テーマは「命」。福祉の世界で働いているシンガー達が奏でる、小さな小さな「命の」ライブだ。


きっかけは、一カ月ほど前に参加した交流会。たまたま、隣の席に居合わせた「みながわじゅん」は、お葬儀屋さんの名刺を差し出した。聞けば大田区の方で、独立してお葬儀屋さんをしているという。まだ40そこそこの若い社長だ。人懐こい笑顔がとても印象的だった。


少しお酒が入り、「実は、こういうこともやっているんです」と「みながわじゅん」は、別の名刺をわたしに渡した。そこには、まったく別の顔。覆面姿の男の写真が載っていた。そこに書かれているのは、「葬祭戦士 オガムンダー」。これが彼のもう一つの顔だった。


「葬祭戦師オガムンダー」とは。以下、かれのホームページから、そのプロフィールを抜粋させてもらう。


『日本の葬儀を守る愛の戦師。宿敵国際ダビ機関「アシュランが巻き起こす葬儀トラブルを速やかに解決。愛車“スマッシュ09(レイキュー)”を自在に操り、アシュランの悪巧みをいち早くキャッチ。必殺木魚ボンバーや印金レーザー、本輿ブーメランで敵を蹴散らす!』


これによると、オガムンダーのスーパーマシンは、霊柩車であり、ジョウドと呼ばれる葬祭戦士本部は、「みながわじゅん」が経営するお葬儀屋さんであり、そして、その活動の一つとして、『戦いの合間を縫って「命はひとつ」を伝える、世界初のブスペル※シンガーとして、葬儀の現場で見たことや感じたこと、命の尊さや儚さを、或る時は歌にのせ、或る時は映像やステージで表現している。』、らしい。


なんとも、冗談だか、真面目だか、わからないこの「オガムンダー」こと「みながわじゅん」。お誘いいただいた「命のライブ」右下矢印に、参加させてもらうことにした。




みやみの『住めばmiyako』


場所は、飯田橋から徒歩すぐの居酒屋さん。狭いながらも、到着時にはすでに満員だ。


昨日は「じゅんじゅんライブ」と銘打ってあり、福島からの女性シンガー「あべじゅん」、自身で作詞作曲をされている「わたなべじゅん」、そして、「みながわじゅん」の「じゅん」と名のつく三人での公演。この三人は、介護福祉の現場で働いているという説明。どうやら、みながわじゅんは、「オガムンダー」の傍ら、ヘルパーの仕事もしているようだ。


トップバッターは、「あべじゅん」、本日、福島での公演を終えた足で東京に駆けつけたらしい。福島。今日本で最も注目されている県だろう。そこでの生活を一つ一つ、明るく話すあべじゅん。自分の娘への、今後の将来に向けて語りかけた歌がとても印象的だった。


「わたなべじゅん」は、一見とてもフツーのおじさん(失礼!)だが、福祉の世界ではとても立派な肩書を持つ。彼はギターの演奏に合わせて自身が作った歌をのびやかに唄う。高校に行くのも危うい、できの悪い生徒の面倒を見ていたが、最後には「努力すれば報われるという言葉はウソだと思っていた、けど、生まれて初めてその言葉が本当だと知った」と言ってくれた、それが本当に嬉しかったという気持ちを詩に託した歌は、「勉強ができないくらいで、落ち込むな」と力強く語りかけていた。


最後の「みながわじゅん」は、自らを「命のシンガー」と名乗り、命の大切さ、大切な人への想いを真っ直ぐに唄っている。「無事」という歌は、「無事にまた会える」ということがどんなに素晴らしいか、これを当たり前のように感じている、平凡な日常への感謝の気持ちを綴り、「少しの勇気」という歌は、大げさなことではなく、ちよっとした勇気が、自分を世界を変えることを唄い。


中でも「頑張ってって言わないで」という歌は、「これ以上どう頑張ればいいの」と、介護に疲れた女性の深く切ない気持ちが込められている。これは、福島に住む「あべじゅん」が作った詞だという。東日本大震災を受け、連日流れる「頑張ろう、日本」という言葉が、苦しくて仕方なかった、と。「どう頑張ればいいの」、と。あべじゅんの言葉は、被災者の言葉そのもののようで、とても重かった。


最後は、ヘルパーの大変さ、辛さを笑い飛ばす「ヘルパーシャララ」という歌で締め。みながわじゅんは、このヘルパーという言葉について、こう語る。「誰でもヘルパーなんですよ」と。「自分たちはたまたま、職業としてその名前をもらっているけれど、お年寄りに席を譲る、身内のお世話をする、困っている人に声を掛ける、それも全部ヘルパーであり、誰しも助け助けられているんですよ」と。最後はライブ会場にいた全員での大合唱となった。


このような、介護職応援コンサートは、また次回9月10日に江戸川区タワーホール船堀で開催される。介護職に携わる方でなくても、この「命のライブ」に一度足を運んでみるのもいいかもしれない。少なくとも、全く畑違いの自分でも、得るものがたくさんあった。お葬儀屋、そしてヘルパーとしての現場で働いている、みながわじゅんの唄う命の尊さ、儚さは、胸に沁み入るものがある。


そして、「葬祭戦士 オガムンダー」のホームページを良かったら見てみて欲しい。とてもマジメには見えない姿で、とても真面目に自らの使命考えている覆面男がそこにいる。一生懸命な姿は、とても眩しく、そしてかっこいい。


(みなじゅんさんと右下矢印)



みやみの『住めばmiyako』