6例目の判決 | みやみの『住めばmiyako』

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お仕事の依頼を頂戴した、弁護士先生からの連絡がぱったりと途絶えた。


あら?急ぎの案件だったよねえ、と、失礼ながらも催促の電話を入れてみると、事務局さんから「すみません、今、裁判員裁判にかかりっきりなもので。あと二週間は連絡がとれないと思います」とのお返事。


あら、忙しいのねえ、とのん気にその二週間を待っていると、本日、ようやく先生からメールが来た。


裁判員裁判にかかりっきりで、連絡遅くなり申し訳ありませんでした、とのお詫びとともに、今回の裁判の件。


「結果的には、(裁判員裁判での)6例目の死刑判決が出てしまいました。」


あ、あの裁判に携わっていらっしゃったんだ、とようやく気付くわたし。

それは、川崎の幸区で起こったアパート3人殺害事件。そういえば、17日に死刑判決が出ていたよな、と。


事件の概要は、こうだ。

「同じアパートに住む加害者+被害者3人。加害者は隣室に住む被害者の一人の、部屋の扉の開け閉めの音に、不満を抱いていたことから、包丁で殺害。その妻と、大家であった兄も刺殺した。」


扉の音かよ・・・


いやいや、こういうのだからこそ、積年の恨みというのが生まれるのかもしれない。お金で解決できないことこそ、実は根が深く、厄介だったりするものだ。それに加え、隣人というのも、一番近い他人。そこが上手くいかないと、ストレスは家中に蔓延する。安らげる場所がないということだから。


弁護側は、起訴内容はほぼ認め、殺害時、お酒に酔っていたことで、事理弁識能力の欠如を主張、また、体を壊した後、静かな余生を暮らすために選んだアパートで受けた嫌がらせにて、極限状態に陥ったとして、情状酌量を求めていた。


しかし。裁判員の表決は「死刑」


「弁護人としては、やりきれない思いです」と先生のメールには綴ってあった。


正直、司法書士は、刑事訴訟には携わらないため、死刑判決なんて新聞やドラマの世界だと思っていた。けれど、こんなに身近に、人の生死に関わる現場で戦っていらっしゃる先生がいると思うと、それは急に現実味を帯び、こんな風に社会は進んでいるんだ、などと、法律家らしからぬ、感慨がそこにはあった。



今、先生がどんな思いをされているんだろう、と思っても、とうていわたしにはわからない。


もちろん、死刑判決を出した裁判員の気持ちも、被害者の遺族の気持ちも、加害者側の気持ちも。


死刑制度というものの良し悪しなんかも、語れるほどの造詣もなく。


ただ、今は、一市民として、先生にお疲れ様でしたというしかできない。



先生、お疲れ様でした。落ち着いたら、急ぎの案件、またご指示下さいね。