想うこころ、繋がる世界。 | まきおの隠れ宿

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劇団スタジオライフの牧島進一です。
皆様との交流の場をコソッと増やそうとブログを始めてみました(^_^;)
内容は徒然、不定期更新になると思いますが、
宜しくお願い致します!

2016年12月1日。
2007年の再演以来およそ10年振りに、『DAISY PULLS IT OFF』がShinyチームの幕を開けました。

初演を新人時代に体験し、再演も同じ役で出演したデイジー。音響仕込、ロビー飾りと手伝いを重ねている中、またグレンジウッド女学院での学院祭が始まることをワクワクして待っていました。

観劇する舞台の開演前にこんなにワクワクするのは初めてかな。と思うくらいの躍動。
出演したことがある作品より、予備知識がない新作の方がいつもはドキドキなのですが、今回はそれを遥かに凌ぐ期待をしてしまう。

「俺デイジー好きなんだなぁ」

と改めて感じる。

僕は初演、再演とこの作品でベリンダ・マシソンという役を演じていました。
特に初演は自身の怪我による休業からの復帰第1作目だったので、10年以上を経た今でも、舞台、袖、客席の空気、全て鮮明に記憶しています。

事故で怪我をして自身の新人公演を休み、役者を続けるか否かを悩んでいた当時。実は僕にとってはこの作品は役者として再スタートを切ったとても大切な作品だったりしたのです。出演しながらにして、本当に沢山の勇気をもらいました。僕がスタジオライフに入団したのはトーマやLILIESを観たからですが、今まで続けて来れたのは、デイジーという作品に勇気と希望をもらったからかも知れません。

と、話が逸れました(^_^;)

とにかく、僕はワクワクしながらサンモールの片隅で、関ちゃんと並んで開演を待っていました。




はい、ここからです。
ここから多少ネタバレします!
ストーリーに関する部分は極力避けますが、先入観を持たずにマイ初日を迎えたい方は読まないで下さい。すみません




やがて、例のテーマ曲と共に登場するグレンジウッド女学院の生徒たち。
そのエネルギーとテンションに、思わずニヤリとしてしまう。グレンジウッド女学院の学園祭が、始まった。みんな凄く元気に走り回っているけど、あの初登場ってみんな開演間際本当にドキドキしています。僕は初演を新人時代に、再演もまだ若手時代に経験しているのでいつも心臓バクバクでした。久しぶりの再演なので初デイジーを控えている方も多いと思うので、どんな幕開きかは劇場で体験して下さい( ^ω^ )


校長挨拶を経て、始まる劇中劇。
主人公デイジー役を演じる女生徒を演じるのは、我が愛娘うさぴょん。もはや劇団員にすらまくしものうさぴょん贔屓は有名だが、娘を贔屓するのは普通だろ!と開き直る。

設定上、今回の作品の客席に座るお客様は、グレンジウッド女学院の学園祭の出し物を観に足を運んだお父さんお母さん、兄弟姉妹やお友達といった存在となる。

「父兄になるんだなぁ今回は(笑)」

なんて冗談交じりで話したりしていたけれど、観れば観るほどに自分の娘たちを見守っている気分になってくる。

これはきっと、僕がリアルに身内だから、というだけではなく、Shinyチームを見守っていた皆さんが感じた想いであるように僕は思います。

理由は実はあるんです。

観ている最中は勿論そんなこと考えていませんでしたが、今、思います。

それは

「Shinyチームで生徒たちを演じたみんなが、本当に生徒たちだったから」

だと僕は思います。

つまり彼らは、スタジオライフ公演『DAISY PULLS IT OFF』を一俳優として演じる以上に、グレンジウッド女学院の一生徒として、父兄の皆さんに対して、学園祭でのお芝居で楽しんでもらおう!というスタンスでいたのです。

彼らがそういう想いで存在していたから、僕は自然にそれを見守る父兄になっていたのだと思います。

昨日父兄になっちゃった皆さんは、僕の気持ちがきっとわかると思います。

Shinyチームは若さ故、すごく純粋です。まっすぐに役と向かい合い、相手役と対峙して、結果生まれた感情を素直に作品に乗せていきます。
それが今回のシンプルで、飾らない、ただ率直な想いだけが随所に飛び交うデイジーという作品にバシっとハマった。そんな風に思います。


Shinyチームは主演のデイジーがうさぴょん、親友のトリクシーに客演の月岡さん、ジビルに久保ちん、モニカに松村という番手。
ベリンダ、クレア、アリスといった重要な役も客演の皆さんが担っているので、正直隠れ宿的本音としては、

「果たしてどこまでスタジオライフの作品になるのか」

という一抹の不安がありました。
客演さんが新たな風を吹かせてくれる、というのは勿論プラス要素として認識される部分なのですが、Shinyチームに関してはシングルの谷沢さん含めてメインキャストの半数以上が客演さんという過去のスタジオライフ公演ではなかった試み。

きっとスタジオライフを応援して下さっている皆さんにも僕と同じ不安を感じた方もいるのかな、と思います。

しかし、全くもって杞憂でした。

デイジーとトリクシーの友情。

クレア先輩の温かさ。

アリス先輩の熱い想い。

ベリンダの正義感。

そして、ミスター・トンプソンの存在感。

何一つ違和感なく、『DAISY PULLS IT OFF』の世界に馴染み、むしろ彼らと共にあるからこそShinyチームのデイジーの世界は成り立っている。とすら感じました。



そして、何より今回感じたことは、ツイッターでも少し触れた、うさぴょん、久保ちんの著しい進化です。
いや、最近あまり彼らと共に過ごす時間がなかったので気付いていなかっただけかも知れません。

今回遂に主演に抜擢されたデイジー役のうさぴょん。パパの贔屓目抜きにしても、本当に立派に、デイジーとしてそこに生きていました。

うさぴょんに対して凄いと思うことの一つに、彼が本当に女の子にしか見えないこと、ということがあります。
これは以前から感じておりました。

うさぴょんは、衣裳やヘアメイクなしでも、例えば稽古場でジャージ上下にカツラなしで演じていてもしっかり女子なのです。というか女子にしか見えない。これ本当に凄いことだと思います。

今回は主演。デイジーはほぼ出突っ張りなので、実はその理由の一部を見つけてしまったのですが、そこは企業秘密ということで…というか、きっとうさぴょん無意識なんだろうなぁ。だから、普段から女子なんですよね…うさぴょん(笑)

芝居そのものに関しても、数年前とは見違える程の成長を見せています。というより、きっと元々出来る子だったと思うのですが、うさぴょんの場合何か自分の演技に対して自信がないというか、

「こう演じなきゃいけない」

みたいなプレッシャーと義務感に駆られていたようにも感じています。
徐々にそれが抜けていって、本来彼が持っていたポテンシャルまで辿り着いた、という印象。

役者としてはきっと体力的にも精神的にもかなり追い込まれる役にも拘らず、全くそうと感じさせず、本当にただ躍動感溢れるデイジーとしてそこに存在しています。

きっと、今うさぴょんは凄く芝居を楽しんでる。

それが、その躍動感につながって、デイジーという役に直結している。

以前から兆しは見えていたのですが、デイジーという役との出会いはきっと彼にとってかけがえのない糧になる。そんな気がしています。



さてさて、一方シビル役の久保ちん。
これはついに久保のフリータイムが発動した、という第一印象。

元々彼が持っている破天荒な一面がシビルという冠を得てついに舞台上に発現した、と僕は感じています。

素の久保ちんの面白さがシビルの奔放さとフィットして、初挑戦にも拘らず、まるで「もうずっとシビルでしたけど?」と言わんばかりに堂々と存在していました。

うさぴょんと同じく、おそらくは多大なプレッシャーの中に身を置きながらも、その中でシビルとして生きることを心から楽しんでいる。そして、『Blood Relations』を経たからなのか、「演じることをせず、ただ役としてそこに存在する」という芝居に置いて原点でありながら、なかなかに実現が難しい処に着実に近付いています。

砕いて言うと、一見アドリブ部分やキャラクターを際立たせた台詞や振る舞いが目を引くのですが、実はそうではないベースの存在の仕方が先にきちんとあって、「だからシビルはこういう発言をする、行動をとる」というところへ結果的に辿り着いている。この順序が逆だと何をやっても空々しく、時にウケ狙いとして見えてしまったりするのですが、先に礎があるのでシビルとして違和感なく受け入れることができるのです。

役者としては当たり前のことなのですが、コメディに於いては特に大事なポイントでもあります。そこを確実にクリアしてきた久保ちん。本人は

「今回は自由にやってます(笑)」

と軽く言うけど、その自由に辿り着けたのは、これまで経験した作品で着実にその「存在の仕方」を模索し続けてきた結果。努力の賜物でしかない。そんな風に感じました。

そして同時に、面白さだけでなく、彼の「人を大切にする心」がシビルという役の本質にある、実は純粋な心と真っ直ぐさが先にあって、結果としてイジメっ子の立場になってしまっている、という部分と見事に合致しています。役とのフィット感としては久保ちん至上MAXかも知れません。



その他の出演者に関しても感じたこと、素敵なところが沢山あるのですが、ただでさえ長いブログが大変なことになってしまいますので、キャストについては今回はこの辺で。




何より強く感じたのは、やっぱり『DAISY PULLS IT OFF』の世界は、観ているだけで本当に幸せで、優しく、前向きな気持ちにさせてくれるということ。

幼い生徒たちが、幼いが故にシンプルに言葉を紡ぐことで、ダイレクトに観ている者の芯に響いてくる瞬間が沢山あります。

彼女たちの何気ない一言や、

彼女たちにとっては当たり前のことが、

現代を生きている僕達にとっては忘れかけている大切なものとして、深く胸に刺さるのです。

少なくとも僕は、とりわけきっと感動的に描写されている訳ではないちょっとした会話の中で、二度ジーンとさせられ、二度泣かされました。

彼女たちの互いを想うこころが、客席で見守る父兄である僕達と繋がり、世界が一つになる、そんなデイジーという作品。

2時間半の上演時間が物足りないと感じてしまうくらい、本当に幸せな時間でした。



初日挨拶。

キャスト全員が、達成感と、未来への希望に溢れた明るい表情でそこに立っていました。

徹さんも話していましたが、みんなこの作品を通して皆さんに元気と勇気を届けたい、と思い臨んでいながらも、演じている出演者がお客様から沢山の元気をいただいてしまう公演でもあります。

劇団員として、申し訳なくなるくらいお客様に背中を押してもらっているのですが、

同じ父兄の側に立ってみて、

そんなの当たり前だよ、みんな、家族として応援しに来てくれてるんだから。お前らがそんなにガンバったら、背中押さずにいられないよ。

そんな風にも思ってしまいました。


そして僕は彼らからちゃんと、

数え切れないくらいに

元気と、勇気と、優しさと幸せをもらいました。


最後になりましたが、昨日の学園祭初日に駆けつけて下さった皆様、生徒たちを応援して下さった皆様、本当にありがとうございます。過去デイジーに出演していたから解るのですが、本当にこの作品はお客様と一緒に世界を紡ぐ作品です。
彼らを支えて下さったこと、心より感謝しております。



さてさて、本日ついに幕を開けるMysticチーム。

昨日のShinyとはきっとどう考えても全く違う作品になるであろう顔ぶれ。

今日はどんな学園祭になるのか、ワクワクは続くのです。

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