有能だが協調性のない近松優子(江口のりこ)は会社をリストラされ、父(笑福亭鶴瓶)がひとりで暮らす尼崎の実家に帰ってくる。それから8年、40を目前にした優子はニートになりまだ実家で暮らしていた。「人生に起こることは何でも楽しまな!」がモットーな父はある日、再婚相手として20歳の早紀(中条あやみ)を連れてくる。破天荒で能天気な父とその再婚相手と、優子とのうまくいくはずのない共同生活が始まる。

 映画の中盤、優子はお母ちゃんの葬式の後を思い出す。でかいおにぎりを作ってくれたお父ちゃんがえべっさんのお面を被って「笑え」って言うシーンで、劇場内もわあっと笑いが起きた。けれどあのとき、お面の下でお父ちゃんは泣いていたんだと思う。

 そんなうまく行くか!と思う部分もあるし、家族愛に多少辟易しながらも、てっきり商社マンとの婚約を破棄して尼崎駅前のおでん屋であり同級生(駿河太郎。かっこいい。)とくっつくとばかり思っていたのでラストはなかなかよかったし、鶴瓶の深みのある語り口、流れてくる奥田民生の歌声に琴線をつんつんと触られてしまった。


『あまろっく』

中村和宏 監督

2024 ハピネットファントム・スタジオ