出版企画書を作るとき、
多くの方が悩むポイントが「章立て」です。
テーマも決まり、
読者も見え、
悩みの核心もつかめた。
それでも「章をどう並べればよいのか分からない」
という声を本当に多くいただきます。
まず最初にお伝えしておきたいのは、
本の構成(章立て)の作り方”と、
今回【出版ロードードマップ #20】 の章立ては
“扱っている視点がまったく違う”ということです。
【出版ロードマップ#10】 では、
「テーマから章立て(構成)を作る方法」
を扱いました。
テーマの要素を整理し、
WHAT(何を書くか)を軸に章を組む工程です。
一方、今回のは、
「読者の心の動きを章構成に落とし込む」 回です。
WHAT ではなく、
HOW 読者を導くか。
読者の“内側の変化”を起点に章を並べていきます。
つまり、
-
#10:テーマの構造化(外側)
-
#20:読者の変化の構造化(内側)
同じ章立てでも、
視点がまったく異なるため、
両方理解すると企画は一気に強くなります。
✅ 悩み
順番ではなく
「読者の変化」が見えていない
「章立ての作り方が分からない」
「伝えたいことはあるのに順番が定まらない」
そんな悩みは、
実は“情報の多さ”が原因ではありません。
問題はただひとつ。
読者がどう変わるのかを、まだ言語化できていない。
企画書は、著者が話したい順番ではなく
読者が変わっていく順番で作る必要があります。
編集者が企画書を読むときも、
その順番がわかる「目次」からチェックします。
章立てを読者心理から作るべき理由は3つ。
1.読者の“痛み→変化”の道筋が見える
章立てが読者の心の動きに沿っていると、
読者がどこから始まり、
どこへ向かうのかが一目で分かります。
2.編集者が「全体像」を一瞬で理解できる
章立てを見ただけで、
「この本は読者の心をこう動かす」
と編集者が理解でき説明しなくても、
伝わる企画になります。
3.売れている本は必ず“読者の変化”が
一本線で通っている
ベストセラーの目次はどの本も、
読者の変化が一本の線で貫かれています。
その線が本の強さです。
章立ては、ロジックの技術ではありません。
読者の気持ちの動きを追う技術です。
✅ テンプレート
読者の変化を元に章立てを作る
「5段階の流れ」
章立て作りに迷う人は、
「順番を考えよう」としがちです。
しかし本質は、順番ではなく “変化” です。
ここでは、どんなテーマでも応用できる
読者の変化の5段階フレームを紹介します。
STEP1:痛み(現在地点)
読者が今、どこで苦しんでいるか。
例:「朝がつらい」「弱音を見せられない」
ここから本は始まります。
読者の痛みをまず受け止める場所。
STEP2:理由(背景)
その苦しさがどこから来ているのか。
例:完璧主義・役割期待・
自責のループ 痛みを背景から理解することで、
読者は「自分だけじゃないんだ」と思えます。
STEP3:理解(気づき)
読者が一歩引いて自分を見られる段階。
例:「弱さを見せてもいいのかもしれない」
ここで読者の心に小さな光が差し込みます。
STEP4:方法(行動)
日常で実践できる習慣やメソッド。
例:心の緊張をほどく習慣、
頼る練習 希望が見えた読者は
「これなら試せるかも」と思い始めます。
STEP5:未来(変化)
読者の心が軽くなる、"読後の景色"。
例:「朝を少し優しく始められる」
読み終えた後の自分を、読者が静かに想像できる場所。
章立ては、
この"痛み→理由→理解→方法→未来"の順で作ると、
どんなテーマでも自然に一本線になります。
✅ 例文
実例:読者の心の動きを章立てへ
落とし込む2つのプロセス
テーマ:「朝の不安で動き出せない40代女性」
ここでは、実際に章立てがどう生まれ変わるのかを
、Before/After と心理の流れの2軸で見ていきます。
● プロセス①:Before→Afterで見る章立ての変化
まずは“迷子の章立て”の典型例です。
【Before:情報の羅列になっている章立て】
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1章:朝の辛さ
-
2章:朝を整える習慣
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3章:時間管理のコツ
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4章:生活リズムを整える
-
5章:前向きに生きるために
一見、悪くなさそうに見えますが、
この章立てが弱い理由は3つ。
-
著者の「話したい順番」になっている
-
読者の“感情の動き”が見えない
-
WHY を飛ばして HOW へ進んでおり、読者の痛みが置き去り これでは、読者が置いてけぼりで編集者には刺さりません。
【After:読者の“痛み”から逆算して作った章立て】
読者の変化を5段階で整理します。
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STEP1:痛み 「朝、布団から出られない」「弱さを誰にも言えない」
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STEP2:理由 「完璧でいなければならない」という思い込み
-
STEP3:理解 「弱くてもいい」という視点に触れる
-
STEP4:方法 心が軽くなる3つの習慣、頼る練習
-
STEP5:未来 「自分を責めない朝が始まる」
この5段階を、そのまま章立てに変換します。
【変換後の章立て】
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1章:朝がつらい理由
-
2章:心の奥にある"思い込み"
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3章:弱さに触れる
-
4章:心が動き出す習慣
-
5章:優しい朝を迎えるために
どうでしょうか。
【変化ポイント】
-
読者の回復のプロセスが一本線で見える
-
読者の気持ちの動きと章の順番が完全に一致
-
タイトルも自然に立ち上がる(例:「弱さを隠さなくていい朝」)
これが読者心理ベースの章立てです。
読者の心の動きに沿った章立ては、
編集者の心も動かします。
● プロセス②:各章に“読者の心理”を重ねる
章立てがさらに強くなるのは、
「読者がどんな気持ちでその章を読むか」
を意識したときです。
【1章:朝がつらい理由】
読者心理:「分かってほしい」
読者が求めているのは、
まず"共感"です。
自分の痛みを言語化してもらうことです。
【2章:心の奥にある思い込み】
読者心理:「理由を知りたい」
背景を理解することで
「自分だけじゃない」と安心が生まれます。
ここで読者は、自分の苦しさの理由に初めて触れます。
【3章:弱さに触れる】
読者心理:「希望を探している」
「もしかしたら変われるかもしれない」
と思い始め確信はありませんが、
小さな希望が見えてきます。
【4章:心が動き出す習慣】
読者心理:「試してみたい」 具体的な方法を知り、
「これならできるかも」と感じる段階です。
読者の心が、少しずつ前を向き始めます。
【5章:優しい朝を迎えるために】
読者心理:「未来を描ける」
読み終えた後の自分の姿を、
少し想像できるようになります。
ここで本は、読者を未来へ送り出します。
心理を重ねるだけで、
-
各章の役割が明確になり
-
順番の必然性が生まれ
-
企画書の説明欄も書きやすくなり
-
読者が迷わず読み進められる
章立ては読者理解の深さと比例します。
✅ NG例
章立てでやってはいけない
3つのこと
1. 著者の「伝えたい順番」で作る
→ 読者の気持ちが置き去りに。
「私はこれを伝えたい」という順番で章を並べると、
読者の心の動きとズレてしまいます。
主語は、常に読者です。
2. 解説を詰め込みすぎる
→ 一つの章に情報を詰め込みすぎると、
章ごとのテーマがぼやけ、
読者が迷います。
一章一テーマ。
それが読者に優しい構成です。
3. “方法”から書き始める
→ いきなり「こうすればいい」
と方法から入ると、
痛みが置き去りになり、
読者がついてきません。
まず、痛みを受け止める。
それが章立ての始まりです。
章立ては、著者の都合ではなく
読者が変化していく順番で作ります。
✅ まとめ
章立ては“変化のストーリー”
である
章立ては、
読者の 「痛み → 理由 → 理解 → 方法 → 未来」
という変化のストーリーです。
編集者が最初に見るのは“順番の必然性”。
ここが整うと、
タイトルも企画骨子も本文の流れも自然に揃います。
読者の心の動きを丁寧にたどった章立ては、
読み終えたときにそっと息が軽くなります。
企画書とは、
読者の未来に静かに手を添えるための"構成の技術"です。
あなたが作る章立てが、
読者の心を、やさしく導いてくれますように。
次回予告
構成が整った企画書を、
どう仕上げれば編集者に届くのか。
企画書完成に向けた“最後の工程”を
一緒に整えていきましょう。
※2026年4月から、
noteで出版メンバーシップ(出版塾)を設立予定です。
どうぞお楽しみに。
✅プロフィール
本を33冊書き、
累計430万部の本を売ってきた 出版プロデューサーの西村真紀です。
出版の実務と「40代からの諦めない人生」を
noteで綴っています。
出版ロードマップ https://note.com/maki_nishimura/n/n87ded8b6db46
40代からの諦めない人生(もうひとつのnote) https://note.com/novel_weasel1557
詳しい自己紹介 https://note.com/maki_nishimura/n/nfdf8f160cd58
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