文章を書き始めるとき、

多くの人が意識するのは「中身(結論)」です。

 

 しかし、残酷な事実があります。

 

どれだけ素晴らしい中身が書かれていても、

最初の数行がつまらなければ、

その先は一行も読まれません。

 

読者が読むか、

そっとページを閉じるか。

 

 その判断が下されるのは、

最初の数行にある「導入文」です。

 

多くの読者は直感的に

「この文章は自分を前に運んでくれるか」

を感じ取り、

読む・読まないの選択を静かに行っています。

 

 導入文で読者の心が離れてしまえば、

どれだけ役立つノウハウも届くことはありません。

 

けれど、導入文は名文である必要はありません。

 

 大切なのは、

読者の心が本文へ自然と歩き出せるよう

心理的な段差をなくす“設計”をすること。

 

構造がないまま書き始めたり、

情報を詰め込みすぎたりすると、

読者は息が詰まり、

文章から離れてしまいます。

 

今日は、読者が最初の数行で離れないための

「導入文の作り方」、

そして書き出しから本文へ迷いなくつなぐ「橋渡し」の技術について。

 

 27年間の出版現場で培ってきた視点から、

誰でも使える「型」をお届けします。

✅ 「続きが読みたくなる書き出し」

と「離脱する導入文」

決定的な3つの違い

導入文には、読者が思わず続きを読みたくなる

「読まれる導入文」と、

最初の段階でページを閉じてしまう

「離れる導入文」があります。

 

この違いは技術というより、

最初の数行にどれだけ“読者の心理”

置けているかで決まります。

●離れてしまう導入文の共通点

❌ 1. 情報を詰め込みすぎて、読者が息継ぎできない

 書き始めに「説明」や「背景」を

すべて載せてしまうと文章が重くなり、

読者は“読む前に疲れる”状態になります。

 

❌ 2. 説明から始まり、読者の関心が乗らない 

「この文章では〜を扱います」といった前置きは、

まだ興味が立ち上がっていない読者には届きません。

最初に説明を置くと、読者の心が止まってしまいます。

 

❌ 3. 書き出しと本文のトーンが違う 

やわらかい書き出しのあとに急に論理的な説明が始まったり、

情景のあとに唐突に専門用語が並んだりする。

これだけで読者は「ついていけない」と感じます。

●読みたくなる導入文の共通点

一方で、読みたくなる導入文には次の3つが必ずあります。

 

✓ 1. 読者の“今の気持ち”を一行で迎える 

読者は自分の心を映してくれる言葉に安心します。

たった一行で空気が変わります。

 

✓ 2. 本文の方向性をやさしく予告する

 テーマを押しつけるのではなく、

「この方向へ一緒に歩きましょう」

という案内の一文があると、読者はゆっくり心を開きます。

 

✓ 3. 余白とリズムがあり、読者が呼吸できる 

文章には“呼吸”があります。

最初の段落に余白がある文章ほど、

読者は安心して進めます。

 

内容を理解する前に、

読者は「無理なく読めるか」を本能的に判断しています。 

導入文とは読者を安心させ、

本文へ歩き出す準備を整える場所なのです。

✅ 誰でも再現できる

「導入文の書き方」

3つの型(テンプレート)

導入文は才能ではありません。

型を知れば、誰でも再現できます。 

 

出版現場で最も使われる「3つの型」を紹介します。

型1:寄り添い型(エンパシー導線)

読者の「今」を言語化し、心の緊張をほどく型です。

【例文】 「朝の通勤途中、足が少し重く感じる日があります。なぜだか分からないけれど、今日は少し憂うつ。そんな朝をあなたも経験したことがあるかもしれません。」

 

 

・効果: 

読者は「この人は私の気持ちを分かってくれている」

と共感から入ることで、

心の扉が静かに開きます。

 

・どんな読者に刺さるか: 

悩みを抱えている人、

孤独を感じている人。

 

・どんなシーンで使うか:

 心理的なテーマ、

悩みに寄り添う内容。

型2:問いかけ型(内省導線)

読者の思考をやわらかく開かせる型です。

【例文】 「その小さな違和感は、どこから来るのでしょうか。もしかしたら、それは心が何かを伝えようとしているサインかもしれません。」

 

・効果:

 問いかけられると、

人は内側へ答えを探したくなります。

その「知りたい」という気持ちが、

読者を本文へ導きます。

 

・どんな読者に刺さるか: 

自分の内面と向き合いたい人

、原因を知りたい人。

 

・どんなシーンで使うか:

 原因を探る内容、内省を促す文章。

型3:情景型(物語導線)

ワンシーンで文章の"空気"をつくり、

読者を落ち着かせる型です。

【例文】 「冬の光が白く見える朝は、心が少しだけ敏感になります。街の音も、人の声も、いつもより少し遠く聞こえる。そんな朝に、ふと立ち止まることがあります。」

 

 

・効果:

 情景は読者の心をやわらかくします。

物語の世界に入るような感覚で、

文章を読み進めることができます。

 

・どんな読者に刺さるか: 

イメージで理解したい人、

物語が好きな人。

 

・どんなシーンで使うか: 

エッセイ的な内容、

心の動きを描く文章。

 

この3つの型を使い分けることで、

どんなテーマでも読者を引き込む導入文が作れます。

✅ 導入文から本文への

「橋渡し」の技術

導入文の次に大切なのが、

導入文から本文へ読者を迷わせず運ぶ「橋渡し」です。

 

橋渡しで重要なのは以下の3つです。

 

1.トーンの連続性

 書き出しのトーンと本文の空気が違うと、

読者はつまずきます。

やわらかい書き出しには、

やわらかく本文へつなげる一文が必要です。

 

2.情報量のコントロール

 いきなり深い話を始めるのではなく、

階段を一段ずつ上がるように情報を増やしていきます。

 

3.段差のない“つなぎ”

 読者が迷わないための“案内の一行”がある文章は、

それだけで格段に読みやすくなります。

 

効果的な橋渡しの例を挙げておきます。

  • 「その小さな違和感には、理由があります。」

  • 「ここから少し、視点を動かしてみましょう。」

  • 「次の章では、その背景を整理していきます。」

たった一行加えるだけで、

文章全体に“読者のための動線”が生まれます。

✅ 【実例】ひとつのテーマで

「3つの型」を書き分ける

では、実際にどう使い分けるのか。

 「40代の働き方の迷い」という同じテーマで、

3つの書き出しを作ってみましょう。

 

●【寄り添い型】の実例

「このままでいいのか、と思う瞬間があります。仕事も家庭も、それなりにこなしている。でも、心の奥に小さな違和感がある。40代になって、働き方に揺らぎを感じる女性は少なくありません。」

 
  • 有効なシーン:

  •  悩みに共感してほしい読者、自分の気持ちを言語化してほしい読者

  •  

●【問いかけ型】の実例

 

「なぜ、40代になると働き方に揺らぎを感じるのでしょうか。それは、人生の転換期に差しかかっているからかもしれません。体力、役割、価値観。少しずつ変化していく自分に、心がついていけない。そんな時期なのです。」

 
  • 有効なシーン: 

  • 分析的な内容、理由を説明したいとき。

  •  

●【情景型】の実例

「駅のホームで電車を待つ朝、ふと立ち止まることがあります。急ぐ人の流れの中で、自分だけ時間が止まったように感じる。40代の働き方の揺らぎは、そんな静かな瞬間に訪れます。」

 
  • 有効なシーン:

  •  エッセイ的な導入、季節や時間を絡めるとき。

  •  

同じテーマでも、型を変えるだけで、届く読者も文章の空気も変わります。

✅ まとめ

導入文は“技術”であり、

才能ではない

導入文は、

才能ではなく“構造”で書けるようになります。

 

最初の数行を整えるだけで、

文章は驚くほど読みやすくなり

、読者の心が自然に本文へ向かいます。

 

 導入文とは、読者を大切に思う気持ちを形にするための作法です。

 

読者が求めているのは、

「理解」よりも「安心」です。 

 

丁寧な導線は、必ず読者の未来を変えます。

 

書くことが怖い日も、

迷う日も、まずは静かな一行から始めてみてください。


明日の予告 

文章の中盤で読者を離さない小さな起承転結の作り方

【出版ロードマップ #22】

 

 

導入文の次に待っているのは、

読者を最後まで運ぶ“中盤の重心”。

 

 一緒に整えていきましょう。

※2026年4月から、

noteで出版メンバーシップ(出版塾)を設立予定です。 

どうぞお楽しみに。


✅プロフィール

本を33冊書き、

累計430万部の本を売ってきた 出版プロデューサーの西村真紀です。

 出版の実務と「40代からの諦めない人生」をnoteで綴っています。

 

出版ロードマップ https://note.com/maki_nishimura/n/n87ded8b6db46

40代からの諦めない人生(もうひとつのnote) https://note.com/novel_weasel1557

詳しい自己紹介 https://note.com/maki_nishimura/n/nfdf8f160cd58

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