文章が書けるようになってきたのに、
いざ企画書となると手が止まってしまう——
そんな声をよくいただきます。
前回までの【出版ロードマップ #12〜#16】では、
文章の書き出しから中盤、
後半、
そして仕上げまで、
言葉を磨く技術をお伝えしてきました。
でも、どれだけ文章が上手に書けても、
それだけでは出版企画は通りません。
今日からは視点を再び“出版”に向け、
文章で育てた力を、
どのように企画書へ翻訳するのかその入口に進んでいきます。
文章から企画書へつなぐ工程は、
多くの人がつまずく大きな壁です。
企画書とは、
“文章の力を、読者へ届けるための設計図” です。
文章と企画書をつなぐための“5つの視点”と、
文章から企画書へ変換する具体的なプロセスを
丁寧にまとめていきます。
✅ 理由
なぜ“文章力”だけでは
企画が通らないのか
どれほど文章が上手くても、
企画書が通るとは限りません。
それは、文章と企画書が役割からしてまったく違うからです。
文章は「言葉そのもの」で読者に触れます。
企画書は「本という形にして届ける理由」を提示します。
文章が向いている方向は“内側”です。
企画書が向いている方向は“外側”です。
出版とは、読者の悩みをどのように言葉で救い、
どんな未来を提示できるか——
その“構造の強さ”が求められる世界です。
文章が上手でも企画が通らない理由は、
文章が“点”なのに対し、
企画書は全体の“地図”であるためです。
編集者が企画書で見ているのは、
-
誰の悩みか
-
どんな価値を届けるか
-
なぜ今、そのテーマが必要なのか
-
なぜあなたが書くべきなのか
-
どれくらいの読者に届く可能性があるか
文章力だけでは、
この“必然性”を説明できません。
だからこそ、文章で深めた視点を“構造化”してあげる必要があります。
今日はその方法を明確にしていきます。
✅ 視点
文章と企画書をつなぐ
“5つの視点”
ここからは、
文章の世界観を企画書へ落とし込むために必要な
“5つの視点”を紹介します。
① 読者(誰の悩みか)
文章の書き出しで描いた読者像と、
企画書の読者設定を一致させます。
文章では「朝、不安で目が覚める30代女性」と書いたなら、
企画書でも同じ像を一文で示す。
ズレると、企画全体の説得力が失われます。
② 問題(どんな悩みか)
文章の中盤で深掘りした"読者の痛み"を、
企画書では一文で言い切ります。
「自己肯定感が低く、毎日が苦しい」。
企画書は、悩みを一言で刺せる強さが必要です。
③ 解決(何を提供できるか)
文章で扱ったHOWを、
企画書では"再現性のあるメソッド"として構造化します。
「朝5分の習慣で心を整える3ステップ」のように、
読者が実践できる形へ。
④ 著者性(なぜあなたが書くのか)
【出版ロードマップ #12〜16】で明らかになった
"言葉の温度""視点の独自性"は、
企画書にとって大きな武器です。
企画書では、
-
経験
-
失敗
-
転機
-
なぜこのテーマに向き合えるのか
を短く示す必要があります。
著者の物語には本を書くための力があります。
⑤ 市場性(どこで、誰に届くか)
文章では触れにくい編集者目線を、
企画書で補います。
「自己啓発コーナーの30代女性向け、1400円の単行本」などと
-
書店ではどの棚か
-
同ジャンルの本は何か
-
どんな読者層に届けられるか
市場性がある企画は、編集者が動きやすくなります。
✅ 手順
文章→企画書に変換する
“3ステップ”
文章で育ててきた世界観を、
企画書へ変換するための導線を示します。
STEP1:文章の“核”を一行にまとめる
例:「朝の不安を整える習慣で、40代女性の心が軽くなる本」
「自己肯定感の揺らぎを整えるための小さな習慣」
文章の核を一行で言えるようになると、
企画書の骨格が自然に見えてきます。
STEP2:その一行から“企画骨子”を作る
-
読者
-
悩み
-
背景
-
解決
-
未来
文章で深めた内容が、
企画書ではこの5点に集約されます。
STEP3:骨子を“企画書の目次案”へ落とす
例:
-
1章:悩み
-
2章:背景
-
3章:方法
-
4章:具体例
-
5章:未来
文章の構成が整っていれば、
企画書の目次はそのまま“言い換え”で作れます。
※この順番は、企画書を作るうえで本当に重要なポイントです!
✅ 例文
実例:文章→企画書に変換するプロセス
テーマ:心が疲れやすい30代女性の“自己肯定感の回復”
ここからは、
文章の構造を企画書へ落とし込む2つのプロセスを実演します。
▷ パターン①:文章 → 一行企画案
まず、文章を書いてみます。
・【書き出し】
朝、目が覚めると、また今日も始まる。
そう思うだけで、胸が重くなる。
誰にも言えないけれど、
自分のことが好きになれない。
そんな30代女性は、少なくありません。
・【中盤】
自己肯定感が低いのは、
あなたが弱いからではありません。
これまで頑張りすぎて、
自分を大切にする方法を知らなかっただけ。
心が疲れやすいのは、
感受性が豊かだからです。
・【後半】
朝の5分、自分に優しい言葉をかける。
それだけで、心は少しずつ軽くなります。
自己肯定感は、大きく変えようとしなくていい。
小さな習慣の積み重ねが、
あなたを支えてくれます。
この文章から導き出される「一行企画案」は、
こうなります。
「朝5分の習慣で、
心が疲れやすい30代女性の自己肯定感が回復する本」
企画の核が、美しい一行になります。
▷ パターン②:文章の章立て → 企画書の目次案へ
次に、文章で書いた内容を章立てに整理してみます。
【文章の章構成】
-
第1部:朝が辛い理由
-
第2部:自己肯定感が低くなる背景
-
第3部:心を軽くする朝の習慣
-
第4部:30日間の実践例
-
第5部:変わり始めた自分と向き合う
これを、企画書の目次へ翻訳します。
【企画書の目次案】
-
第1章:なぜ朝が辛いのか ― 心が疲れやすい30代女性の本音
-
第2章:自己肯定感が育たなかった理由 ― あなたは悪くない
-
第3章:朝5分でできる、自分に優しくなる習慣
-
第4章:30日間の変化 ― 実践者の声と具体例
-
第5章:これからの私と、穏やかに生きる
文章の章立てを「企画の目次」へ変換するとき、
大切なのは"読者が本を開きたくなる言葉"に置き換えることです。
章タイトルに、読者の悩みと希望を映し出す。
それが、企画書の目次の役割です。
文章→企画書は、
“言い換えながら構造を整える” だけで良いのです。
✅ NG例
企画書でやってはいけない
3つのこと
文章が書けても、企画書で失敗しやすいのが次の3つです。
1. 読者ではなく“著者の願望”で書く
「私はこれを伝えたい」
だけで書かれた企画書は通りません。
編集者が見たいのは“読者の悩みと必然性”。
企画書の主語は、常に読者です。
読者の悩み、読者の未来。
それが見えているかどうかが、
企画の強さを決めます。
2. 情報だけを詰め込み、物語がない
データや事実を並べるだけでは、
企画書は動きません。
企画書にも"物語"が必要です。
読者がどんな悩みを抱え、
この本と出会い、
どう変わるのか。
その流れが見えると、企画は生きてきます。
情報の羅列だけでは“熱”は伝わりません。
3. 書いた文章の“熱”を企画書で失う
文章を書くとき、
あなたは読者に届けたい想いを込めていたはずです。
その熱を、企画書で冷ましてはいけません。
企画書は構造ですが、
同時に"あなたの声"でもあります。
静かでも、芯のある熱を、企画書にも宿してください。
文章の魅力が企画書で薄まると、
説得力が下がってしまいます。
✅ まとめ
企画とは、
読者と著者が重なる場所
文章と企画書は、まったく別の作業に見えますが本質は同じです。
文章で深めた“視点”は、
企画書にとって大きな武器になります。
読者の悩み、問題の言語化、解決の構造、そして言葉の温度。
それらが企画書という形に重なったとき、
企画は静かに強くなります。
企画とは、読者の未来と著者の想いがちょうど重なる場所に生まれるものです。
次回予告
読者が誰なのか、
鮮明にする技術【出版ロードマップ #18】
明日からは、企画書の“読者設定”についてお話しします。
企画の強さは、読者像がどれだけ鮮明かで決まります。
あなたの言葉が、誰に届くのか——
一緒に、丁寧に見つめていきましょう。
※2026年4月から、
noteで出版メンバーシップ(出版塾)を設立予定です。
どうぞお楽しみに。
✅プロフィール
本を33冊書き、
累計430万部の本を売ってきた 出版プロデューサーの西村真紀です。
出版の実務と「40代からの諦めない人生」をnoteで綴っています。
出版ロードマップ https://note.com/maki_nishimura/n/n87ded8b6db46
40代からの諦めない人生(もうひとつのnote) https://note.com/novel_weasel1557
詳しい自己紹介 https://note.com/maki_nishimura/n/nfdf8f160cd58
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