本を書こうとしたとき、多くの方が最初に出会う壁が「企画書」です。
やる気も、伝えたい思いもあるのに、
いざ書き始めると手が止まってしまう。
何を書けば良いのか。
どの順番で書くべきなのか。
そもそも、自分の強みはどこにあるのか。
これは、出版を志す人が必ず一度は通る迷いです。
出版現場で27年間、33冊の本をつくり、
累計430万部の出版に携わってきましたが、
企画書に迷う人には共通点があります。
そして、企画が通る人にもまた、明確な共通点があります。
結論から言うと、
企画書は「読者の未来図」を編集者と共有するための設計図です。
ここを押さえると、
企画書は驚くほど書きやすくなります。
以下では、企画が通る人が必ず押さえている7つのポイントを、
実務の視点から整理しました。
日々企画書を読み、会議にかけ、
出版判断をしてきた経験から書き切った“保存版”です。
✅ 書き方の極意|
企画書は「読者の変化」を書くもの
企画書を書くとき、多くの方は
「自分が書きたいこと」からスタートします。
しかし、出版会議で最も重視されるのは
“読者がどう変わるのか” という一点です。
出版社が本を出す理由は非常にシンプルです。
「読者の人生や行動が、読む前より一歩前に進む可能性があるか」。
ここが弱い企画は、どれだけ文章が上手でも会議を通過しません。
企画書を書くときの最初の問いは、これだけで十分です。
この本を読んだ読者は、どんな未来に行けるのか?
読者の変化が描けるかどうかが、企画書の成否を分けます。
また、“変化”は抽象ではなく、具体であるほど強さが増します。
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「自己肯定感を高める」ではなく、「職場で必要以上に自分を責める癖が減る」
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「お金の知識がつく」ではなく、「毎月必ず1万円が貯まる仕組みを作れる」
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「生き方のヒントが得られる」ではなく、「40代以降の働き方を、自分で選び直せる」
企画書は、読者の行動変化を書き切る文書です。
✅ ターゲット設定|
「読者設定」が曖昧な企画は通らない
27年間出版の現場を見てきて、
企画が通らない9割の原因は 「読者設定のブレ」 にあります。
よく見かける例は次の通りです。
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20〜50代の女性
-
副業を考えるすべての人へ
-
働く人すべてに届けたい
一見読者を設定しているように見えて、
実はターゲットが広すぎて“誰にも刺さらない設定”になっています。
読者設定は、可能な限り具体的にしなければいけません。
年齢だけではなく、性別、生活環境、価値観、日常の行動、
そして「今抱えている痛み(悩み)」まで踏み込む必要があります。
たとえば、次のような読者像は非常に強いです。
「35〜45歳の女性。仕事に追われながらも、
心のどこかで“本を書いてみたい”という願いを抱え、
スマホには下書き用のメモが何十本も入っている人。」
ここまで書くと、企画の方向性が自然と定まり、
企画書は格段に書きやすくなります。
読者設定が定まらない企画は、ほぼ必ず会議で落ちます。
✅ テンプレート|
企画書の「骨格」は7項目だけでいい
出版企画書に完全な正解フォーマットはありませんが、
出版社が必ず確認する重要なポイントは決まっています。
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タイトル案
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読者ターゲット
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読者の悩み
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解決策(本の視点)
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目次案
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著者プロフィール
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類書と差別化ポイント
この7つを押さえていれば、企画書としての形は整います。
特に編集者が重視するのは
4:視点(その本ならではの角度)
7:差別化(市場における空き位置) の2点です。
企画書を読む編集者は、「どこが弱点か」を瞬時に見ています。
視点が弱い企画は“普通の本”になり、
差別化が曖昧な企画は“売り場の棚で負ける”と判断されます。
また編集者は、企画書を次の観点で読んでいます。
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タイトルは書店の棚で勝てるか
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読者の悩みは“買う理由”になるか
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目次は読者の行動順になっているか
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著者の背景は信頼につながるか
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類書との差別化は営業が説明しやすいか
企画書は、編集者と営業が読者に届けるための“戦略資料”でもあります。
✅ 採用基準|
編集者が会議で説明しやすい企画は通る
出版会議は、編集者が企画を「社内で売る場」です。
つまり、会議で企画が通るかどうかは 編集者がいかに“説明しやすいか” で決まります。
会議では、編集者が1分以内で次のように説明します。
「この本は、〇〇という悩みを抱えた読者が、
□□の視点で、△△という未来に変わる一冊です。」
この“1分の説明”がすべてです。
編集者が説明しにくい企画は、ほぼ通りません。
説明しにくい企画とは
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読者が広すぎる
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視点が曖昧
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差別化が弱い
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著者の背景と企画がつながっていない という特徴があります。
企画書は“編集者が戦える企画”であることが不可欠です。
✅ NG例
企画が落ちる人によくあるパターン
よく見かけるNG例を挙げます。
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NG1:「伝えたいことが多すぎて整理できていない」
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NG2:「誰にでも読んでほしい」
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NG3:「自分の経験をまとめた本」
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NG4:「専門家ではないが、本を書いてみたい」
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NG5:「自分らしさを出したい」
これらは、文章としては美しいことがあります。
しかし出版会議では、必ず「弱い」と判断されます。
理由はひとつ。 “読者の変化が見えない” からです。
編集者は読者の未来を基準に企画を評価します。
「著者が何を語りたいか」ではなく、
「読者がどう変わるか」。 これ以外にありません。
✅ チェックリスト
成功する企画書の条件
企画が通る人は、次の項目の複数を満たしています。
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読者は誰か、明確に言える
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読者の悩みが3つ以上言語化されている
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視点(本の角度)が一言で説明できる
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類書が整理され、差別化が明確
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読者の変化が具体化されている
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目次が“読者が動く順番”になっている
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著者の背景が企画の説得力になっている
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SNSや実績など、読者と接点がある
企画書の強度は、著者の情熱ではなく「構造」で決まります。
✅ まとめ
企画書は“読者の未来図”を編集者に渡すこと
出版企画書は、著者の熱意や経験をまとめた文書ではありません。
読者の未来図を鮮明に描き、それを編集者に渡すための設計図です。
読者が「読んでよかった」「救われた」「やっと前に進めた」と思える未来。
その未来を編集者と共有できたとき、
企画は動き出します。
27年間出版の現場で数えきれない企画書を見てきましたが、
企画が通る瞬間は、
読者の未来が“迷いなく見えたとき” です。
企画書は何度でも書き直せます。
読者の未来がより鮮明になるたび、企画は強くなります。
あなたの言葉を待っている読者は、必ずいます。
その読者の未来図を、
丁寧に描き、企画書という形にしていきましょう。
※2026年4月から、
noteで出版メンバーシップ(出版塾)を設立予定です。
どうぞお楽しみに。
✅プロフィール
本を33冊書き、累計430万部の本を売ってきた 出版プロデューサーの西村真紀です。
出版の実務と「40代からの諦めない人生」をnoteで綴っています。
出版ロードマップ(バックナンバー一覧) https://note.com/maki_nishimura/n/n87ded8b6db46
40代からの諦めない人生(もうひとつのnote) https://note.com/novel_weasel1557
詳しい自己紹介 https://note.com/maki_nishimura/n/nfdf8f160cd58
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