謙虚は美徳というけれど

 

こんにちは。西村真紀です。

 

私たち日本人は小さいころから「謙虚」や「謙遜」は、美徳だと教えられて育ってきました。

・人に迷惑をかけてはいけない

・目上の人の意見に従わなくてはいけない

・忍耐と我慢が大切 などなど

 

だからこそ、大人になってからも人の顔を疑って自分の意見を飲み込んだり、

褒められても「そんな……」と素直になれないこともありますよね。

私もその一人でした。

人に迷惑をかけないように辛くても我慢をしたり、

心配をかけたくないからつまらなくても楽しんでいるふりをしたり。

 

でも、あのセレブを取材してからはその概念が吹っ飛んでしまいました。

あのお騒がせセレブ、パリス・ヒルトンです。

 

人に嫌わせるより自分の意見がなによりも大切!

アメリカのリアリティ番組やゴシップ誌で人気を得ていたヒルトンホテルの創始者を曽祖父にもつ正真正銘のセレブ、パリス・ヒルトンが来日することになり、私が働いていた女性誌でも彼女たちに密着して取材をすることになったのです。

 

会うのを楽しみに取材に向かうと、現れたのはキラキラなオーラのパリス。

一緒に撮影スタイリングを決めるために衣装ラックを見ていると、

「ここにあるドレスは着たくない!」とピシャリ。

 

全員「……。」

 

取材時間に限りがあるし、どうしても撮影をしなくてはいけない状況でNo!を出されてしまい、

急遽新しいドレスを調達することに。

そこにいるみんなが突然の変更にオロオロしてしまいましたが、

なんとかパリスが気に入った衣装を調達し無事に撮影を終わらせることができました。

 

インタビュー時に私は「今日はどうしてこのドレスを選んだの?」と聞くと、

「だって自分が一番可愛く見えるから♡」と一言。

「私はトレンドを発信しているし、いつも最高の自分だと思えないと後悔するから」

 

私はこの発言に一気に心を掴まれてしまいました。

 

きっと私だったら、スケジュールの都合もあるし、今から衣装を新たに用意してもらうとスタイリストに迷惑をかけてしまう。それにスタッフを待たせてしまうし、ワガママだと思われるのもイヤ。

あまり衣装は気に入らないけど仕方ない……。

と、そこにあるドレスを着て撮影をしていたと思うのです。

 

見る人によっては今回のパリスは “ワガママで本当に困った”と思える行動です。

でも、そんな周りの圧力にも屈せず、何より大切なのは『自分が納得』していること。

自分が心から“可愛い♡”と思えているからこそ、絶対的な自信を持って世界に向けて発信することができる。

たとえそれに対して人からなんと言われようと“だって自分が可愛いと思ってるんだもん♡”と批判の声もサラッと跳ね返すことができるのです。

このスタンスって、すごくないですか?

この件以来、パリスは私の心の師匠なのです(笑)。

 

必ず出る我慢の反動

もしあの時、パリスが人の機嫌を伺って気にいらないドレスで撮影をしたとします。

そうしたらきっと、雑誌になって発売された特集を見てきっと後悔の気持ちしか持てないと思うのです。

“やっぱりあのドレスで撮影するんじゃなかった……”と。

そうなると次から衣装選びや撮影もちょっと気持ちが暗くなりますよね。

 

こういうことって私たちの日常生活にも当てはまると思っていて、

嫌だけど人に迷惑をかけたくないから我慢することが当たり前になっていることはありませんか?

例えば、会社の先輩にイヤなことを言われてもヘラヘラ笑って見せたり、

彼氏や夫に不満があってもイヤと言えないことって。

 

毎日の中で消化できない小さな我慢は、どんどん心の中で大きくなり、

心から余裕を奪いイライラという形になって自分に襲い掛かってきます。

多くの人はこういう場合、自分をイライラさせた先輩や夫、彼氏に不満を向けてしまいますが、

そのイライラの本当の原因は会社の先輩や彼氏ではありません。

あなたをイライラさせているは『あなたがした我慢』にあるのです。

 

「先輩に嫌なんて言えない……」

「彼氏にそんなことを言ったら空気が悪くなるし……」

その気持ちもわかります。

でも、小さな我慢を作らない努力をしない限り、ずっと状況は変わりません。

 

目上の人、身近な人にほど、「No!」というには勇気がいることです。

でも、そんなときはパリスを思い出して欲しいのです。

「だって嫌なんだもん♡」って。

 

社会生活をするにあたり強すぎる自己主張は考えモノですが、せめてパリス・ヒルトンの100分の1ぐらいなら許されると思いませんか?

これからの時代、自分が自分らしくいるためには心の中にパリス・ヒルトンを住まわせて、弱気になったときには力を借りてみてください。きっと今より自分が好きになりますよ。

 

それではまた、次回お会いしましょう。

 

西村真紀