洋服の山との闘い

 

こんにちは。西村真紀です。

Part1では、事務所を手放すことにし、書籍と書類を処分したお話をしたのですが、私が次に手を付けたのは、洋服やバッグたち。21歳からファッション誌で働いていたので、毎週のようにトレンドの洋服には飛びついていたし、サンプルをいただくこともあり、靴もバッグもどんどんと増えていき、衣装部屋に収まりきらない洋服たちは、別の部屋の収納棚までを占領していました。

 

背中がばっくり開いたワンピース、お尻が見えるほど短いショートパンツ、スケスケのトップス……。若い時の私は本当にこれを着て電車に乗っていたのかと疑いたくなるようなモノたちが次々に出てきて、迷わずゴミ袋に放り込む。何枚も同じようなスカートや白いスパンコールのジャケットまであった(笑)

 

『ファッション誌で働くということは、自分の実力以上に見た目も大切』

こう教えられてきたので、少しでも自分を大きく見せたくて、頑張って働く→お金をもらう→そのお金で洋服を買う。このサイクルを繰り返しながら、背伸びしながらやってきたんだね、私。

 

物は活用できなきゃ意味がない!

処分するのを迷ってしまったのは、値段が高かったものでした。そういえば引っ越しのたびに何度も捨てようか迷ったけど、「いつか使うかもしれない」なんて思ってズルズルと今まで捨てられないままでいたなぁ。捨てるか残すかの決断が即時にできなかったので、一度袖を通してみよう。

 

まずは久しぶりに着用し鏡を見てみると……まったく似合ってない!!! そういえばこれを買ったのは10年も前のこと。この10年間、年齢を無駄に重ねただけではなく、いろんなこと経験し、もうあの時の私ではないのだ。あのときはこの洋服を着るたびにワクワクしたけど、今は何も感じない……。いままで「高かった」という理由だけでクローゼットに残していたけど、どうやらこれからの私の人生を一緒に歩んでいくアイテムではないみたい。そんな洋服たちにお礼を伝え、処分させてもらいました。

 

本当に必要なものなんて、ほんのわずか

事務所の断捨離を始めてからは、朝から晩まで本当にものを処分する日々で、毎日のようにマンションのごみ捨て場を私のゴミが占領していました。(よく怒られなかったなぁ)

そして、最後に残ったのは仕事用のデスクとチェア。この2つは28歳で一人暮らしを始めたときにちょっと奮発して買ったもので、ここに座り原稿を書いてきた時間はまさに私の人生そのものなのかもしれない。苦しい思いも達成感もたくさん染み込んだデスクとチェアにお別れをし、ようやく私の断捨離は終了しました。

 

9.9割物を捨てたら、どうなる私の人生?

残った荷物はワンピース3枚と税務署類とわずかな書籍のみ。本当に必要なものなんて、ほんのわずかなものなのかもしれないなぁ。引っ越してきたときは4tあった荷物も、段ボール2箱に収まるほど。約4tも断捨離したのか。

 

自分の荷物を8割捨てると人生が変わるというけれど、9.9割のものを捨てた私。これからの人生は一体どうなるのかしら? 物を捨てているときは、なぜか苦しい思い出ばかりが浮かんできて、それは無理して周りに合わせたり、違和感を抱きながらも見ぬふりしてきた感情がまるで乗り移っているようでした。

 

トレンドの洋服に身を包み、たくさんの本や写真集で武装し、戦場に行くかのように働いていたんだなぁ。この断捨離はもう必要のない鎧たちを脱いで処分するようで、何も残っていない空っぽの事務所でちょっとだけ泣いた。

 

これからの私の人生は、武装しなくても、背伸びしなくても大丈夫。

そんな人生を新たに作っていきたいと心に誓いました。

 

西村真紀