出版社が欲しがる企画の共通点とは?【出版ロードマップ #34】
「寝る間も惜しんで企画を練り上げ、文章も何度も磨いた。それなのに、出版社からは『今回は見送りで』という無機質な返信しか返ってこない……」「どこがダメだったんだろう」「まだ努力が足りないのかもしれない」そうやって自分を責め続けていませんか。もしあなたが今、そんな状況にあるのなら、まず断言します。自分を責める必要はありません。あなたの努力が足りないのでも、才能がないのでもありません。ただ、「編集者の判断軸」と、あなたの「努力の方向」が180度ズレているだけなのです。これまで33冊の本を世に送り出し、累計430万部という数字を著者の方々と共に作ってきました。その現場で私が見てきたのは、天才的なひらめきではありません。編集者が「これなら会社を説得できる」と確信した瞬間の、静かな、しかし力強い「YES」です。今日は、出版社の企画会議という「ブラックボックス」の中で、本当は何が起きているのか。編集者が喉から手が出るほど欲しがる企画の正体を、プロデューサーの視点から包み隠さずお伝えします。✅ 出版社は「企画」ではなく「商品」を見ているまず、残酷な現実をお伝えしなければなりません。編集者は確かに「面白い本」を作りたいと思っています。しかし、会社という組織が求めているのは、あくまで「売れる商品」です。そのため、編集者が企画会議で上司や営業部長から突きつけられる問いは、常にこの3点です。1.誰が:1,500円を払って、誰がレジへ運ぶのか(読者の解像度)2.なぜ今:10年前でもなく、なぜ「2026年の今」出すのか(時代性)3.どの棚に:書店のどのコーナーに、どの本の隣に並ぶのか(流通の具体性)私が27年以上、出版の最前線で仕事をしてきて確信していることがあります。それは、「通したい企画」と「通せる企画」は別物である、ということです。編集者が個人的に「面白い!」と思っただけでは、会議は通りません。編集者に「上司を説得するための武器(データと論理)」を渡すこと。それが、著者が最初に行うべき「仕事」なのです。✅ 条件1:すでに「動いている読者」の熱を可視化する出版社が最も恐れるのは、「誰も欲しがらないものを作ること」です。ゼロから市場を作るのは、莫大な広告費を持つ大企業でも難しいこと。だからこそ、編集者が探しているのは、こういう状態です。 すでに検索されている悩み すでに解決策にお金が動いている分野 すでにコミュニティが存在するテーマここで重要なのは、SNSのフォロワー数だけではありません。大切なのは「読者の温度」です。【実例:フォロワー数百人でも即決した理由】これは数年前に参加した企画会議での実例です。SNSのフォロワー数は数百人の方の企画がありました。しかし、その企画はnoteのコメント欄が常に熱狂的だったのです。「まさに今、これで悩んでいます」「救われました」という切実な声が、更新のたびに10件以上並んでいました。企画書にはそのコメント欄がすべて添付してあり、編集者はその「温度」を見て、「これは1万人が同じことで悩んでいる証拠だ」と判断し、即決したのです。✅ 条件2:「この人が書く理由」に一切の隙がない二つ目の条件は、「この人が書く理由」が説明できることです。編集者は企画書を読みながら、無意識にこう自問しています。「テーマは良い。だが、なぜこの人でなければならないのか?」前回の(#33)で扱った「著者性」とも通じる視点ですが、経歴や実績はもちろん、それ以上に「あなたにしか語れない挫折と克服のプロセス」が、企画内容と一本の線で繋がっているかが問われます。【実例:ありふれたテーマが「唯一無二」に変わった瞬間】AI活用術」という企画がありました。内容は優れていました。しかし、編集者は「これなら、有名なIT社長に書いてもらいたいです」と言ったのです。ところが、著者が「家事と育児に追われる主婦が、自分の時間を5分作るために編み出したAI術」というオリジナルの必然性に変更した瞬間、企画は唯一無二になりました。「IT社長」ではなく「生活者」としての必然性が、企画を通したのです。✅ 条件3:「売れる未来」の予感三つ目の条件は、「売れる未来」が具体的に想像できることです。編集者が欲しいのは、完成された原稿ではありません。欲しいのは、「読者が本を手に取り、人生が変わる予感」です。優れた企画書は、読んだ瞬間に 書店に並ぶ姿 読者が手に取る理由 帯コピーが浮かぶ感覚そして、その企画が本になりヒットしている光景が想像できます。【27年の結論】売れる本の企画書には、必ず「書店員さんがお客様に勧める時の一言」が隠れています。「最近、将来が不安で眠れないなら、この1冊を読んでみて」そんな風に、誰かが誰かに手渡すシーンが浮かぶかどうか。企画書は説明資料ではなく、ヒットへの「設計図」なのです。✅ 多くの人がハマる「差別化の罠」ここまで読んで、こう思った人もいるかもしれません。「じゃあ、企画をもっと尖らせないと」「誰もやっていないことを探さないと」。しかし、これが罠です。その結果、誰にも求められていないものになってしまいます。差別化とは、奇抜さではありません。圧倒的な納得感です。情熱ではなく、再現性です。あなたの企画は、編集者が会議で30秒で説明できる構造になっていますか?編集者が企画会議で説明しやすい構造。これが、通る企画の条件です。✅ 出版は「運」ではなく「市場との対話」である出版は「運」ではなく、「市場に合った設計」です。編集者の「YES」は、派手な評価はありません。でも、条件が揃った企画は、淡々と前に進みます。通る企画に共通する設計思想を、もう一度まとめます。 すでに動いている読者 この人が書く必然性 売れる未来の具体性私がこれまでやってきたのは、魔法をかけることではありません。著者の内側に眠る『唯一無二の原石』を、市場が求める『設計図』へと丁寧に翻訳してきただけです。出版は、運任せのギャンブルではありません。正しく設計すれば、必ず扉は開きます。あなたの人生の価値を、必要としている誰かへ届けるための準備を、今ここから始めましょう。✅次回予告【出版ロードマップ #35】企画が通りやすいジャンル・通りにくいジャンル|多くの人が知らない「編集部の本音」設計図の考え方がわかったところで、次に重要になるのは「どの戦場で戦うか」です。次回は、ジャンル選びの裏側を、さらに深く掘り下げていきます。※2026年4月から、noteで出版メンバーシップ(出版塾)を設立予定です。どうぞお楽しみに。月額有料マガジン『西村真紀の出版戦略室』はこちらからどうぞ↓西村真紀の出版戦略室|西村真紀/出版プロデューサー|note※3月1日~オープンします! 出版を動かすのは、文章力だけではありません。 そこにあるのは、冷静な『判断』と、しなやかな『戦略』です。 このマガジンでは、「どう書くか」ではなく、 「どこで、何を、どう判断するか」を扱います。 なぜ企画が通らないのか。 なぜ同じ完成度でも結果が分かれるのか。 編集者は原稿のどこを見て決断しているのか。 評価、契約、お金、…note.com✅プロフィール本を33冊書き、累計430万部の本を売ってきた出版プロデューサーの西村真紀です。出版の実務と「40代からの諦めない人生」をnoteで綴っています。出版ロードマップhttps://note.com/maki_nishimura/n/n87ded8b6db4640代からの諦めない人生(もうひとつのnote)https://note.com/novel_weasel1557詳しい自己紹介https://note.com/maki_nishimura/n/nfdf8f160cd58X(毎日更新)https://twitter.com/lifeafter40makiInstagramhttps://www.instagram.com/maki_nishimura/公式LINE(最新情報)https://lin.ee/gZlAYE5メルマガhttps://www.reservestock.jp/subscribe/286811ホームページhttps://makinishimura.com/