新版 白団(パイダン)―台湾軍をつくった日本軍将校たち (芙蓉選書ピクシス)/中村 祐悦

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知られざる戦後史の謎に迫る。
昭和24年、家族にも行き先を告げず、台湾に密航した17人の旧日本軍将校がいた!
蒋介石に招かれた彼らが組織した「白団」(パイダン)は、昭和40年代までの約20年間、延べ83名で、“大陸反攻”をめざす台湾軍に「日本軍式」の教育訓練を行った。
歴史の表舞台に出ることのなかった秘密軍事顧問団の成立から終焉までを白団メンバーや元台湾軍人からの聞き取り証言で描いた迫真のノンフィクション。
ワタクシは歴史はとってもスキなジャンルですけど、こんなことがあったとは全く知りませんでした。
特にジブンは戦後史に弱いので。
しかし、1949年から旧日本軍の将校クラスが台湾側の軍事指導をしていたとは...。
しかもそれが1960年代半ばまで続いていたなんて。
平和な戦後日本に生まれ育ったワタクシの肌感覚としては、このことはかなりの違和感を持ってグロテスクに迫ってきました。
それにとても時代錯誤的にも思えましたね。
なんか、戦争に負けたのに、それでもまだ戦争したがっている旧軍人たちが余計なことをしに行ったのかとも思えました。
この本は軍事指導に招へいされたいきさつから、実際の軍事教練の内容、白団メンバーの様子を丹念に追っています。
ただ、木を見て森を見ないきらいのある本で、その意味で「奇書」ないしは「愚書」と言えるかもしれません。
それに旧軍を擁護する論調の本は、どうしても右翼的なフィルターをかけて見てしまいがちですしね。
たとえば白団を招へいした蒋介石の親日ぶりなどの取り上げ方は、かなり一面的で容易に受け入れられない感イッパイです。
この本だと、蒋介石はとっても日本が好きなヒトになっています。
確かに彼は日本の陸軍士官学校に留学していますし、日本への理解も深かったと思います。
でも日中戦争ではどう考えても日本への敵対意識は高かったはずですよね。
そんなことを考えると、蒋介石の対日本観は好悪ないまぜになった複雑なものだったはずです。
蒋介石については、もうちょっと勉強してみないとわかんないですね。
中国はいまだに反日感情が噴き出す時がありますね。
その点、台湾はフシギなほどそういった声が少ないように思えます。
白団の存在が、台湾の親日感情に貢献しているのならその存在意義があったのでは、と思いたい気持ちです。
いずれにしても、日台関係を考える意味で、白団についてはもっと取り上げられても良いテーマなのかもしれません。