#672 とほほなジャイアンツ問題。 | ダイビング&バイシクル!
清武GMが解任されちゃいましたね。

ま、自爆テロでしたから、解任は時間の問題だったのでしょう。

でも、清武サンの著書を興味深く読んでいたジブンとしては、やはりカレが解任されたことは残念と思いました。

2011.3.3 #508 清武 英利「こんな言葉で叱られたい」



最近はあまり時事ネタを取り上げることは止めようと思っていたのですけど、プロスポーツ・マネジメントのあり方について興味シンシンのワタクシとしては、やはりここで今回の問題を整理しときたいと思いました。

とりあえず、新旧の役員構成がスポニチ紙上に掲載されていました。


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→ 2011.11.19 スポーツニッポン 






今回のことで言えることはこのふたつ。


ひとつは、


どっちもどっち(-_-;)



もうひとつは、


球界の古い体質はこのまま(>_<)



ということではないかなと。





わからないことがひとつ。

清武サンの戦略が稚拙だったこと。

だいたい局次長格として球団に出向(新聞社はもう定年退職して球団専務専任だったそうですけど)した分際で、本社の代取を外部に向かって批判したら、それはクビが飛ぶのは当然でしょう。

この場合、球団で清武サンが専務で渡辺会長が平取締役であることは何の関係も無いのは言うまでもありません。

それにわざわざ文部科学省まで行って記者会見を開いたこと。

「コンプライアンスに関することだから監督官庁で記者会見した」

らしいですけど、これで清武サンは、

「コンプライアンスの意味すらわかっていない」

ことがバレちゃいました。

あれは企業としては内部統制の問題で、法令違反のハナシでないことはハッキリしてましたしね。

ちょっとしたリーマンだったら、みんな「?」と思ったのではないでしょうか。



桃井オーナーと共闘できると思いこんだのも失敗でした。

桃井サンは緊急避難的にオーナー職になっていただけで、彼は本社の平執行役員クラスで、力が無いことは明らかでした。

それにこのヒトにも事前にきちんと相談していなかったのもバツ。

とてもリーマンとは思えない一連のズサンなやり方が、清武サンがリーマンの支持を得られない要因ではないかと感じます。






それに、今回のことで、読売新聞の経営体制が旧態依然としたものであることがバレちゃいました。

なにせ、85歳の老人がいまだに現役の代表取締役なのですから。

失礼ながら、あの年齢で正しい判断が求められる経営トップにいられるほど、新聞社というのはラクな商売なのか、経営が古いのか、どっちかでしょう。



お互いにミスしたことは、ハラ監督や長嶋サンをこの騒動に引っ張りこんだこと でしょう。

ああいったヒトたちを巻きこんではいけません。

あれでかなりドン引きしましたね。



でも、長嶋カントクがジャイアンツの専務取締役だった ことにもビックリ。

いくら功績があったとはいっても、もうカレも75歳。

カレに取締役として経営の責任を負わせること自体、ナベツネ会長の経営センスの無さが窺えます。

「終身名誉監督」などという大層な称号が与えられているとはいっても、せいぜい顧問程度が相当じゃなくない?みたいな。




残念なことは、曲がりなりにもシステマチックな球団経営を志していた清武サンが追放されてしまったことで、ジャイアンツも、そして球界全体としても、よりメジャーリーグ(MLB)的な、規模と収益を追求する経営を志向することが遠のいてしまったことでしょう。

参考: 2011.11.18 毎日新聞 「巨人:清武代表に毎日新聞が単独インタビュー…解任発表前」

清武サンは、ジャイアンツだけではなく、球界改革に取り組んでいました。

代表例は、育成選手制度の創設に見られる選手育成法の改革でした。

契約金なし、契約期間最長3年という制限付きでプロとしては契約しきれない、かといってアマチュア球界でも拾いきれないといった選手を育成選手として救いあげることを実現しました。

U.S.独立リーグにいて育成選手としてジャイアンツに入団して新人王になった山口投手がその好例ですね。

それに、ロッテと合同チームを作ってアマチュアチームとのゲームを組んだり、各チームからの選抜チーム「フューチャーズ」を作って、イースタンリーグの各チームと対戦させたりして、選手を実戦を通じて育成していくという方式を確立したのは、かなりの部分が清武サンの功績と言ってよいでしょう。


清武サンが追放されて、これらの制度が後退してしまうことが危惧されます。

これ以外にも球界は収益分配やら連盟の恒常的赤字やら問題山積。

渡辺会長は、このヘンの問題には全く興味が無いので(>_<)





それに、相変わらずメディアの姿勢にもガッカリでしたね。

メジャーリーグのようなGM制度がなぜ浸透しないのか、親会社と球団との関係性といった、日本のプロ野球が抱えている構造的問題のひとつが、今回の問題でも掘り下げられることなく、 「お家騒動」的なレベルの低い取り上げられ方になってしまった点は不満が残ります。

スポーツ紙の記者って、やっぱり相当レベルが低いんじゃないかと思ってしまいます。




日本シリーズの最中にこんな問題でガタガタさせるなといった批判には、ワタクシはあまり賛同しませんね。

スポーツイベントと企業統治の問題はかなり距離が遠い問題ですし、あんなことで日本シリーズがかすんでしまうなら、それはあのイベントが相当魅力が無いものになってしまっているということなのでしょう。

ま、名古屋と福岡の「田舎モン」対決なんて、東京じゃあんまり話題にもなっていないですし(暴論)。