Twitterでこの本についてこのことに触れているヒトがいたので、ワタクシも読んでみる気になりました。
そしたら思わずイッキ読み。
文庫本として持ち歩くにはちょっと分厚い(634ページ!)のが難でしたけど、あっとゆー間に読み終わるほど面白い小説でした。
そのストーリーの予見能力の高さに、原発事故以来注目されている作品です。
天空の蜂 (講談社文庫)/東野 圭吾

¥880
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ベストセラー作家である東野圭吾(wiki)サンが1996年に書きました。
彼がブレークして、映画化もされた「秘密」の3年も前の作品です。
例によってAmazonの内容紹介をコピペ。
前代未聞!原発を揺さぶる空からの脅迫。圧倒的迫力で描くクライシス・サスペンス
「爆発物を積載した超大型ヘリを高速増殖炉に墜落させる。
それを防ぎたければ日本中の原発を即刻使用不能にせよ」──。
「天空の蜂」と名乗る犯人が仕組んだ恐るべき犯行。
超大型ヘリはすでに原子炉上空千数百メートルでホバリングを始めていた。
だが犯人にも誤算があった。
コンピュータによって遠隔操作されるヘリ内部には、子供が閉じこめられていたのだ。原発が、子供が、日本が危ない!!
ま、このようにストーリー自体はかなり荒唐無稽です。
それに原子力発電所やヘリコプターについての説明にかなりのスペースが割かれているので、そのへんちょっと飽きちゃうなーという方もおられそうです。
でもそれらを補って余りあるほど緻密なストーリーにぐいぐい引き込まれます。
この作品が注目されているのは、
原発の弱点が「使用済み核燃料プール」にある
と指摘していることです。
ストーリーには、大阪府立大学工学部電気工学科卒という作者のキャリアが活かされているのかもしれません。
今回の東電原子力発電所事故でも、この使用済み核燃料プールは、爆発して壊れちゃった建屋で覆われているだけです。
そして、ここから放射能が拡散しているのではないかと指摘されていますね。
報道を見たとき、
「なんでもっときっちり遮蔽してない場所に置いてあるのだろう?」
と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
小説では、背筋が寒くなるような光景が広がります。
原発を止めることによる徹底した節電(舞台は8月です)。
原発から避難しようとする交通渋滞。
地震と、盗まれたヘリという違いはありますけど、それによって現れる光景は一緒なのですね。
東野圭吾サンについて、今までTVドラマは見たことがありましたけど、小説は読んだことがありませんでした。
ミステリー小説とか推理小説といったジャンルはちょっと苦手で...。
でもこれからは彼の本を集中的に読んでみたくなりました。