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コレを書いているのはどんな姐
『乳がん』診断までのまとめ
『膠原病』について
『乳がん』治療のまとめ
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続き。
だけど安心して肩を下げているT先生にちょっといじわる言ってやりたくなった。
Y「私もよく考えたのよ。だって、抗がん剤の強いのやってやっと副作用も消えてきて、手術の後のリカバリーも順調で。
先生もAさんも『ガイドラインは経過観察!』っていうし。ここから6ヶ月、また副作用がある薬を、見えないヤツで、もしかしたらいないかもしれないヤツに使って、そんなのなんだかヤダなぁって。
よし、ここはキッパリ!免疫上げて『経過観察』だ!って、思った途端に
…昨日のT先生の電話よ。」
T「いやぁ。もしかしたらちゃんと伝わってなかったかなぁ…と思って…(苦笑)取り越し苦労だったかぁ…。でも、ボクも気になっていたから。」
Y「そうじゃないかぁ…って思ったから。(笑)でも、電話もらってよかった。話せてよかった。」
T「そう?もし、どうしてもやりたかったら12月まで待つと遅いから。じゃあ、もういいのかな?」
Y「うん。もう、やらない。 大丈夫!これでもし再発しても先生のせいだ!なんて言わないから。(笑)」
A「ねぇ。PD-L1抗体の結果は?」
笑いながら、AさんがT先生に向かってそう言った。
?PD-L1抗体…。
免疫チェックポイント阻害剤が使えるか?を決めるヤツだ。
たぶんAさんは結果が出ていることを知っていたんんだ。
私の残ったがん細胞を使って調べると言ってたヤツ…。
結果が出るのに1ヶ月ぐらいかかるっていってたアレだ。
でも、8月23日に検査料が請求されていたはず…早くない?
T「え?今、言う?」
カチッ…とマウスをクリック。
モニターに、私の名前が書かれた書面の画像。
Y「え?うそ。出てるの?どっち?」
モニターを覗き込んだ、私の目に飛び込んできたのは
○○XX…(1%〜4%)
Y「なに?どういうこと?1%〜4%って何が? これって良いの?悪いの?
100%とかもあるの?」
T「ハハ…100%はないよ。コレは説明が難しいんだけど、陽性だよ。」
Y「え?免疫チェックポイント阻害剤、使えるってこと?」
T「うん。」
Y「ねーーーー、またーーーー?そーゆーことは早く言ってよー!
だったらゼローダなくても大丈夫じゃない!?」
A「良かったね。検査して。」
Y「やった!スゴイ!手玉が一つ増えた! 先生…結果出てるなら教えてよー!」
T「いや。まだ早いと思って…。」
Y「だってコレで効いたら治っちゃうかも?っていうぐらいなんでしょ?安心じゃない?…んもう…。」
そーゆーとこだよ!とノドまで出ていた言葉を、ごっくん。
これについての説明を聞くことにした。
Y「それに副作用もないんでしょ?」
A「ううん。副作用はあるよ。」
Y「あれ?Aさん、副作用もなくて…って言ってなかったっけ?」
T「副作用はあるんだよ。気持ち悪くなったり脱毛したりはあまりないけど、免疫に作用する薬だから、I先生によく相談しなくちゃいけない。」
I先生とは私の『膠原病』の主治医のこと。
Y「膠原病に作用するってこと?」
T「膠原病は免疫の病気だからね。免疫チェックポイント阻害剤はその作用で膠原病のような免疫の病気の症状を強くしてしまう恐れがあるから…。」
あらま。なんだかちょっと引っかかるけど、現状膠原病は薬を使うほどではないし、
I先生も『Yさんの膠原病の症状は10年ぐらいこのままじゃないかな?』って言ってたし…と楽観的。
それより、もしがんが再発転移した場合にちゃんと使える薬があることに、脳天気に喜んでいたから。
Y「とにかく良いことでしょ?これからどんどんトリネガの薬が増えてくるって、いろんなところで言ってるし。」
T「そうだね。もう一つ最近認証された『どうとかマブ』(たぶんペムブロリズマブ)も、うちの大学ではまだ承認されていないんだけど、されたら使えるかどうか検査しようと思ってるよ。でも、まだ先の話だから。
転移しないと思っているから。」
突然の『免疫チェックポイント阻害剤』の話に、いじわる言ってやろうと思っていたのに、いじわる返しされたような気もしていたけど、
T先生の言葉にもう何が何だか…。
『ドドンパ』していた。 (頭がジェットコースター)
そのあと、先日のアレ科(膠原病科)の検診の話とアレ科の診察予定、血液検査のスケジュールを確認して、間質性肺炎の状況もI先生の所見をカルテで確かめた。
(あとで自分で検索したところによると、免疫チェックポイント阻害剤は本当によく調べないと膠原病の患者には厄介な薬だということがわかった。)
この日は乳腺外科のカンファレンスがあるようだ。
話の途中でT先生にも、A看護師にも電話が入ったし、外来の看護師OさんがT先生に何かを耳打ちしていた。
たぶんT先生とA看護師を『会議』が待っている。
でも2人とも、私が動くまでは動かないと決めているようだった。
私には、逆にそれがプレッシャーになっていたけど、このあとに想いを残すことがないようにちゃんとケジメをつけようと思っていた。
Y「じゃあ、本当にこれで『経過観察』になったってことで。次は12月ね。」
A「そうね。」
T「そうだね。じゃあ、いいかな?」
なんとか『ドドンパ』は停止した。
言おうかどうしようか、迷ったけど…言った。
Y「ごめんね。時間がないのに最後にひとつ。」
すっかり終わったと思って肩の力が抜けていたT先生とAさんの姿勢がまたちょっとしゃんとした。
Y「いつも先生が聞くこと、今日は聞かれなかったから…
息子、試験合格したよ。」
T「!ほんと?合格したの?ってことは」
Y「卒業できる。」
T「よかったねぇー。そうか…K卒で銀行かぁ。モテるだろうな…」
A「え?Kなの?ヤァだ。私、Kの医局にいたことあって…むにゃむにゃ…」
Y「そうなの?いや、うちの息子医者じゃないから(笑)」
T「でも、どこの銀行か教えてくれないんだよね…?」
Y「え?知りたい?いいよ。もう。(卒業できるから) 〇〇銀行だよ。」
T「えーー!ボク、思いっきりメインバンクだよ。」
A「私も!〇〇銀行しか口座ないし。」
T「そうなんだ。じゃぁ給料の振り込みも〇〇銀行にしようかなー」
Y「ははは。よろしくお願いします。今度営業に来るかもしれないよ。」
T「そうか。じゃあ最近、いいことがあったんだね。」
ん?息子の卒業は、まぁいいことって言えばそうだけど…まぁ、いいか。
Y「そうね。いろいろとけじめがついたね。もうすぐ60歳になるし。」
私は赤く塗った爪をもう一度ふたりに見せて、立ち上がった。
Y「忙しいのに時間を作ってくれてありがとうございました。じゃあ今度こそ!次は12月ね!
それと…私、おふたりに『手紙』を書いてきたの。」
そう言って、それぞれに包みを渡した。
(キレイな紙袋ではなくて、目立たないように普通の封筒に入れて外から中身が想像できないようにした。
あとでそのことを娘に言ったら、思いっきり!非難された。
「ママ、バカじゃないの?そんなことしなくたって問題ないよ。それより、そんなの渡すなんてすごく失礼!」
ママ…かなり凹みました。反省しても、もう遅い)
受け取ったT先生…
「随分かさばる『手紙』だなぁ…(笑)」
A「どう見ても『手紙』のカサじゃないわよね。 あ、中、見ちゃった。私、コレ好きなの。」
Y「こんな感じにしないと受け取ってもらえないかと思って。ま、手紙なので。(笑)」
T「気をつかわないで。」
Y「はい。先生、忙しいのにありがとうございました。また、12月に。」
A「T先生、先に行っててください。私、ちょっと…」
そういうとAさんも私と一緒に診察室から外に出てきた。
Y「本当に、ありがとうございました。T先生に連絡してくれたんでしょ?
おかげでちゃんとできた。Aさんにもこの間タダ働きさせちゃったから、なんとかアレで『肥えて』もらって…(笑)」
A「ありがとう。私あそこのチョコ好きなの。次は12月。あと3ヶ月ね。」
Y「まだその頃忙しいかな?コロナ病棟にも行ってるって、T先生言ってたけど。」
A「そうなの。年内はまだおさまっていないかな?忙しいかもね。」
Y「でももし時間があったら会いにきてね。」
A「はい。それまで元気でね。」
廊下の奥に見えるガラス越しのカンファレンスルームには見たことがある乳腺外科の先生たちが揃っていた。
そこにちょうどT先生が入っていくのが見えた。
Aさんも私を見送ってガラスの扉の奥に消えていくところだった。
17:39
やっと【経過観察】が始まった。