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『乳がん』治療まとめ

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【病理検査結果】の説明の後半戦。

 

検査結果は『不合格』だった。

 

事前の(術前の)模擬テスト(検査)では合格確率90%以上。

太鼓判を押されたみたいなものだったのに…。

やっぱり何事にも絶対はないんだな。

 

T先生が、後半の話を始めた。

 

T「トリプルネガティブの治療は抗がん剤と手術、一部は放射線。それでおしまい。その他にはないです。それがトリプルネガティブの「標準治療」です。Yさんもこのあとは経過観察となります。」

 

…(再発転移を待つ「経過観察」ね…)

 

T「今、トリプルネガティブの術前抗がん剤をやってCRにならなかったがんに対しての臨床試験をやっています。」

 

…(あ。前にCRにならなかった時に説明すると言ってた「治験」だ。)

Y「先生。「治験」じゃないの?」

 

T「「治験」っていうのはまだ承認されていない薬なんかの場合のことを言うことが多いね。。これは昔からある薬で「カルボプラチン」という薬の臨床試験。もともと卵巣がんとか肺がんに使われている薬でトリプルネガティブのがんには使っていません。」

 

T「卵巣がんや肺がんの治療にはパクリタキセルと一緒に使ったりします。今回はそれをカルボプラチンだけの単独でトリプルネガティブの再発を抑えられるかも?というのを調べています。」
 
T「でもまだカルボプラチンがトリプルネガティブの再発を抑えられるかどうか?わかっていません。だからYさんが参加してカルボプラチンを投与しても再発してしまうかもしれません。その場合は「あー効かなかったな」っていうことになります。」
 
T「また、カルボプラチンを投与しなくても再発しないこともあります。」
 
T「そしてこれは臨床試験ですので投与するグループと投与しないグループを半分ずつに分けます。だからやりたい!と言っても経過観察のグループに入るかもしれません。その場合カルボプラチンを投与したグループに成果が出た場合…。」
 
Y「あー、できなかった…と。なんだかなぁ…ってなる。」
 
T「そうね。その場合もある。でも、再発しないこともある。そして、そのグループ分けはランダム。」
 
…(くじ引きみたいなもん…。)
 
T「また、もしカルボプラチンを投与する場合は抗がん剤なので、副作用があります。」
 
T「まず腎機能の低下。骨髄抑制、倦怠感…。」
 
Y「腎機能?腎臓に負担がかかるってことですか?」
 
T「というより、腎機能に問題があるとおすすめしません。でもYさんは大丈夫です。問題ありません。」
 
Y「もう調べたの?血液検査?」
 
T「調べた。この間の血液検査。どこも悪くない。腫瘍マーカーも正常。」
 
Y「相変わらずコレステロールは高いな。」
 
T「それはあんまり関係ない。」
 
次男「ジーラスタは、やらないんですか?」
 
T「今回は3週に1回なのでそんなに白血球の値、好球中は下がらないと言われているので、必要ないかな。」
 
Y「確かに。ジーラスタのあとが辛かったからな…3週ごとなら戻るってことね。」
 
T「前回の抗がん剤でだいぶ骨髄抑制したからね。今回の抗がん剤はドーズデンスに比べれば副作用はそんなにキツくないと思うよ。
それでも、あまり副作用が強く出た場合は薬の量を減らしたり、途中でやめることも出来ます。」
 
T「この臨床試験はウチも含めて複数の病院が参加しています。
参加は自由で、やってもやらなくてもいい。断っても不利益になることはない。」
 
Y「参加したら先生の研究にもなる?」
 
T「いやぁ、ボクにはあまり関係ないかな。逆に書類作業が増えて煩雑になる…」
 
…(なんだ。先生の為にはならないのか…)
 
T「でも、ボクの事は考えないで。ボクはYさんの選択肢のひとつとしていいんじゃないか?と思って提案しているんだから。」
 
T「もうひとつ説明しなくちゃいけないことがある。
トリプルネガティブは今まで、今も抗がん剤と手術だけが標準治療だったけど、最近はイロイロ研究が進んで来年にも使えるようになるんじゃないか?っていう薬も出てきた。」
 
T「もしかしたら再発を防げるんじゃないか?っていわれている薬があるんだけど、それを使っているところはこの県では一件もなくて、保険も適応していない。ボクはあまり信用してない…。怪しいヤツ。」
 
T「でも、それをやってみたい!というのも自由。だけどその場合はこの試験には参加できない。コレはカルボプラチンの試験だからね。」
 
Y「ふーん。(先生が信用していないなら)そんなのやらない。
もし、カルボプラチンを投与するグループに入らなかったら、経過観察だけ?転移再発を待つだけ?」
 
T「その言い方、嫌だな。もともとトリプルネガティブの標準治療はこのあと『経過観察』だから。もし、カルボプラチンを投与できなくても何も変わらないよ。」
 
…(いや。何かが違う。)
Y「今すぐ決めなくちゃだめ?」
 
T「いや。よく考えて。今すぐじゃなくて、いい。」
 
Y「もし、やるってことになってグループ分けでカルボプラチンを投与することになったら、いつ頃から始まる感じ?」
 
T「書類を作って申請して…審査があって…。早くて8月中。9月からかな?」
 
Y「9.10.11…。もし、カルボプラチンやるとしたら、点滴?ここのケモ室で?」
 
T「そうだね。」
 
Y「えーっと。できることになったとして、ひとりでできると思う?ひとりでここへ運転してきて、運転して帰れる?」
 
T「あー、大丈夫。パクリタキセルは1人じゃできなかったもんね。でもそれはないよ。」
 
Y「副作用で動けなくなることは?もう、ひとりでできないことはなるべくしたくない。もう、この子達にも時間取らせたくないから。」
 
T「…。そんなことにはならないと思うけど…よく相談して、考えてみて。資料読んでみて。(次男に)でも、とにかく明日のテストにパスしてから。」
 
次男「(笑)はい。よく、読んでみます。」
 
Y「で、その3ヶ月のあとは経過観察…。」
 
T「そう。3年間の経過観察。」
 
…(3年。3年のうちに再発がなければ…)
 
Y「考える。よく。」
 
T「なにか質問は?わからないことある?」
 
Y「…今はない、かな。情報量が多すぎて耳から出そう。その書類に今先生が説明してくれたことが全部書いてあるんでしょ?読んだらわかる、よね?」
 
T「書いてある。読んでわからないことあったら質問して。」
 
書類を私に差し出した…けど。
 
A「わからないこと、あとで一緒に整理しましょう。一度私が預かりますね。」
と、A看護師の手に。
 
Y「先生、もし再発転移した場合…。乳がんの場合は、肺とか肝臓とか…。その場合はその科に診てもらうことになるの?」
 
T「いや。ココで診るよ。乳腺で。」
 
Y「骨や脳でも?」
 
T「いきなり脳に行くことはないと思うけど、ウチで診る。」
 
Y「…そうなんだ。」
(このときも、何かが引っかかった…。でも、その時は考えないことにした。)
 
T「ちょうど転移の話がでたから、次の話にいくね。」
 
T「もし、転移再発した場合。『免疫チェックポイント阻害薬』っていうのがある。これは使える人と使えない人がいる。もし使えるとしたら40%の人に効く…と言われている。」
 
T「使えるか使えないかを調べるのに1ヶ月ぐらいかかる。もし、転移再発したらなるべく早く使いたい…。でも使えないかもしれない。」
 
T「転移再発がわかってから調べるのも、ないわけじゃないけど、使えるかどうかを先にわかっておいた方がいいと、思う。」
 
T「ただし、この検査には保険が利かない…。」
 
Y「別に、いい。使えるかどうかの検査、してください。時間がかかるならすぐ。」
 
T「わかった。これは手術で採った検体を使ってできるから、それでやります。」
 
T「長い時間色々と説明したけど、わかった?何かわからないこと、ある?」
 
Y「何がわからないか?も、わからない。もう耳から出てきた。あとで子供達に聞いて整理する。」
 
A「大丈夫。このあと整理しましょう、一緒に。」
 
T「質問、ない?」(子供達に向かって)
 
2人ともないようだった。
 
Y「ないみたい。先生、返事は早い方がいいよね。次は?診察(胸を指さして)するでしょ?」
 
T「急がなくてもいいけど…。診察は来週だね。何時がいい?」
 
Y「何時でもいいけど。忙しそう?」
 
来週の予約表を見ている…
 
T「そうでもない。午前中?9時半でいい?」
 
Y「はい。じゃあ、その時までに決めてきます。」
 
T「はい。長くなっちゃって申し訳なかったね。(次男に)テスト、頑張って!」
 
次男「ははは。はい。頑張ります。」
 
T「お疲れ様でした。」
 
Y「先生たちも、お疲れ様でした。ありがとうございました。
あーあ。CRだったら、T先生と『ハイタッチ』でもしたかったんだけどなー」
 
T「……。」
 
複雑な表情で机の前から動かずに、私たちが出ていくのを見送っていた。
 
 
このあと「乳がん看護認定看護師」Aさんのカウンセリングが、つづく…。