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14時から始まるはずだった【病理検査結果】の説明。
急なCT検査で、始まったのは16時を過ぎていた。
T先生の後ろの廊下に面した入口にI看護師が立っていて、さっきまで私が寝ていた診察台にA看護師が腰掛けていた。
私はT先生の真向かいに。
次男は入り口の近くに、娘はメガネを忘れて来て見えない…となるべく近くへ、私の右隣に座った。
この部屋は『密』だ。
狭い診察室の中に6人!
いくら廊下側のドアが開いているからと言っても、密感は否めない。
それでもこの部屋の全員が、コロナワクチンを1回以上接種してるということに、ちょっと安心していた。
T先生の前にある縦型で大きなパソコンのモニターには、たぶん今撮ってきたCTの画像が色々な部位と断面で何区画かに分かれて映し出されていた。
もう1台にはカルテ。
最後のひとつには何かの表。
机の上には黒いキーボードとワイヤーレスのマウス、それと何かの書類。
あとは見事に片付けられていた。
水抜きのセット、先生が飲んていた?ペットボトルのお茶、エコーの機材、拡げられていたなにかの書類…。
私が診察台から起き上がりA看護師に手伝ってもらって身支度を整えていたホンの1分足らずのすきに、マジックのように劇的に整頓された。
やっぱりI看護師は魔法が使えるに違いない…。
やっと、始まった。
T先生が口を開いた。
「まず初めの検査のところからおさらいしながら見ていきましょう。」
パソコンの表をクリックすると、2021年1月6日にY先生に穿刺してもらって検査した結果が出た。
ER=0 PgR=0 HER2=+1 (ホルモン受容体、HER2タンパク受容体共にナシ)
浸潤がん *トリプルネガティブ *リンパ節転移あり *ステージⅢa
Ki-67 71.8%
T「トリプルネガティブにリンパ節にすでに転移。増殖率が71.8%ってことでとても進行が早い、タチの悪いがんでした。もう、この説明は何回かしているから、ね。」
黙って聞いていた。これについてはもう何もコメントはない。過ぎたこと。もうこのがんはない、はず。
T「トリプルネガティブのがんには治療法の選択肢があまりない。それでもYさんのがんは増殖率が高かったので、そういうがんには昔からある抗がん剤がよく効くというデータがあるので、それの一番強いものを使って治療をして…。」
そう言って術前検査として撮ったMRIの画像とその読影所見をモニターに出した。
T「一番強い抗がん剤を使った結果、MRIを見た所見が…乳管内にがんが留まっている可能性があり『CR』が望める…ということで。手術をしました。」
ここまでは経過の説明なので、ただ聞いていた。
T先生はカルテが映っていたモニターに病理検査の結果の「画像」を映した。
(*この絵は私の記憶の中にある画像なので実際のものとはだいぶ違うかもしれません。でも、特徴はとらえている、と子供達にも言われました。)
はじめに目に入ったのは左上の画像。
お好み焼きにいびつな目玉焼きがのっているようなやつ。
よく見ると目玉焼きかと思った白いものは私の『胸の表皮』の部分で、真ん中の緑の甘納豆みたいなものは『乳首』だと説明された。
すごくきれいにラグビーボール型に切り取られている。
その下の『お好み焼き』みたいな部分が乳腺の部分。脂肪と…あとは筋膜。(って言ったかな?)
裏側の組織全体にうっすら白い幕みたいに見えるのが筋膜だそうだ。
黒かったりちょっと赤かったりする細いミミズみたいなものは毛細血管?
大胸筋とナントカ(もう一つの筋肉の名前を言った気がする。)も含めて全部取った。
つまりこれが全摘。
そして次に映し出されたのが左下の乳房部分の組織をスライスした画像とその断面図だった。
T「このスライスした組織の一つ一つ全部調べてがん細胞が残っていないか検査した。
その結果。このピンクのところにはがんが残っていました。」
………(CRじゃなかった。)
T「水色のところは乳管内に留まっていたがん。これは浸潤していないもの。」
T「残っていたがんをさらに調べると、17mmX1mm。ER、PgR、HER2共になし。トリプルネガティブでKi-67は78%…」
…(増殖度上がってんじゃん。)
T「一緒に取ったリンパ節、全部取ったのが17個あったけど、そのリンパにはがんが残っているものはなかった。」
…(うん。これはいい情報だ。)
T「術前化学療法の効果は、全部がんが消滅したものが3、全然変わらないものが0で、Yさんの効果判定は2b。」
…(2b? 何段階中の何番目? あれ?ステージとは違うよね…)
この辺から思考回路に不具合が。このことが引っ掛かっていたけど、途中で質問する感じじゃなくてそのままスルーした。CRじゃなかったら、おんなじだと思った。
T「乳がんのタイプで多いのがホルモン受容体がプラスの「ルミナール」と言われるタイプで乳がんの60%から70%がこのタイプ。このタイプのがんは手術や抗がん剤とかホルモン剤の治療をして、経過観察になるんだけど6、7年それ以上の10年ぐらい経ってから再発することがあるのね。だから経過を見るのは10年と言われている。
だけど、トリプルネガティブの場合はもし再発転移する場合は、早い。3年以内。もっと早いと術後すぐ!ってこともある。」
T「前にも言った通り、この1番強い抗がん剤で、その上短期でがんを叩いて。全摘、リンパ節郭清をして『CR』だった場合は、かなりの確率で再発転移を避けられた。」
…(はい。それを期待していました。)
T「で。こちらの話をします。」
そういうと一番大きいモニターに映ったさっき撮ってきたCT画像をこちらに向けた。
T「ボクの患者で術後すぐ脇のリンパ郭清の後にしこりが見つかって、1ヶ月の間に急激に大きくなってから気がついた時はがんが大きくなっていた、という苦い経験をしたことがあって…。今回急遽CTを撮りました。」
…(へ?いきなり再発?)「え?悪いモノだったの?」
T「この部分なんだけどね。今のところ腫瘍らしき影は見えない。でも要観察だね。」
Y「じゃあ、このしこりは何?」
T「たぶん静脈…血管から染み出している血液が固まったものかと。リンパの部分はなんていうか…かなりしっかり…」
Y「ガリガリやった?」
T「いや、ガリガリなんてやらないけど…うーん。」
Y「掻き出した?」
T「難しいなぁ、とにかく周りの組織から剥がして、脂肪とか血管とかたくさんあるところだから。慎重にやったけどどうしても傷がついちゃうことがあるんだよ。」
Y「あー、そういうことね。」
T「全部取ったけど、がんは残っていなかったから、取らなくてもよかったのかも?って思う人もいる。こういうことがあるとね。」
Y「取っちゃってから言ってもね。」(後の祭りだ)「このあとも観察が必要なんでしょ?大きくなってきたら?」
T「それが何かを診る。」
Y「わかりました。でも、これって痛いけど、これのせいで腕を上げるの痛いけど、腕を上げても大丈夫?」
A「上げないと。」
T「上げて!固まっちゃうから。」
2人同時。
A「痛いなら、薬を飲んで。あげてね。薬、あります?」
Y「あります。飲んでも、あげる…。」
T「そう、飲んでもいいから動かして。固まっちゃうからね。」
Y「はい。でも、ココ(手術した胸)は皮だけでしょ?伸びなくて、痛いよ。あとここも。(抜管跡が下の骨にくっついているみたいでつれる)」
T「うーん。しょうがないね。脂肪がないから。」
Y「太ったら少しは良くなる?」
T「そうだね。でもそこだけに脂肪がつけばいいけど、なかなかそこにはつかないよね。」
…(あきらめます)
T「で、ここで前半の部分はおしまい。ここまではいいかな?質問は?」
Y「結果については『CR』じゃなかった。ってことはわかった。」
T「…そう。じゃああとふたつ、話をするね。」
私の頭の中には今年の「乳がん学会」の研究発表の
「当院における乳癌術前化学療法後のMRI評価と病理学的評価の対比」
というタイトルが思い浮かんだ。
これを発表したのはT先生と私の手術を担当してくれたY先生だった。