先日のイベントが始まってすぐ、一人目のお客さまとして、ご高齢の女性が私の前にお座りになりました。
女性は少し硬い表情をされていて、座ってすぐに「なんでも正直に言ってくださいね」と私に釘をさすように告げました。
「タロットには、聞いてすぐに飲み込むのには辛いことが出ますが、怖いことは出ませんから」私はそんな返事をしました。
めくり始めて女性の現状がとても満たされていること、でも反面心の底に深く悲しいことがある。ただ一喜一憂することを人に告げることはしない、言ったところで仕方がないと思ってる。
リーダー的な存在で、いつも人を取りまとめることになる。
カードを読み取り、そうお伝えしました。
女性はじっと話を聞いてるだけで、ほとんど返事をしませんでした。
カードを崩し、改めてここから3ヶ月間の運気をめくりました。
すると、悲しいことを告げるカードがここでも繰り返し出たので、私はさっきめくったカードをもう一度重ねて読んで、
「お弔いのようなこと」と言いました。
どうしても「お弔い」と言いたくなったのです。
すると女性が「いまお弔いと言いましたよね、誰かが死ぬってことですか?」と尋ねました。
私は「死ぬということだけではなく、誰かを見送ったとか、親しい人と離れて暮らすことになるとか、ペットと別れるなどもね」と答えました。
すると女性が話し始めました。
「実は私はもう80なんですがね、娘が十数年前に患いましてね、色々治療してきましたけど今はもう手の施しようがなくなってるんです」
私はそれを聞いて「そうでしたか、お弔いなんて言葉を使って申し訳なかったですね」と謝りました。
「いえ、いいんです、さっきからあなたに言われたことはほとんど合ってます。私はもう達観してるんです。
「そうですね、覚悟ができてますね」
「はい、初めは泣いて泣いてしましたけど、もう今は違います。でもそのことは娘には言いません」
私はもう一度、はじめにめくったカードを思い出して言いました。
「この十数年、あなたと娘さんにはお辛い病気を通してでしたけど、今そのことがお二人の絆になっています」
女性は短く返事をしました。
「ええ、そう思います」
ほんの10分と少しの鑑定でした。
子どもの笑い声が溢れる、賑やかで華やいだイベントの一角で、私は不思議な時間を過ごしました。
あの日一日中折に触れ、私は、今とても大事な話をさせてもらってるんだと深く実感していました。
そんな風に感じたのは初めてのことでした。
大事な話をしている。
うまく言えませんが、タロットを介して人と向き合うとき、なにものにも変えがたい時間が私に与えられてると感じています。
【お知らせ】
8月のモダナークギャラリーの日程です。
8月9日 23日(木曜)
ご予約roxy.emiko@gmail.com
他の日は元町のカフェにて鑑定しています。
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