記憶のことを考えるとき、とても不思議な気持ちになります。

知らず知らずのうちに、私が選びとって残している記憶は、本当にささやかな情景だなぁと思うからです。


もっといいシーンあったでしょう?(笑)

そう真剣に自分に問いかけても、そうそう出てくるわけでもない。


膨大な時の流れの中で、私たち人間はそれほどたくさん記憶していられません。


そんな限られた入れ物の中に、私が無意識に特別に残しているのは「声の記憶」です。

私にとって声は、その人そのものみたいで、思いだすと懐かしい人が立ち現われて来ます。


声は私たちを表す振動した粒子です。

でも発しただけでは音にはなりません。

振動した粒子は人に届いてやっとそこで音になり、声になります。

発した本人ではなく、届いた私の中であなたの声として生まれ、私の記憶の中にとどまります。

だから、あなたの声は私のものです。


もし今日あなたが私の声を思い出してくれるなら、笑い声だったらいいなと思います。

いつかの私が発した粒子が、あなたに思い出してもらうたび、音になり、声と一緒に楽しい私が立ち現われてくれたら嬉しい。


発した本人ではなく、届いた先で音になり、声になる。

その振動は消えません。

そして大切な記憶になります。


【お知らせ】   

4月モダナークギャラリーの日程です。   

4月13日(金曜)  

ご予約roxy.emiko@gmail.com 

他の日は元町のカフェにて鑑定しています。    

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