むかし短大生だったとき、なんのタイミングだったか一度だけ、教授の部屋でインスタントコーヒーを作る機会がありました。

教授を含めてその場にいた4.5名に私が作ったのですが、いつものようにいつもの分量で作って出すと、一口飲んだ教授が、
「うわっ、なにこれ!濃いなー」とびっくりしたのです。
その言葉を聞いた私も驚いて、
「私、コーヒーは濃いのが好きだから」と言うと、
教授は「そうかぁ、君が濃いのが好きやからかぁ」
とそう一言だけ言って、あとはなんともなく全部飲んでくれました(笑)

その教授の納得の仕方がさっぱりしていて、とても温かみがあったので、私はその場でなんにも気を使うことなく済みました。
ただ「あー私は濃いコーヒーが好きだけど、驚く人もいるんだ!」と大発見したので(笑)この場面のことを記憶しています。

それからなん十年が過ぎますが、いくつになってもそんな大発見の日々です。
私が面白くてもそれが面白くない人もいますし、私が好きでも好かれないこともあります(笑)

「私はこう思うんだよ」
この世界ではそう打ち明け合って、伝え合って自分をより深く知って行くシステムです。

私の教授のように、目の前で自分の当たり前とは違う出来事が起きても、
「あなたはそうなんだね」
とさらりと終わらせることができれば、きっとこの世界はそんなに辛くはないんじゃないかなぁと思います(笑)

私はこう思うんだよ。
あなたはそうなんだね。
お話はいつもそこでおしまい。