ある時、妹の旦那様が花と話していることがわかりました。
もう20年以上付き合ってきた義弟ですが、そんな話は初めて聞きました。

その年、妹夫婦のマンションの塗り替え工事がありました。
弟君はベランダでたくさんの植木や花を育てていたので、花のプランターは部屋に入れたのですが、トネリコなど大きな木の鉢は部屋に入りきらず、我が家の庭に運んで預かっていました。
そしてやっと塗り替えが終わって、長く部屋に入れていた花のプランターをベランダに出しました。
しばらくすると、プランターに植わっているラベンダーが、弟くんに言ったそうです。
「えらいスンマセン」と。
「今年は花をよう咲かせんとスンマセン」
と、ラベンダーは咲かないことを詫びたそうです(笑)

弟君が「いや、こっちこそ、塗り替えがあったりして、日当たりも悪かったし、そんなんええよ」と言っても、
「いやほんまにスンマセン」と謝っていたらしいです。

そして我が家で預かっていたトネリコの植木鉢を戻すため、妹夫婦の住むマンションを訪ねました。

すると弟君が、前の日トネリコの鉢の場所を空けるため、他の花のプランターを移動してると、マリーゴールドが
「ここを動きたくない!」と言い出したと言うのです。

木を運んできた私たちが「え?マリーゴールドがそんなこと言うの?なんで?」と聞くと、弟君が知ってるところでは、前からマリーゴールドは、トネリコの木の足元に植えているミニバラのことをよく思ってなかったらしく、今いる場所を譲りたくないと言っているみたいだとのこと。
弟君は「まぁ、そんなこと言うなよ、せっかくミニバラ姉さんが帰ってくるんやないか」
となだめたと言います。

マリーゴールドの気持ちはどうあれ、とにかく運んできたトネリコの鉢をベランダに置いて、私たちは部屋でご飯を食べていました。

途中、弟君がベランダに行って戻ってきたので、
「どうだった?」と聞きました。
すると「めっちゃディスッてた」と。
マリーゴールドがミニバラに嫌味を言っていたと言うのです(笑)
鉢を移動するため、ミニバラはだいぶ小さく刈り込まれていたのですが、そのミニバラに
「えらい細なりましたねー」
とマリーゴールドが意地悪を言ってたそうです。

その夜、弟君の話を目の前で全部聞いていたムスメが私に言いました
「私、おじちゃんのあの話はほんとやと思うわ。だって、おじちゃんの話はいっつもあんなに面白くないからさ」って(笑)