クローバーとかレンゲの蜂蜜はありますが、つつじの蜂蜜ってないですね。
もちろんあったら私は買いますよ。

みなさんご存知のように、つつじの蜜ってやさしい甘さでおいしいんです。
あれ、知らない?
それは追いかけても追いかけても、記憶にとどまることを拒む夢のように、ふっと消えてしまうはかない甘さ…

そんなわけで私、つつじが咲くと、ちぎっては吸い、ちぎっては吸いするような子どもでした。
はかない甘さを追いかけますので、繰り返し吸うということが必要なのです。

その季節になると、私は近所の子たちを引き連れて「つつじに行こう」と公園へ行き、端から味見していくというようなことをしていました。
注:小さい頃ですよ

ある日、もうくせになっていたんだと思いますが、友達の家の庭先につつじが咲いており、
はい。そうです。案の定、吸いますよね。

その光景を近くのおばあちゃんが見ていて、
「えみちゃん、人んちの花をそんなにちぎったらあかんでしょ」と私を叱りました。
ごめんなさいと言えばいいのにね、あろうことか私はこう言いました。
「人んちだからちぎってるんだよ」
あーあ。
当然おばあちゃんはすごく怒って、母が私の手を引っ張って謝りに走る事態となりました。

あの時おばあちゃんが私を叱らなければ、自分がそんな子どもだったことって忘れていただろうな。
叱ったおばあちゃんの顔も姿も忘れてるのに、母に手を引かれイヤイヤ走る自分をよく覚えています。

何かのきっかけで残ることってありますよね。
誰かのせいで困ったり、辛いと思ったりしますが、あとから思い出せば、それは全部自分についての記憶になっていたりします。

そもそもつつじの蜜があんなに甘くなかったら、こんな苦い思い出なくてすんだのだけど(笑)