宝塚本拠地へ行きまして
月組バウホール公演『LOVE AND ALL THAT JAZZ 』…ベルリンの冬、モントリオールの春…観ることができました。

若手育成の意味合いを持つことが多いバウホール公演。
月組ファンの皆さんならご想像つくでしょうが、主演の風間柚乃さんが初出演とは思えない堂々とした佇まいでしたよ!

過去にも代役のルキーニ、代役の又八、轟悠さんと対峙したカストロなどなど存在感を見せてきた風間さん。
今回のバウホール公演ではジャズへの情熱あふれどんな世界情勢であろうと自分の生き方を曲げない青年を(風間さんにしては珍しく)フレッシュさも合わせて思い切り表現されていました。

将来、宝塚歌劇団の看板を背負う立場になるだろうなというのも容易に想像つく風間さんの初出演作品は、きっと後にも語られるようになると思います。


まず何が凄いって歌が多い!
そして力強くてお上手!

安定した歌唱力を持つ風間さんがジャズナンバーやオリジナルナンバー(吉崎先生の曲がまた素敵)をこれでもかーーってくらい歌いますので
勝手に龍さんとか望海さんとか歌が上手いトップスターさんを思い出し(1789とかドンジュアンとか歌いまくる作品をいつか風間さん主演で観たいなぁ)とか思ってしまいました。


そして更にすごいのが「正義感を抱く人物」がとってもお似合い!
宝塚のキャラクターて…特に主人公は「良い人」「正しい人」が多いじゃないですか。

この「正義感」に説得力ないと宝塚の真ん中って似合わないと私は個人的に考えていて
風間さんは理想的な「良い人」がぴったりはまる役者さんで、役作り、表現力も素晴らしかったです。

ナチス政権下のベルリン、パリ、モントリオールが舞台と、シリアスな面もある作品の中で
【仲間が彼のために尽力し、どうやったら逃亡できるか命をかけて作戦を立て実行する…】
なんていう話の流れは、正義感が強く、何か他人の心を動かす力をもった主演じゃないとストーリー破綻してしまうところ、風間さんだと何も違和感なく物語が進むんですよ。

この作品は風間さん主演だから成立すると、谷先生が自信を持って書かれた脚本なのだろうなと思います。
そういう意味で本当に良いものを観た!!という気分になれました。


テンション上がりすぎて風間さんの感想が長くなってしまったわ。
遅くなりましたが風間さんファンの皆さんもバウホール初主演おめでとうございます!
コロナ禍じゃなければもっともっと話題になったんじゃないかなぁ。


そして今作品も一人一人がとても役割が多く、別箱ならではの台詞量や登場時間ですから組子の皆さんとってもやり甲斐あるだろうな、と拝見していました。

最上級生の千海華蘭さんは一幕、二幕、主役との関係性が【仲間・収容所監視責任者】というように180度異なる人物を演じていて
舞台上にこの方がいると安心するというか、場面を引き締めていきながら時代背景も感じさせてくれる存在感で、さすがでした。
さらに場面転換など作品中で時折流れるジャズナンバー。
その時、自由に小粋に軽やかに表情がコロコロ変わりながらのダンスが本当に素敵なの!
ブレない体幹、軸があるからこそできる男役としての美しいシルエット、ポージングどれも最高でした!

演出家谷先生からの絶大な信頼があるのでしょうねぇ…と月組ファンならきっと感じる、千海さんの魅力・実力が遺憾無く発揮されている作品です。


上級生といえば、佳城葵さんも一幕二幕と全く別の登場人物で、その演じわけが実に上手いし分かりやすい!
一幕、印刷工のシュミッツなんてフィクションだけれどおそらくこういうドイツ人、実在したんじゃないかなぁ…って自然と思えるリアルな人でした。
佳城さんも月組らしい繊細なお芝居をなさるし温かみのある男役さんですよね。
もうすっかり上級生になっていて時の流れの早さを改めて感じました。


バウホール初ヒロインのきよら羽龍さんも可愛かったです!
宝塚のヒロインもまた独特の「透明感」「気品」を求められるポジションだと思うのですが、初ヒロインということも合わさり、初々しくてそれが役にピッタリでした。
歌がお上手なのは大劇場公演での活躍も観ているから驚きません…
が、やはりヒロインとして演技しながら歌うのって難しいでしょうにしっかりこなしていて素敵だったな。

本編の役としての佇まいとうってかわってフィナーレで弾けるような笑顔で踊っていたのも、フレッシュさ溢れる魅力的な娘役さんで目を惹きました。


いやーん久しぶりの月組観劇で嬉しくって感想長くなっちゃった。
他に印象的だったのは…


礼華はるさん。
一幕の役は新境地でいかにも若手の「挑戦」って雰囲気が漂っていて微笑ましく観てしまいました。
陰のある役って若手には難しいですよねー5年後だったら経験積んで難なくこなせそうな役なのですが
それをあえて今あてがっているという所に、バウホール公演の意味があるのでしょうね。
ただ、軍服の着こなしは完璧に近いのでは?!高身長は男役としてかなり武器になりますよね。

桃歌雪さん。
若手だと思っていたらもうすっかり中堅なのね。
娘役最上級生として作品中存在感あるお役を担っていらっしゃいました。
二幕冒頭のお母さん役。素晴らしかった!
女性からみた戦争を表現する役を、繊細に演じていたなぁ。
『舞音』の頃から歌唱力のある娘役さんとは思っていたけれどお芝居もお上手なので今後大劇場公演でもっともっと活躍が観たいです。

羽音みかさん。
↑に書いた女性からみた戦争を表現する二幕冒頭の女の子の役。
桃歌さんと一緒に短い時間ながら、複雑な心境と共にすごく意味のある深いメッセージを伝えている演技が観劇後も忘れられないです。
そしてダンスナンバーになると抜群のスタイルを活かして踊る姿がとっても清々しいから観ていて気持ちいい!

ダンスシーンでは前から好きな娘役・菜々野ありさん、美海そらさんが小劇場だからこその目立つポジションでいっぱい踊っていて嬉しかったなぁ。お上手!

他にも「あの若手の子ダンスが上手くなってるなー!」とか「初めての台詞量で張り切ってていいなぁー!」とか
バウホールならではの「成長と挑戦」を垣間見られて心の中でエールを送っておりました。


アンタ何目線で観劇してるのよーって感じのエラそうな感想ですが
まぁ宝塚ファンは大なり小なり「見守っていく」姿勢になるもんですよ、はい。お許しください:)
月組生はみんな好きです!!

千穐楽までスタッフさん含め、全員無事駆け抜けられますように祈っております。

良き舞台をありがとうございました。
LIVE配信も見るからねー!