『赤と黒』@御園座
宝塚月組御園座公演行ってきました。
こんな時期ですからしっかりマスク装着して観劇です。

※感想長文です。
興味ない方、ここでブログ閉じてください。


19世紀中期のフランス人作家スタンダール原作『赤と黒』はこれまで宝塚で、大滝子さん、涼風真世さん、安蘭けいさんと数々のスターさんが主人公の青年ジュリアンを演じたとのこと。

私は初見なんですが昨年亡くなられた演出家柴田侑宏先生の代表作でもあります…今回は追悼公演でもあるのでしょうね。



感想をひと言でまとめると
愛の話じゃなくて「恋の話」でした。



相手を思いやるとか誰かのためにとかいう「無償の愛」ではなく、登場人物みんながみんな「自分の欲」に素直で人間らしさ全開だなという印象です。
主人公・ジュリアンも「恋に生き、恋に死す」と歌っていたような。

出世したい、権力を得たい、金儲けしたい、幸せになりたい、人望を集めたい、恋をしたい、抱かれたい…。

↑これらの感情を抱いた登場人物達により、人間ってなんて欲にまみれた愚かな生き物なんだろうかっていうスタンダールの思想(と勝手に捉えています)が宝塚テイストで美しく表現されていたような気がしました。
その表現方法が月組さんみんな素晴らしくって!


宝塚って人のために、誰かのために…
と様々な「愛」を描く作品が結構多いから、予習無しで観たら想像と違っていました。
濃厚な人間模様を描くこのクラシカルな世界観、最近では月組にとって久しぶりな気もする…。
いやそんなことないか『アンナ・カレーニナ』は割とこっち寄りですかね。




フランス文学専攻の友人にはスタンダールの『恋愛論』“ザルツブルクの小枝”  をお勧めされました。
検索してみてください。
スタンダールの思考と分析力、面白かったです。
あとナポレオンもキーワードみたいですね、スタンダール作品。


作品の舞台はスペインの田舎町ヴェリエールとフランス、パリ。貧しい生まれながら、僧侶となり出世をしようと野心に燃える青年の物語です。
主演の珠城りょうさんがその野心と情熱を秘めた青年をいかにも宝塚の主人公らしく、雄々しい佇まいで素敵でした。

毎回書いてるけれど、珠城さん脚長い!スタイル抜群!
ファンの皆さんが「シャツ一(いち)が好き」というのもよくわかる。
人妻レナール夫人を誘惑する場面とか艶めかしい空気感をまとうジュリアンは、また新たな珠城さんを拝見できたなぁと魅力的でした。
珠城さん、地元愛知県のご出身だから凱旋公演おめでたいですね。


そしてレナール夫人の美園さくらさんが良かった!
「母親役」が意外にも(辛口ごめんなさい)お上手でクラシカルな貴婦人らしいドレス姿も綺麗だったなぁ。
年末に観ていたハリウッド女優エマがハマり役と思っていましたが、今回の裕福な家庭の妻・母の顔が自然で、尚且つジュリアンに口説かれる戸惑いと喜びを表現する女の顔がドラマティックで
客席の心を掴むレナール夫人だったのではないでしょうか。
最後の牢獄場面、一番ぐっときたのはレナール夫人だったな。



そして恋に生きる面々と共に、上記にも書いたような人間らしい「欲」を表現する役でもある、成り上がり者のヴァルノ役千海華蘭さんと、ヴェリエール町長・レナール役輝月ゆうまさんの見栄の張り合いをする一幕冒頭の会話がこの世界観を創り上げる大事な部分を担っているような気がします。お上手な2人!

嫉妬に狂うレナール家のメイド、エリザ役のきよら羽龍さんも可愛いし、ストーリー上一幕のキーマンをしっかりこなしていて印象に残りました。


欲まみれな登場人物の中で、なんだか作中ほっこりするジュリアンの親友フーケ役・月城かなとさんの存在がありがたかったな。
彼も金儲けの話をするけれど、親友のためにと助言をする優しさに溢れた人物でした。

そういえばフィナーレで珠城さん月城さんと2人で踊るパートがあったんですけれど、変な意味じゃなくお似合いの並びだった!
王道の宝塚男役らしい高身長で包容力のあるお二人だしとても相性の良さそうな雰囲気です。



あと私ダンスが上手い舞台人が大好きなのですが念願叶ったことが今回ありまして、フィナーレで千海華蘭さんと結愛かれんさんがペアで踊っていたこと。
踊りが上手いプラス情感を込めて表現できるお二人が組んでいて、なんということでしょう私得!目が離せなかった!
どなたにこのお礼を伝えればよいのでしょうか!月Pですか?振付ANJU先生ですか?!嬉しいな!


そうそう。
今回、黒燕尾で客席おりっていうのが珍しいのですよね。
華やかで素敵なのですが、コロナウィルスやらインフルエンザやら流行っていますから大人しく見つめてきました。
宝塚歌劇団公式サイトにもハイタッチや触れ合いはご遠慮を…とお願いが出ている中で、せっかく客席おりを実施してくれたのでルールを守りたいと思います。


最後のトップコンビのデュエットダンスも素敵だったなークラシカルで宝塚らしい羽山先生の場面で、衣装も『赤と黒』らしく美しかったです。

2020年、良い“月組はじめ” でございました。
ありがとうございます。



長文すぎて気持ち悪いブログになっちゃった。
すみません、月組となると感想が止まらない…許してください。
今年初の月組観劇でやっと新年を迎えた感じ!!